今回は、多くの男性の皆さんが直面する問題も含んだお話です。
男性は何故薄毛になるのか?
今回は男性型脱毛症(AGA)のメカニズムや治療の内容についてお話します。
目次
薄毛を気にしてる人は多い
薄毛を認識してる男性は20~69歳で、1260万人におよび、薄毛を気にしてる男性は800万人、薄毛への対処をしたことがある男性は650万人、現在対処している人は 500万人と推計されています。
20~69歳を通じて全体的で抜け毛、薄毛を認識している人の約60%が現在および将来の髪の毛の状態を懸念しているとされています。
薄毛になるメカニズム
生活習慣も要因になり得ますが、一番は男性ホルモンの影響が強いのです。
男性ホルモンが髪のサイクルを乱れさせることにより、薄毛は進行してしまいます。
ヘアサイクル
髪は1日に50~100本、平均64本が自然に抜けていきます。
それと同じ数だけ成長し、髪を補填している。
髪は1日に0.34㎜伸びるとされています。
1ヶ月で約1cmですね。
ヘアサイクルは大きく3つの時期があります。
画像引用元:AGAーnews
退行期 髪が細り、抜ける準備を始める時期
休止期 髪の抜けるのを待つのみの状態の時期
髪全体での割合は、成長期毛が85%、退行期毛が1%、休止期毛が14%となっています。
休止期毛に入っても正常な場合は、毛根が周囲の組織と噛み合っているので簡単には抜け落ちないようになっています。
正常であれば、休止期は3~4ヶ月、成長期は2~6年、退行期は2週間です。
これが男性型脱毛症(AGA)の人だと、成長期の期間が数か月~1年と劇的に短くなります。
毛の太さは成長期の期間に比例します。
つまり、成長期の期間が短くなれば、髪は細くなり抜けるのも早くなるということです。
AGAの人は、髪の毛が十分な太さに成長する前に成長期が終わってしまいます。
そして、新たに育ってくる毛よりも早く髪が抜けてしまう。
これが薄毛になるメカニズムです。
男性ホルモンとは
5αー還元酵素
男性ホルモンは体内でコレステロールから作られるテストステロンと呼ばれる物質です。
しかし、このテストステロンが直接薄毛の原因になっている訳ではありません。
テストステロンは5αー還元酵素と呼ばれる酵素により代謝された後、ジヒドロテストステロンと呼ばれる物質に変わります。
この5αー還元酵素とジヒドロテストステロンが薄毛の原因となるのです。
ジヒドロテストステロンの作用
薄毛に関しての作用を一言で言えば、髪の成長期の短縮を促します。
毛根の細胞にジヒドロテストステロンが作用して、髪の毛の成長作用を抑えてしまうのです。
『だったら身体中が薄毛にならないのは何故?』
という質問が出てきそうですね。
テストステロンからジヒドロテストステロンへの代謝機能には5αー還元酵素と呼ばれる酵素が必要となります。
この酵素は、実は頭のおでこより上に多く存在します。
そしてこの酵素の量や分布というものが遺伝により決まっている為、個人差が出るのです。
なので、禿げる人はバーコードのようなヘアースタイルに近づくのは自然なことなのです。
※バーコードにするかは個人の好みです。
今までの生活習慣が悪すぎれば話は別ですが、男性型脱毛症は進行形なので、よほどのことがない限り回復はしません。
思春期以降にこの酵素が多く発現することが多いです。
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薄毛の要因
遺伝
薄毛を気にしたことのある人ならご存知かと思いますが、遺伝は関係します。
理由は先程お話しした通りで、テストステロンからジヒドロテストステロンに変わるための酵素の量や分布というのは遺伝的に決まっている可能性が高いという報告があります。
祖父もしくは父親が薄毛であれば、将来薄毛の可能性はあると見て良いでしょう。
あくまで禿げやすい体質、禿げる可能性があるということですので、家系の男性全員が禿げてても確定ではありません。
ちなみに私は禿げやすい体質でした(チキショー!)
環境
良くテレビで、
『毛根への血流を促す!』
と言って頭皮をマッサージしているCMを見たことはないですか?
毛根への血流は重要です。
血流を介してでしか、髪に栄養は与えられません。
髪というのは細胞の1つなのですが、生きている部分は毛根で、本体の髪の毛は既に活性が失われている状態です。
毛根への血流を少なくしてしまう環境要因は、タバコ、生活習慣病が最も多いです。
タバコはニコチンの作用により、血管が収縮します。
一時的なら良いですが、タバコを吸っている人は大体のケースで毎日吸っていますので、髪の毛が惜しければタバコは控えるようにしましょう。
生活習慣病も似た理由です。
血管が脆かったり傷つきやすければ、それだけ頭皮に届く血流量は少なくなります。
AGA治療
朗報です。 男性型脱毛症の治療はあります。
最近ではAGA治療として普及してますね。
『AGA治療』と調べれば簡単にいくつかのクリニックは見つかります。
当然ながら保険医療ではありません。自費扱いです。
病気ではありませんし、薄毛に税金は使えませんもんね笑
選択する治療にもよりますが、治療の相場は1か月で1万円~3万円程です。
後述する男性ホルモン作用を抑える薬と血流を良くする塗り薬の治療の場合は1万円程なので、治療により値段の差があります。
カウンセリングでしっかりと治療方針をDr.と相談してくださいね。
治療薬は大きく2つに大別されます。
5αー還元酵素を抑える薬
代表的なお薬: フィナステリド
薄毛のメカニズムは、毛根細胞でテストステロンが5αー還元酵素と反応して、ジヒドロテストステロンに変わり毛根に薄毛の効果を与えてしまうというものです。
フィナステリドは5αー還元酵素を抑えることで、テストステロンがジヒドロテストステロンに代謝されることを防ぐことで薄毛治療の効果をもたらしてくれます。
副作用はほとんどありませんが、フィナステリド1mgでごくわずかな人(1%)で人に性欲減退や勃起不全があります。
稀に前立腺がんの発見が遅れてしまうケースもありますので、血液検査の際は飲んでいる事をちゃんといいましょう。
毛根への血流量を多くする薬
代表的なお薬: ミノキシジル
ミノキシジルは当初米国で降圧薬として開発されましたが、副作用で多毛が認められたことから発毛剤としても使われるようになりました。
市販薬ではリアップとして有名ですね。
主に毛根細胞の増殖作用と毛の細胞の自己破壊の抑制、血流増加の作用を併せ持ちます。
そして結果的に成長期期間の短縮を改善してくれるのがミノキシジルです。
副作用は循環器系によるものが多いです。
もともと降圧薬として開発されていた薬ですので、内服薬では相応の副作用があります。
頭痛やめまい、むくみと言った、高血圧の薬に共通する副作用をもっています。
その為、心血管リスクがある人には使いにくいケースもあるため、主治医と相談するようにしましょう。
外用剤としての使用が無難です。
治療目的
多くの場合は2つ同時に使うことが多いです。
それは使う目的が異なるからです。
毛根への血流を多くする → 髪の成長を促す
こういった目的があります。
毛の太さは成長期の期間に比例します。
つまり、成長期を長く保つことが治療の根幹でもあります。
髪が抜けるのを抑えても、髪が成長しなければ薄毛のままだし、逆も然りです。
2つ併せることで最大限の効力を発揮しますので、治療する場合は併せて使うことをおすすめします。
注意点
どれくらいで効果が出る?
薬の作用自体は、強制的に髪を生やすものではありません。
ヘアサイクルに作用する事で髪が抜ける量を抑え、髪の量を増やすことが出来ます。
髪の毛1本1本で現在のサイクルに差があります。
成長期にある髪もあれば退行期の髪もあり様々です。
その為、治療の効果が現れるのは少なくても3ヶ月~半年以上はかかります。
最初の3ヶ月で効果が出ないのは作用のメカニズム上、当たり前のことですので、いじけて止めないようにしましょう。
当然ながら、薬を止めれば治療前の元の頭の状態に戻ります。
こちらもヘアサイクルの点から、止めたらすぐに元に戻ってしまうというわけではありません。
徐々に元に戻っていく形ですのでご安心を。
初期脱毛とは?
新しく髪が生えるためには以前の髪とはおさらばする必要がありますので、服用後の最初の2週間~1ヶ月程で髪の毛が一気に抜ける事がありますが心配要りません。
気にするかもしれませんが、気にせず治療を続けましょう。
最後に
多くの男性にとって薄毛とはコンプレックスの代名詞とも言うべき症状です。
しかし、薬を使うと一線を超えてしまう気がして踏み切れない人は多いのではないでしょうか?
悩んでいる人は1度AGA外来に行ってみるのもありです。
薬を使う使わないは別として、相談するのは良いことです。
相談するだけでもストレスは軽減します。
薬を使っても使わなくても「規則正しい生活」は心掛けるようにしましょう。
ではでは。
参考文献
男性における男性型脱毛症用薬 5αー還元酵素Ⅱ型阻害薬フィナステリドの薬理学的特性と臨床効果
ヘアケアの科学
ミノキシジルの発毛作用について
AGAーnews