最近は『ウイルス』という言葉に敏感な世の中になってますね。
昔から細菌とウイルスはよく混同されがちです。
今回は細菌とウイルスの違いについてお話します。
目次
細菌とウイルスは全く違う
細菌とウイルスは構造も大きさも性質も全然違います。
肺炎球菌
Oー157
カンピロバクター
サルモネラ菌
ヘリコバクター・ピロリなど
新型コロナウイルス
インフルエンザ
ノロウイルス
エイズウイルス
水疱瘡
帯状疱疹、ヘルペスなど。
細菌は単細胞生物で、ウイルスは遺伝情報を内包しているだけの構造です。
構造の違い
通常、細胞には様々な機関が存在し、その一つに核がある構造となっています。
こうした構造となっているのが細菌です。
様々な機能があるので、感染しなくても自力でエネルギーを生み出し増殖が可能です。
しかし、ウイルスに関しては、エンベロープと呼ばれる膜に遺伝子情報が内包されているだけの構造となります。
その為、生き物の細胞に取り込まれないと増殖出来ないので、基本的に感染しないと存在し続けることが出来ない構造となっています。
画像引用元:細菌とウイルスの違いとは? | メディカルノート (medicalnote.jp)
大きさの違い
構造に違いが大きいので、大きさにもかなりの差があります。
細菌は1~10μgなのに対して、ウイルスは0.1μgです。
ウイルスは細菌の100分の1の大きさしかありません。
※1000μm=1㎜です。
ちなみに花粉で有名なスギ花粉やヒノキ花粉は30~40μgです。

数字で見るとウイルスがいかに小さいかがわかりますね。
ウイルスではCRPは上がりにくい。
血液検査などで、身体に炎症が起きている指標として、CRPと呼ばれるものがあります。
これはC反応性蛋白(Cーreactive protein)と呼ばれるもので、細胞がもっているC多糖体と呼ばれる物質に反応するたんぱく質です。
ですので、細菌による感染症の際にはCRPが上昇しやすくなります。
身体の中の免疫反応して、CRPを作り出すまでにある程度時間がかかります。
一般に細菌感染すると半日~1日ほどでCRPが上昇し始め、2~3日ぐらいでピークになります。
血液検査の結果を教えてもらう機会がありましたら、参考にしてみてください。
ちなみに炎症が起きればCRPは産生されます。
ですので、CRPが上昇している=必ず細菌感染しているというわけではないので、あくまでも参考程度にしてくださいね。
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抗菌薬と抗ウイルス薬
抗菌薬と抗ウイルス薬での違いもあります。
抗菌薬は主に細胞の機能に障害を与えたり、停止させたりする働きです。
※細菌にしかない細胞の機関に聞くので人への障害はありません。
しかし、ウイルスは細胞単位ではなく遺伝子単位として存在しているため、抗菌薬は基本的には作用しません。
風邪の処方で抗生剤が出ているのは何故?
風邪の原因は大半がウイルスであるとされています。
しかし、風邪でよく抗生剤が処方されるケースが多いです。
『ウイルスには抗生剤は効かないんじゃなかったの?
何で抗生剤が処方されているの??』
この手の質問は意外と多いです。
直接処方元の医師に聞いたわけではないので、あくまで個人的な推測ですが、
・肺炎予防
この2点が最も有力な理由と推察しています。
細菌による風邪を100%否定できないから
風邪の原因を正確に特定するためには、症状から推察するのではなく、顕微鏡で見るのが一番でしょう。
しかし、これには患者も医師も負担が大きくなります。
『恐らくウイルスによるものだけど、細菌が原因の可能性も否定出来ないから、念のために抗生剤も処方しておこう』
こんな感じです。
肺炎予防
次に肺炎予防ですが、こちらは風邪が原因で気管支の粘膜を痛めてしまうと、肺炎球菌による肺炎リスクが上がってしまいます。
肺炎球菌は身体の中(特に口内)に常にいる菌なので、バリア機能が弱まれば侵入しやすいのです。
その為、抗生剤を使って肺炎予防を行うのです。
ちなみに人の口中には700種類以上の細菌がいます。
耐性菌の温床?
『風邪に抗生剤は無意味!』
『耐性菌の温床になる!』
昨今そう言った声が飛び交っています。
正論かもしれませんが、ただの風邪が肺炎に発展して亡くなるケースもあるので、医師的には念のため処方したくなる気持ちもわかります。

恐らく風邪に抗生剤を使う医師の多くは、葛藤を持ったまま処方していると思いますので、難しい問題ですね。
最後に
ウイルスに対しては予防接種や感染予防接種。
最も身近で簡単に出来る感染対策は、マスクに手洗いうがいです。
感染症対策はしっかり行いましょう。
ではでは。
厚生労働省「令和元年(2019年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
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