コラーゲンなどのサプリメントは良く販売されていますよね。
薬剤師をやってて良く受ける質問があります。

コラーゲンとかって飲んだ方がお肌に良いの?

飲めばお肌への変化はあります。
しかし、条件次第です。
今回は、コラーゲンやエラスチンは飲んだらお肌に変化はあるのか?
ということを解説していきます。
コラーゲン・エラスチンとは
お肌のハリやキメに重要なのはコラーゲンです。
コラーゲンはお肌の水分を保持するための骨組みを作ってくれています。
その骨組みに絡み付き、弾力性を与えているのはエラスチンです。
ソファやベッドで例えると、マットがコラーゲンでスプリングがエラスチンのようなものですね。
エラスチンとコラーゲンの関係 | コラーゲンLabo.com (collagen-laboratory.com)より
飲んだコラーゲンは、そのままお肌のコラーゲンになるのか?
コラーゲンが分解されて出来た物質が各種細胞に働きかけることが有力視されています。

『飲んだコラーゲンは、そのままお肌のコラーゲンになるのか?』
ということですが、コラーゲンは一般なたんぱく質とは違って分解を受けにくい性質にあります。1)
その為、単一のアミノ酸レベルまでは分解されず、その1歩手前のジペプチドまでに留まる可能性が高いとされています。
実はこのアミノ酸まで分解されずに残った物質のジペプチドが、コラーゲン特有の物質なのです。
ゼラチンよりも、コラーゲンペプチドを摂取した方が、この物質が多く吸収されることがわかったのです。

コラーゲン→ ゼラチン→ コラーゲンペプチドの順に分解されます。
コラーゲンペプチドを飲むことで、肌の水分量は上がるのか?
お肌の変化を求めるには、魚鱗コラーゲン換算で5g/日以上が望ましい。
コラーゲンペプチドを経口摂取する事により、水分や弾力性の改善報告があります。2)
具体的なコラーゲン量を調べたところ、1ヶ月の摂取で魚鱗コラーゲンペプチドの5g/日と10g/日でお肌の水分量に違いが出たそうです。3)
魚鱗コラーゲンペプチドの血中移行性は豚皮の1.5倍と報告もされています。4)
お肌の変化を求めるには、豚皮ではなく、魚鱗コラーゲン換算で5g/日以上が望ましいということになります。
コラーゲンを構成するアミノ酸を摂取すればOK?
コラーゲンが分解されて生じる物質に効果あり。
コラーゲンを構成するアミノ酸をコラーゲンペプチドと同じくらい等量摂取しても、有効性はみられなかった報告があります。4)
コラーゲン由来特有の物質が、皮膚繊維細胞の増殖を促進するとともに、ヒアルロン酸産生を増加させると考えられています。

コラーゲンが分解されて出来るジペプチドに作用があるようですね。
食事でどれくらいコラーゲンを摂取出来ているのか?

一般的な食事内容で、どれくらいのコラーゲンが摂取出来ているのか?
食品から摂取されるコラーゲンの量は1~3g/日とされています。5)
20歳代から50歳代の日本人女性における一般的な食事由来のコラーゲン推定量は1.9g程度と報告されています。6)
前述したコラーゲンの摂取量では5g/日以上が望ましいという結果でした。

コラーゲン量を相当意識をしないと通常の食事から5g/日以上は難しいと言えます。
コラーゲンのまとめ
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豚由来ではなく魚由来(出来れば魚鱗)を選ぶこと。
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少なくても1ヶ月は続けること。
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食事でも少なからず摂取出来ているので、サプリメントは含有量5g/日もあれば充分。
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エラスチン
エラスチンもコラーゲンペプチドと同様に、特有のエラスチンペプチドがあります。
エラスチンを飲んだらお肌にどのように影響するのか?
それについてもいくつか報告があります。
エラスチンは飲んでも吸収されるのか?

エラスチンは経口摂取で吸収されるのか?
エラスチンを飲んだ後、血中に増えていたアミノ酸はエラスチンペプチドのアミノ酸の組成に似ていました。
また、1部はペプチド体としても吸収されていました。7)

エラスチンペプチドが体に吸収されていることがわかったのですね。
飲んだエラスチンがお肌の水分量に影響するのか?

経口摂取したエラスチンがお肌の水分量に影響するのか?
こちらを確認した実験報告もあります。
エラスチンペプチド200㎎で有意にお肌の水分量が上がったようです。
ある程度のエラスチン量であればお肌への変化は認められるということです。
エラスチンとコラーゲンは併せて飲んだ方が良い?
エラスチンはコラーゲンとセットで飲んだ方が良い
マウスに約2ヶ月間、コラーゲンやエラスチンを比率違いに摂取させた実験があります。
結果は、コラーゲン単独に比べて皮膚の組成に近い比での混合の方が水分含量の増加が大きかったのです。3)
皮膚における存在比率はエラスチン:コラーゲン=1:50となっています。
実はこの混合比率で摂取した方が、エラスチン高濃度(1:20)よりも、水分量の上昇が高かったのです。
逆にエラスチン高濃度では、水分量に有意な上昇はみられませんでしたが、エラスチンペプチドの増加や表皮の肥厚の抑制は認められました。

エラスチンはコラーゲンと混合して摂取することにより水分含量が増加するということですね。
エラスチンまとめ
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エラスチンは単独で摂取するよりコラーゲンと混合摂取の方が良い。
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その比率はエラスチン1に対してコラーゲン50が最も効果水分含量増加が大きい。
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効果を感じるまで2ヵ月は様子をみた方が良い。
結論
コラーゲン
・少なくても1ヶ月は続けること。
・食事でも少なからず摂取出来ているので、サプリメントは含有量5gもあれば充分。
エラスチン
・摂取する時は混合比率に気を付ける。
・比率はエラスチン1に対してコラーゲン50が最も効果水分含量増加が大きい。
・効果を感じるまで2ヵ月は様子をみた方が良い。
最後に
まだ解明されていない部分も多々ありますが、論文を元にするのであれば、適切に摂取すればお肌の水分変化はあるかと思います。
過剰に摂取しても脂肪に変わるだけの可能性が大きいのでご注意下さい。
ではでは。
参考文献
1)コラーゲンペプチドの食品機能性(2014)
2) Matsumoto, H., Ohara, H., Ito, K., Nakamura, Y. and Takahashi, S., Clinical Effects of Fish Type I Collagen Hydrolysate on Skin Properties. ITE Letters., 7, 386-390 (2006).
3)ブタ由来エラスチンペプチドの経口摂取によるマウス皮膚水分含量の向上(2009)
4) Ohara, H., Matsumoto, H., Ito, K., Iwai, K. and Sato, K., Comparison of Quantity and Structures of Hydroxyproline-Containing Peptides in Human Blood after Oral Ingestion of Gelatin Hydrolysates from Different Sources. J. Agric. Food Chem., 55, 1532-1535 (2007).
5)小林身哉,山田知香,田中啓友,小山洋一,食事由来のコラーゲン摂取について,栄食誌,5,231(2008).
6)20代から50代日本人女性における食事由来コラーゲン推定摂取量の特徴
7)ヒトにおけるブタ由来エラスチンペプチド摂取による皮膚弾力性向上作用(2011)