先日、薬局で水虫外用液の処方せんがきました。
私は水虫外用液の服薬指導の際には必ず、

『フローリングなどのワックスに影響あるかもなので、付着したらすぐに拭き取って下さい』
と伝えています。
今回は水虫外用液の合成樹脂注意についてのお話です。
服薬指導の参考になれば幸いです。
水虫外用液
まず、水虫外用液にはどんなお薬があるのでしょうか。
2023年2月現在では、以下のお薬が承認されています。
成分 | 製品 |
テルビナフィン | ラミシール外用液 |
トルナフタート | ハイアラージン外用液 |
クロトリマゾール | エンぺシド外用液 |
スルコナゾール | エクセルダーム外用液 |
オキシコナゾール | オキナゾール外用液 |
ビホナゾール | マイコスポール外用液 |
ケトコナゾール | ニゾラールローション |
ネチコナゾール | アトラント外用液 |
ラノコナゾール | アスタット外用液 |
ルリコナゾール | ルリコン液 ルコナック爪外用液 |
エフィコナゾール | クレナフィン爪外用液 |
リラナフタート | ゼフナート外用液 |
ブテナフィン | メンタックス外用液 ボレー外用液 |
外用液に絞って紹介しましたが、それでも結構な数が使われていますね(‘Д’)
ちなみに水虫は医療用語では『白癬(はくせん)』と呼ばれています。
他の『疥癬(かいせん)』とかに名前が似ているので、混乱しそうですね(;^ω^)

効果のメカニズムとしては、水虫外用薬の主成分が水虫(真菌)の細胞膜の合成を抑えてくれることで作用を発揮します。
細かな作用機序については系統により異なりますので、各薬剤の添付文書をご参照いただければありがたいです(‘ω’)ノ
多くは1日1回、水虫の部分に塗布する形でOKです。
たまに古い薬だと1日2回以上塗布する必要がある薬もありますが…(;^ω^)
製品によっては軟膏、クリーム、外用薬(ローション)などがあります。
基本的には爪部分など塗りにくい箇所には外用液、体部などの広く塗る必要がある場合には軟膏やクリームという形で使い分けることが多いです。
ちなみに多くの外用液は成分的に刺激性がありますので、傷口に使うとしみるのでご注意ください(-_-;)
軟化したり溶かす
さて、いよいよ本題のフローリングなどへの影響です。
製品によっては注意書きされているんですよね…( ;∀;)

合成樹脂とは主にプラスチックのことですね
フローリングのワックスも樹脂の一種ですので、水虫外用液により軟化・溶解する可能性があります。
添付文書に合成樹脂注意の注意書きがある製品は以下のようになっています。
多くは足に使う
基本的に水虫の外用液は足爪に使用することが多く、患者さんの多くは自宅で塗ります。
その際、外用液がフローリング上に残り、拭き取りを忘れてしまってフローリングに影響が出てしまった。
なんてお話もあります(;^ω^)
実はこれ数年前に私が患者さんからクレームを受けたことで初めて知ったんですよね(^^;

『これ(外用液)使ってたらフローリングの色が変わったんだけど!?』
当時は突然で何のことかわからず、

『そんなことある!?』
と思ってましたが、実は患者用指導せんにもちょこっと書かれてあるんですよ。

ゼフナート外用液の指導せん
家の中ではプラスチックやワックスといった樹脂、塗料は当たり前のように存在します。
ですので、水虫外用液がどこかに付着した際はすぐに拭き取って貰うようにした方が良いです。
主な原因は添加物の有機溶剤
製薬メーカーに問い合わせした時には、

なんで合成樹脂注意なんですか?

主成分を安定させるために有機溶剤を使用しています。
その有機溶剤が合成樹脂や塗料に影響を及ぼすと考えられています。
とのこと。
有機溶剤とはトルエンやシンナーとかですね。
ネイルの除光液に使われているアセトンなんかも有機溶剤です(‘ω’)ノ
外用液にも当然のように有機溶剤が添加されています。
外用液に関してはエタノールが最も広く使用されていますね(‘Д’)
なので、添付文書上に『合成樹脂注意書き』がなくても有機溶剤を添加している以上は気を付けた方が良いんじゃないかな~と個人的には思います(;^ω^)
そういうことなので、私は水虫外用液の服薬指導の際には必ず、

『フローリングなどのワックスに影響あるかもなので、付着したらすぐに拭き取って下さい』
と、服薬指導しています(*’ω’*)
最後に
薬剤師の服薬指導に一言追加するだけで心配事が1つ解消されるのであれば、一言追加する価値は大いにありそうです。
私ももうクレーム嫌ですしね(-_-;)
服薬指導の参考になれば幸いです。
ではでは。