【ホルモン】豆乳などの大豆製品は摂取した方が良い? 大豆イソフラボンやエクオールの効果

日常
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豆乳や納豆などの大豆製品を健康目的で召し上がってる人は多いと思います。

大豆イソフラボンが女性ホルモンに似た作用をするお話は有名ですね。

今回は大豆製品の摂取や大豆イソフラボンに関することを調べてみました。

目次

大豆イソフラボンとは?

大豆イソフラボンは、納豆や豆腐などの大豆製品に含まれている成分です。

女性ホルモンのエストロゲンの形に似ているので、女性ホルモンのような作用があるとされています。

濃度や組織によっては、エストロゲンと拮抗的に作用するので、婦人科疾患の予防やLDLコレステロールの抑制、脂質代謝の是正や抗酸化作用などの効果が期待されています。

腸内細菌が働かないと吸収されない?

大豆イソフラボンはそのままでは吸収されません。

吸収される為には腸内細菌による分解を受ける必要があります

腸内細菌によって分解されると、アグリコンと呼ばれる物質になります。

大豆イソフラボンは、配糖体と呼ばれる糖が付いている状態になっています。

この糖が腸内細菌により外され、吸収されやすくなります。

アグリコン

糖が外れた状態のイソフラボンをアグリコンと言います。

アグリコンには主に3種類あります。

エストロゲン活性は、ゲニステイン>ダイゼイン>グリシテインの順となります。

食品の中に含まれるイソフラボン量

納豆などの発酵大豆食品では、ほとんどがアグリコンの状態になっています。

大まかな大豆イソフラボン量は以下のようになります。
納豆1パック分で約40㎎
豆腐なら1丁で80㎎
コップ1杯の豆乳(200mL)で約40㎎

女性にうれしい成分 | おかめ「納豆サイエンスラボ」 (natto-science.jp)より

 

大豆イソフラボンから代謝されて産生されるアグリコンは、大豆イソフラボン量の55~60%の量になります。

納豆1パック・豆腐半丁・豆乳1杯で、同じぐらいのイソフラボン量(約40mg)、アグリコン量(約23mg)ということになります。

大豆イソフラボンの効果

骨密度の上昇報告

ヒトによるイソフラボンの介入試験は各国で行われています。

欧米の介入試験では、閉経後女性を対象に、50~100㎎/日のアグリコン量を半年~2年間摂取することで、骨密度の上昇が認められています。1)

50~100㎎/日のアグリコン量は、納豆だと2~4パック分です。

大豆イソフラボンの評価試験

大豆イソフラボンは、弱いながらもエストロゲン作用があるということで、子宮と骨に対する影響を評価した実験があります。

その結果、骨粗鬆症モデルのマウスの骨量減少を抑制させたこと、骨に対する作用の10倍量で子宮重量に影響することがわかりました。

この結果、大豆イソフラボンは骨に作用する量では子宮重量には影響しないことがわかりました。

摂取量を守れば、子宮に影響させることなく骨量減少抑制の効果が期待出来るということですね。

骨量減少率の抑制報告

他にも、毎日の大豆イソフラボン単独摂取群と、運動を併せた群で骨量減少率を確認した実験があります。

大豆イソフラボンはアグリコン換算で40mg/日、運動は週3回・1回45分のウォーキングです。

納豆2パックを毎日食べて違いを調べたようなものですね。

その結果、大豆イソフラボン単独で軽微な骨量減少。
運動を併せた方は、単独と比べて骨量減少を更に抑えられた結果となりました。

エクオールの有無で結果が変わってくる

この実験は、それだけではなく、大豆イソフラボンの効果はダイゼインの代謝物のエクオールが体内で作り出せているかどうかで左右されるという結果となったのです。2)

エクオールが作り出せてないと効果が乏しいということですね。

大豆イソフラボンはどれぐらい摂って良いのか?

トクホの摂取では1日30mgを超えないこと

2006年に発表された食品安全委員会の報告書では、

特保として摂取する大豆イソフラボンアグリコンは1日30㎎を超えないこと。

としています。

 

そして、日常の食生活で摂取するイソフラボンアグリコンの安全な1日摂取目安量の上限を70~75㎎/日としています。(毎日欠かさず摂取した場合。)

大豆イソフラボンアグリコンを70~75㎎というと、納豆だと3パック、豆腐なら1.5丁、豆乳なら3杯(600mL)ということになります。

閉経前の女性が、日常の食事に加えて、57.3㎎の大豆イソフラボン(アグリコン等量)を含む豆乳を2月経周期摂取したところ、月経周期の延長が認められました
この57.3㎎の1/2の量で、30㎎/日を上限値としています

母乳への移行あり

マウスによる実験では、母乳中への移行も確認されています。3)

妊娠期や授乳期、小児の特保による大豆イソフラボンの摂取は推奨はされていません。

大豆イソフラボンは、特に必要がなければ食事による摂取に留めた方が良さそうです。

代謝後の物質のエクオールに効果がある

先程、少しだけお話に出てきましたが、アグリコンであるダイゼインは、更に腸内細菌の代謝を受けてエクオールと呼ばれる物質になります

アグリコンの中でも、ダイゼインのエストロゲン活性はさほど強くはありません。

しかし、ダイゼインから作られるエクオールは、ダイゼインよりも遥かにエストロゲン活性が強いことがわかっています。

先の報告でも、このエクオールを作り出せるかどうかで効果の有無が左右されるとされてます。2)

エクオールを作れる人は少ない

ヒト以外の動物は個体差なくエクオールを体内で作ることが出来ます。

しかし、ヒトではこのエクオールを作り出す腸内細菌を持っている人は少ないです

欧米人で約30%、日本人(閉経後女性)で約50%の割合です。

 

性別や遺伝は関係なく、食生活などが大きく関係していると言われています。

日本人は昔から大豆製品類等を食して来たので、エクオールを造り出せる腸内細菌を持っている割合が多いと考えられています。

タバコはエクオール産生菌を減少させるかも

非喫煙者でのエクオール産生能を持つ人は43.3%、喫煙者では20%という報告もあります。4)

タバコはエクオール産生菌を減らしてしまう可能性があるということですね。

乳がんや前立腺がんの発症抑制の報告

エクオールを作り出せる人は、作り出せない人と比べて乳がんや前立腺がんの発症率が低いという報告もあります。

エクオールを作りだせるかどうかは、その人の腸内フローラが大きく関係していると思われます。

 

腸内フローラのパターンは個人毎に違いますが、基本的なパターンは分娩時に母親から引き継がれるとされています。

最近では腸内フローラを後天的に変えられる事もわかってきて、『腸活』として知られていますね。

何を食べればエクオールを産生出来るのか?

多くの文献や報告はありますが、残念ながら食品については未だにわかっていません。

豆類を食する習慣がある人でも、エクオールを作り出す菌の保有者は少数しかいない報告もあります。5)

 

エクオール関係のサプリメントは、現在多く販売されています。

現状では、エクオールサプリメントを摂取することが最も手早く済みそうです。

エクオールサプリメントって本当に効果あるのか?

エクオールサプリメントを実際に使った試験があります。

剥離性歯肉炎は、発症に女性ホルモンが関係している可能性があるため、エクオールのサプリメントを使って実験したとのことです。

剥離性歯肉炎は、歯肉の辺縁の潰瘍や剥離性びらんと浮腫性紅斑が特徴的です。
軽くこすると上皮が剥離しやすく、その経過がかなり長期的に続きやすいとされています。

 

エクオールを産生しているか調べた実験

剥離性歯肉炎の正常群と歯肉炎群にわけて、エクオールの産生能を調べてみた試験があります。

その結果、正常群では10名中8名、剥離群では6名中1名のみでした。

歯肉炎群は正常群よりも、日頃から大豆製品を頻繁に摂取する傾向があったにもかかわらずこのような結果が出ました。

 

その後、エクオールサプリメント1日量(エクオール10㎎)を1ヶ月摂取してもらうと、歯肉炎群全員の尿からエクオールが検出され、剥離性歯肉炎の改善も認められました。5)

エクオールは継続的に摂取しないといけない

サプリメントの摂取による血中のエクオール濃度は、8時間で上昇し始め、12時間~24時間でピークになります。

72時間後には低下してしまうため、蓄積性は低く、継続的な摂取が必要となります。5)

自分がエクオールを作り出せてるか知りたい

ソイチェックという検査キットがあります。

先程の剥離性歯肉炎の論文の評価等にも使われていて、尿を採取して郵送するだけで結果がわかります。


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エクオールは閉経前の女性には使えないのか?

多くの文献や論文では、あくまでも閉経後の女性を対象としています。

考えられる事はいくつかあります。

  1. 閉経前であれば、エクオールの何倍もの効果があるエストロゲン(エストラジオール)の体内量が豊富なため必要がない。
  2. 女性ホルモンが豊富なのに、それよりも弱いエクオールが入りこんでしまうと、ホルモンバランスの乱れが生じる可能性がある

 

なので、エクオールを摂取するときは、

閉経後に低下する女性ホルモンを補う

といった認識で摂取した方が良いでしょう。

エクオールによる骨量の減少抑制効果

エクオールを含有する大豆発酵食品を摂取した試験もあります。

エクオール量で10㎎/日摂取群は、骨の減少が有意に抑えられた結果となったのです。6)

中止したら1か月で元に戻った

しかし、エクオールの摂取を止めて1ヶ月後には、他の群と変わらない結果となってしまいました6)

この結果からも、エクオール産生菌を持たない人は、外部からエクオールを摂取すれば効果はありますが、やめれば元に戻ってしまうのでしょう。

効果にはエストロゲン受容体が関係している

お肌には効果が薄いかも?

エクオールは女性ホルモンに似た作用がありますが、全面的に同じような作用があるわけではありません。

女性ホルモンが身体に作用する時には、エストロゲン受容体と呼ばれる部位に、女性ホルモンが作用する必要があります。

鍵と鍵穴のような関係です。

アグリコンやエクオールは、女性ホルモンと形が似ているので、女性ホルモンのエストロゲン受容体に微弱ながら作用することが出来ます

エストロゲン受容体

エストロゲン受容体は身体中の細胞にあり、大きく2種類確認されています。

α受容体β受容体がありますが、身体の中で、それぞれ分布が異なります。

α受容体は子宮等に多く、β受容体は骨に多いとされています。7)

 

あくまで割合ですので、どちらか片方しか分布していないということはありませんが、顔の皮膚に関してはα受容体の発現の方が優位となっています。

皮膚におけるα受容体の発現量はβ受容体のおよそ30倍です。8)

アグリコンやエクオールはβ受容体に作用しやすい傾向にあります

骨に対する作用が大きい

エクオールはβ受容体に作用しやすいことが報告されていますので、やはり骨優位の働きになるかと思います。

エクオールのβ受容体(ERβ)への親和性は、α受容体(ERα)の約8~9倍です。

エクオールKi値 ERα=6.4nM ERβ=0.73nM
Kii値:親和性定数

Ki値が小さい程、受容体との親和性は大きくなります。

ちなみにエストラジオールはα受容体やβ受容体への親和性はほとんど変わりありません

 

骨を作る骨芽細胞にβ受容体が、骨を壊す破骨細胞にα受容体が割合多めに分布しています。

エクオールはβへの作用で骨の減少を抑えると考えられています。7)

乳がんには抑制効果

エストロゲンはα受容体を介して乳がん細胞の増殖を促進させますが、逆にβ受容体は乳がん細胞の増殖を抑制するように働きます。

乳がんにおいて、α受容体とβ受容体は互いに拮抗し合うということです。

エクオールはβ受容体への親和性が大きい為、乳がんにおいてはエストロゲンの様には作用せず、逆にエストロゲンによる作用を抑制すると考えられています。7)

ちなみに、エクオールの前段階のダイゼイン(アグリコン)もエクオールほどではありませんが、β受容体に対する親和性は強いです。

乳がん等の婦人科疾患のリスク・安全性に問題はなし

閉経後5年未満の女性を対象に、エクオール10㎎を12ヵ月毎日摂取した試験があります。

その結果、体重、BMI、栄養素摂取量に影響はなく、血中の甲状腺ホルモンや卵ほう刺激ホルモン値に影響はありませんでした。

安全性に関して問題なしとされています。6)

更年期の精神的不安

脳のエストロゲン受容体の分布はα受容体に比べてβ受容体の方が多いです。

その為、ホルモンバランスの乱れからくる更年期障害などの精神的不安の関与も、β受容体が関係している報告もあります。9)

エクオール産生菌がいなくなる?

現在、エクオール作り出せている人でも油断は出来ません。

閉経前後の女性で、エクオール産生者の10~20%が非産生者に変わることも報告されています。7)

エクオール生産菌を腸内で維持する方法が、現在わかっていないので、腸内に定着させる方法の確立化が期待されています。

結局、大豆製品は食べた方が良いのか?

今回調べたところ、大豆や納豆の摂取でエストロゲンの作用が現れやすいのは、エクオールを生み出す腸内細菌を持つ人だということがわかりました。

女性ホルモンの作用に重点をおいて、大豆や納豆を召し上がることは、個人差が大きいのでお答えが難しいというところです。

しかし、大豆製品等による腸内フローラの改善や、アグリコンであるゲニステインでも微弱なエストロゲン効果も認められています。10)

全く摂取しないよりは摂取した方が良い

女性ホルモンにのみに効果を期待することは、個人差が大きいのでエクオール産生菌を持つ人でないと期待は難しいと思われます。

しかし、エクオールの前段階のダイゼインや他のゲニステインなどのアグリコンでも抗酸化作用は確認されている為、大豆製品を食べることは微弱ではありますが、健康的にはプラスになる可能性はあります。

 

全く摂取しないよりは摂取した方が良い。

現状ではこのようなお答えになるかと思います。

エクオールサプリメントに関しては、閉経前の女性は女性ホルモンが豊富な為、必要ありません。

閉経前後の女性の場合であれば、エクオールサプリメントが有効な場合が多いかと思います。

まとめ

  • 大豆製品の長期に渡る摂取により、骨密度などの改善報告がある
  • 摂り過ぎで月経周期の延長の報告がある
  • 大豆製品の連日摂取は、納豆だと3パック・豆腐なら1.5丁・豆乳なら3杯(600mL)を超えない量を心がけること
  • エクオール産生菌を保有しているかで、大豆製品を摂取した後の効果に大きな差が現れる
  • タバコはエクオール産生を減少させる
  • エクオールサプリメントは継続的な摂取が必要で、やめると元の状態に戻ってしまう
  • エクオールは閉経後の女性ホルモンの減少を補う目的で摂取することが望ましい
  • 大豆製品は摂らないよりは摂った方が良い

最後に

現段階で、エクオールを作り出す菌の同体はいくつか報告されていますが、それを体内に留める術はまだ発見されていません。

今後の研究で、食品や菌の定着等が可能になる技術を開発してくれば良いですね。

ではでは。

参考文献
大豆イソフラボン類の代謝と腸内フローラ
骨粗鬆症の予防における大豆イソフラボンの生体利用性に関する研究
1)Ma DF et al. Clin Nutr 27: 57-64, 2008
健康食品素材の有効性評価及び健康影響評価に関する研究
2)Ishimi, Y., Arai, N., Wang, X.X., et al.: Difference in effective dosage of genistein on bone and uterus in ovariectomized mice, Biochem. Biophyis. Res. Commun., 274, 697-701(2000)
3)東泉裕子,梅木美樹,石見佳子,他:妊娠期・授乳期の母親ラット,仔ラットに対するゲニステインとダイゼイン投与における生体影響の相違,栄養学雑誌,64,161-172 (2006)
4)イソフラボンと腸内細菌代謝産物エクオール産生能の個人差が代謝症候群に及ぼす影響
5)剥離性歯肉炎患者に対するエクオール検査とサプリメンテーション
6)腸内細菌が作り出す大豆イソフラボン代謝産物の有用性と安全性 エクオールの可能性

7)エストロゲン受容体βアゴニストとしてのSーエクオールの女性疾患に対する有効性に関する最近の知見
8)皮膚細胞は独自に女性ホルモンを合成し、それが皮膚細胞の活動を制御している
9)エストロゲン受容体遺伝子多型の機能及び臨床効果応用に関する研究
10)大豆イソフラボンの有効性とリスク

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