薬局でお薬を貰うとき、多くの人はお薬代を支払います。
実はお会計金額って薬局毎に微妙に違っているのってご存知でしたか?
今回は薬局のお会計事情とお会計を安くする方法についてお話します。
(2021年3月時点)
目次
何で薬局毎に微妙に金額が違うのか?
お薬の値段は国が決めています。
薬価と呼ばれるお薬の値段を、国が定めていますので、お薬自体の金額は薬局ごとに変えることは出来ません。
では、何がお会計の違いを生み出しているのでしょう?
薬剤師が行う調剤やお薬の説明等の金額も調剤報酬という形で、国で定められています。
この説明をすれば○点。
お薬手帳を確認すれば○点。
(1点=10円)
などのように、細かく設定されているのです。
ちなみに病院やクリニックは診療報酬に基づいて金額が定められています。
これは医療において、独占や格差が生まれないようにするためです。
日本は国民全員が保険医療を受けられます。
日本全国どこの医療機関でも同じように医療を受けられるようにする仕組みのようなものですね。
しかし、それなら何故薬局ごとにお会計が違うのでしょう?
それは薬局の施設基準に関わる金額です。

平たく言えば、その薬局が国が求める一定の水準を満たしていれば、その分お会計をプラスしても良いというものです。
一定の水準とは?
基本料
調剤基本料というのは、薬局を利用すれば問答無用で算定される金額です。
この基本料ですが、一律かと思われがちですがそうでは有りません。
実は、ここにも一定の水準というものが存在します。
ざっくり言えば、受け付けてる処方せん枚数が極端に多かったり、集中率が高かったりすると、幅広い対応をしている調剤薬局とはみなされず、報酬が下がってしまいます。
国は、格差なく平等で幅広い医療を提供する体制を良しとしています。
つまり、1つの医療機関に依存したり、薬局の一極化は国は良しとしていないのです。
ですので、
『一ヶ所からの医療機関からの処方せん枚数が多い=一極化している』
というように見なされてしまうのです。
その為、条件の面でも一極化とみなされる毎に報酬点数は低くなっていきます。
薬学管理料
薬剤師は患者さんの情報を記録しなければなりません。
それは薬の飲み合わせやアレルギーや体質などを考慮した上で、適切な調剤を行う為です。
この情報を薬歴と言います。

患者さんのお薬のカルテのようなものです。
患者さんにお薬の指導をして、この薬歴を記載することでも報酬が発生します。
これを薬剤服用歴管理指導料(通称:薬学管理料)と呼びます。
裏技に近いですが、この報酬点数は外す事が出来ます。
薬局によっては、
『薬歴の記載を前提に適切な薬剤使用があるとし、薬歴を外すのであれば調剤出来ない』
としている薬局もあるので、出来るところと出来ないところがあります。

薬学管理料を算定しなくても、薬の適切な説明・指導は薬剤師の義務ですので本当は調剤はしなければなりませんが・・・。
※薬学管理料を外してしまうと、お薬の飲み合わせや患者の各種情報管理が成されない可能性があります。
副作用で有害事象が発生した場合に相談に応じられなくなるケースもありますので、自己責任の範囲でお願い致します。
算定の場合は、お薬手帳と来局歴の有無で点数が変わってきます。
最も安くなる方法は、
『3か月以内に再度お薬手帳と一緒に処方せんを受け付ける』
ということです。
地域支援体制加算
これは一般的な薬局よりも、更に幅広い対応を行っていると算定出来る報酬です。
ざっくり言えば、
特定の医療機関だけの為ではなく、他の医療機関からの処方せんを随時、幅広く受け付けできるように薬局を開局しており、地域住民の為に、必要に応じて迅速に調剤受付や相談に応じられるような体制を整えた薬局です。

まさに国が理想とする薬局を体現したかのような内容となっています。
在宅訪問でお薬を渡していたり、一定数以上のお薬の取り扱い、薬剤師の研鑽や、かかりつけ薬剤師の届け出など、算定するハードルはかなり高めです。
しかし、この算定を行っている薬局は幅広い医療を提供出来ている薬局と国が認めている同然です。
当然、それ相応の報酬も発生します。
処方せん1枚当たり38点の算定となります。
外来の報酬では最高峰の報酬料となっています。
基本料が1以外の場合は算定のハードルはかなり上がります。

基本料1以外で地域支援体制加算を算定することは条件が本当に厳しいので、算定している薬局があれば本当にすごいと思います。
それほどハードルが高いのです。
後発医薬品調剤体制加算
現在、国は医療費削減の為に後発医薬品を推進しています。
その為には、薬局にバンバン後発品を調剤して貰わなければなりません。
しかし、後発品というのは先発品と比べて安価です。
薬局も商売なので、利益を出さなければいけません。
安い後発品より先発品の方が利益を多く出せます。
薬局の利益をとしては、後発品より先発品を使った方が良いのです。
しかし、薬局が後発品を調剤してくれないと、いつまでも経っても国が望む後発医薬品の普及が出来ません。
そこで国は「一定数以上の後発品を使っている薬局には、受け付けた処方せん1枚に付きお会計をプラスしても良い」としたのです。
それが後発品医薬品体制調剤加算です。
「国が推進する後発品の普及に大きく貢献、努めてます」といった加算になります。
御覧のように、薬局で後発品を使えば使うほど、報酬が上がっていくのがわかります。
『利益が高い先発品ばかりを調剤しよう!』
という薬局が現れると思いますが、先発品ばかり使っていると、今度は減算の対象となります。
国の方針は後発医薬品使用の促進です。
現在は、数量ベースも減算点数も小さいですが、今後は厳しくなることは間違いないでしょう。
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どうやって見分ける?
明細書を見ると、その薬局がどのような取り組みをしている薬局か読み取る事が出来ます。
しかし、明細書はあくまでお会計後に貰える事が多いです。
どうすれば加算の有無を見れるのでしょうか?
掲示物を確認する or 電話する
薬局内に掲示している張り紙を確認するか、直接聞きましょう!それが一番手っ取り早いです。
張り紙に関しては加算を算定している場合は、薬局内にその旨を掲示しなければならない為、そちらで確認することが出来ます。
『当薬局は○○加算を算定しています 〇点』などですね。
しかし、
『薬局内に入ってしまったら、処方せんを出さなきゃいけなくなる空気に耐えられない!』
という場合は電話してください。
おそらく、よほどのことがない限りは答えてくれるかと思います。
目ぼしい薬局がわからない
いままで説明してきたことを思い返してみてください。
加算は基本的に、幅広く医療を提供している薬局に算定しやすいように出来ています。
つまり、一極化していそうな薬局を探せば良いのです。
多くの薬局は外から中の様子が少し見えるような構造になっていることが多いです。
おすすめは、
・いつも薬局の待合室が、患者さんで溢れている。
・調剤室にいる薬剤師が多い(数人以上)
こういった薬局は一極化している可能性が高いです。
しかし、こういった薬局は別です。
・さほど待合室が混んでいるわけではないのに、薬剤師数が多い。
・調剤室内にカゴが積み上がっていたり、いつも薬剤師が中で何かしらの作業をしている。
こうした薬局は老人ホームや、門前の医療機関の患者さん以外にお薬の渡し先がある可能性が高いです。
つまり、一極化していないということです。
あなたが行きつけの薬局はどういった雰囲気か、今度見てみるのも良いでしょうね。
処方内容でお会計が変わる 内服薬調剤料
「処方内容でお会計が変わる」
当然のことですが、こちらに関しても知っておかなければならないことがあります。
服用時点の数でお会計が安くなる
『この薬は朝食後に服用!これは昼食後に服用!あっちは夕食後に服用!』
など、服用時点を自分からお願いしている患者さんがたまにいます。
これは闇雲にお会計を上げる結果となるので、おすすめしません。
出来れば、お薬の服用時点はまとめた方が良いです。
例えは
A薬 1錠 朝食後 14日分
B薬 1錠 昼食後 14日分
C薬 1錠 夕食後 14日分
A薬 1錠
B薬 1錠
C薬 1錠 朝食後 14日分
実はこちらの処方内容では(2)の方が110点安いのです。
「使っている薬の量は同じなのに何で安いんだ?」
そんな質問が多いと思います。
内服薬調剤料というものは「服用時点が増えるほど高くなる」のです。
処方せん(1)では、服用時点は朝食後、昼食後、夕食後の3つありました。
処方せん(2)では、服用時点は朝食後だけの1つです。
内服調剤料は4つ目以降の服用時点は算定されませんが、3つの目の服用時点までなら算定することが出来るのです。
つまり、いたずらに服用時点を多くすると無駄にお会計が高くなってしまいます。
服用時点で効果に差異が出てしまうお薬以外であれば、基本的には用法は変えて問題ありません。
服用時点をまとめられるものがあれば、医師に希望を出してみましょう。
処方日数でも差が出る
ちなみに、処方日数でもわずかながら安くできるケースがあります。
それは、長期日数の処方せんの場合です。
処方せんの日数というものは日数で点数が区切られています。
日数の範囲内の点数は一律です。(22日分でも30日分でも77点になる)
つまり、22日分処方より、30日分処方の方が8日分お得になるのです。
そして、31日分以上はどこまでも一律です。(86点)
長期処方であるなら90日分が最もお得ということです。
薬学管理料を外してもらって、かつ病院に受診するつもりがなければ、90日分以上の長期であるほどお得となります。
夜間休日等加算
落とし穴となりがちなのは、平日の夜や土曜日の午後です。
時間によっては加算されてしまうので、要注意です。

平日の夜までか、土曜日の午前中に処方せんを受け付けてもらうのが良いでしょう。
結局、安く済ませたいならどうすれば良いか?
調剤基本料1以外を算定。
地域支援体制加算を算定していない。
後発医薬品体制加算を算定していない。
長期処方日数で処方せんを出してもらう。(医師に相談)
先発品希望であればAGを検討してもと思います。
どれぐらい安くなるのか?
先発:クレストール錠2.5mg 1錠 朝食後 28日分内訳
調剤基本料1(42点)、薬学管理料(57点)、地域支援体制加算(38点)、後発調剤加算(22点)、内服調剤料(77点)、夜間休日等加算(40点)、薬剤料(140点)
お会計は1250円となります。
AG:ロスバスタチン錠2.5mg「DSEP」 1錠 朝食後 28日分
内訳
調剤基本料3(21点)、後発調剤加算(22点)、内服調剤料(77点)、薬剤料(56点)
お会計は530円になります。
※薬学管理料を外してしまうと、お薬の飲み合わせや患者の各種情報管理が成されない可能性があります。
副作用で有害事象が発生した場合に相談に応じられなくなるケースもありますので、自己責任の範囲でお願い致します。
最後に
身も蓋もありませんが、結局のところは病気にならないのが一番ですね。
お金をかけて健康を続けている人もいますが、やっぱり健康は宝です。
極力、病院や薬局のお世話にならないような生活を心がけましょう
ではでは。