最近は後輩である薬剤師が成長してきたので、任せる仕事が増えてきました。
しかし、そんな後輩が不安に思っている対応があるそうです。
それは、
『欠品時対応』
です。
これは平たく言えば、
『薬局に在庫していない薬の処方が来た時の対応』
というものです。
薬局に処方せんを持っていった際、
このようなケースを経験したことがある人もいるのではないでしょうか。
欠品時対応は
- 薬局の在庫
- 納品時期
- 患者の残薬
- 薬局と患者の住所の位置関係
などをほぼ同時進行で確認していく必要があります。
その為、薬局業務にある程度慣れていないと難しい対応でもあります。
働いて間もない人だと確認すべき情報が多すぎてうまく判断出来ないですね(;^ω^)
よく後輩と、

『最初はそんなもんだよ。
慣れれば誰でも出来るから安心して~』
と、よくこのような会話をしてます。
欠品対応は慣れれば本当に誰でも出来るようになります。
今回は薬局業務の欠品時対応のお話です。
欠品時対応が苦手な方の参考になれば幸いです。
優先順位を決める
欠品対応に必要なのは優先順位です。
最も高い優先順位は2つあります。
①『いつその薬が薬局に入荷するか?』
②『欠品している薬がいつまでに必要か?』
ということです。
この①と②は同時進行で確認した方が後がスムーズになります。
次に確認すべきことは
③『薬の受け渡しの方法』
です。
そして、最後の手段としては、
④『周辺に薬局があるか?』
⑤『処方医に連絡して薬を替えてもらう』
ということです。
この①~⑤の優先順位を大きく間違えなければ欠品対応はスムーズに行えます。
③に関しては薬局さんや患者さんごとに対応が異なりますので、あくまでも一例としてご参考下さい(‘ω’)ノ
実際の対応例
先程の①②の優先順位を使った実際にあった例をお話します。
①『いつその薬が薬局に入荷するか?』
②『欠品している薬がいつまでに必要か?』
患者さんの処方せん受付時
確認の結果、薬の入荷日は翌日になる。
①『いつその薬が薬局に入荷するか?』
→翌日
②『欠品している薬がいつまでに必要か?』
→明後日
まずはこのように必要な情報を明確化していきます。
薬局に少しでも在庫があれば、後でお渡しするまでのつなぎとして、ある分だけを先にお渡しするのも非常に有効な手段となります。
お渡し方法の選択
①と②の確認の次は、
③『薬の受け渡しの方法』
についてです。
③に関しては薬局や患者の状況次第で対応が大きく異なりますので、ここだけは①②以上に臨機応変さが必要となります。
③に関して必要な確認は主に3つです。
③-1:『患者が期日までに来局できるか?』
③-2:『薬局スタッフが直接お届け可能か?』
③-3:『郵送等で期日までに間に合うか?』
では、このような確認を当て嵌めた実際の例を紹介します。
①、②の件後…
①『いつその薬が薬局に入荷するか?』
→翌日
②『欠品している薬がいつまでに必要か?』
→明後日
③-1:『患者が期日までに来局できるか?』
→不可確認
患者住所確認
→お届けに薬局の人員足りない
③-2:『薬局スタッフが直接お届け可能か?』
→不可確認
このような形の流れが大半です。
しかし、③-3の場合、期日までに間に合わなかったり、送料の負担を薬局側か患者側のどちらが負担するかの問題も出てきます。
期日が2日後なので薬が入荷してから速達で送ってギリギリ間に合うか間に合わないかですしね…( 一一)
次の手段
①~③の確認後、患者の手に薬が渡らなければ次の手段です。
それは、
④『周辺に薬局があるか?』
こちらを確認することです。
周辺に薬局がもしあれば、周辺の薬局に協力して貰います。
確認することは大きく2つです。
④-1:『薬を譲ってもらう』
④-2:『患者を紹介する』
④-1に関しては、実は一部薬を除いて薬局間で薬を売買することが可能です。
欠品している薬は他の薬局であれば在庫している可能性があります。
④-2に関しては、薬局の人員の都合上等で薬を買いに行けない場合や患者が希望する場合です。
では、このような確認を当て嵌めた実際の例を紹介します。
①、②、③の件後…
周辺の薬局に電話
④周辺の薬局に在庫があることを確認
あとは薬を譲ってもらうか、患者に行ってもらうかを選択するだけとなります。
このような形となります。
最後の手段
④の周辺の薬局にも在庫しておらず、立ち行かなくなった時の手段です。
それは、
⑤『処方医に連絡して薬を替えてもらう』
ということです。
これは処方せんの内容を変えることとなりますので、処方医への連絡は必須となります。
ここで確認することは2つです。
⑤-1:『代替薬を確認しておく』
⑤-2:『最短で使用可能な日を確認しておく』
処方医への連絡前の代替薬の確認は必須といって良いでしょう。
代替薬とは同じような効果を持つ別のお薬ということです。
こんな感じで問い合わせてます。
ここの代替薬で注意すべき点があります。
それは、
『薬局に在庫している代替薬を確認する』
ということです。
では、また①からやり直すことになります。
私は昔これやってしまって先輩からめっちゃ怒られました。
アホですね~ホント(*´Д`)

『ひぃ~!すみません…(泣)』
処方医に確認して代替薬OKであればそれを渡しておしまいです。
しかし、
というDr.も中にはいます。
その場合は、その薬を使い始めるタイミングを伝えましょう。
『⑤-2:近隣の薬局には全て確認したのですが、お薬がありません。
お取り寄せして患者様のお手元に届くのは○日後です。ですので、こちらのお薬の使い始めは○日後からとなりますが、よろしいでしょうか?』
このような感じです。
ここまで確認それで良しとするのであれば、患者にその旨を説明して対応するようにしましょう。
全体の流れ
まとめになりますが、全体の流れです。
①『いつその薬が薬局に入荷するか?』
②『欠品している薬がいつまでに必要か?』
③『薬の受け渡しの方法』
③-1:『患者が期日までに来局できるか?』
③-2:『薬局スタッフが直接お届け可能か?』
③-3:『郵送等で期日までに間に合うか?』
④『周辺に薬局があるか?』
④-1:『薬を譲ってもらう』
④-2:『患者を紹介する』
⑤『処方医に連絡して薬を替えてもらう』
⑤-1:『代替薬を確認しておく』
⑤-2:『最短で使用可能な日を確認しておく』
簡単なフローチャートにするとこんな感じでしょうか(‘ω’)
実例に関しても全体でみてみましょう。
機会は少ないですが、①~⑤まで進んでしまったときの実例です。
患者さんの処方せん受付時
確認の結果、薬の入荷日は翌日になる。
③-1『患者が期日までに来局できるか?』
→不可確認
住所確認
→お届けに薬局の人員足りず
③-2『薬局スタッフが直接お届け可能か?』
→不可確認
③-3:『郵送等で期日までに間に合うか?』
→不可確認
周辺の薬局に電話
→周辺の薬局全滅
④-1:『薬を譲ってもらう』及び④-2:『患者を紹介する』
→不可確認
処方医へ確認
『⑤-1:近隣の薬局にも確認したのですが、どこも処方薬の在庫がない状況です。ただ、当薬局に同系統のお薬で○○というお薬でしたら在庫がございます。お差し支えなければ、そちらに変更させていただいてもよろしいでしょうか?』
『患者様のお薬の手持ちは明後日まではあるようです。
患者様のお手元には3~4日後に届く予定です。
ですので、処方薬ですと使い始めは最短で3~4日後からとなります。
お薬の未使用期間が1~2日程発生するかもしれませんが、よろしいでしょうか?』
⑤『処方医に連絡して薬を替えてもらう』
→代替薬ではなく処方薬の使用開始日の許可をもらうことで対応
今回の対応:
・薬局に全く在庫がない為、卸に確認。
・翌日入荷するも患者の再来局不可。
・スタッフによるお届けも不可。
・郵送手段となるが、使用開始が3~4日後と遅れてしまう。
・近隣薬局にも在庫なし。
・処方医に相談の結果、使用開始日を3~4日後で許可
紹介したのは実際に遭遇したケースですが、①から⑤まで進むときはこんな感じで進むことが多いです。
欠品した薬が抗生剤とか、急を要する薬の場合はすぐに変更してくれることが多いのですがね…(*´Д`)
患者の処方薬や薬局、医療機関の環境により欠品時対応のやり方は異なりますのでご参考程度に(‘ω’)ノ
最後に
このように優先順位を立てて確認することがわかると自然に対応も立てやすくなります。
何事も準備、確認、慣れですね
薬局業務の参考になれば幸いです
ではでは。