【浮腫】むくみは何故起きる?着圧ストッキングの選び方

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仕事が終わった後の靴下跡や、朝起きた時の足のだるさなど経験はないでしょうか?

多くはむくみが原因となっていて、着圧ストッキングなどを使っている人も多いと思います。

今回は着圧ストッキングでむくみがとれるのかを調べてみました。

むくみ(浮腫)は何故起きる?

そもそもむくみ(浮腫)って何でしょう?

むくみは簡単に言えば、足に余分な水分が溜まってしまっている状態のことです。

動脈と静脈

人の身体は心臓から血液が足先まで送られて栄養を届け、栄養を届け終わった血液はまた心臓に帰ってきます。

栄養を届ける為に身体の先まで延びてる血管は動脈と呼ばれます。

逆に、栄養を届け終わった後に心臓へ帰っていく血管は静脈と呼ばれます。

むくみに大きく関係しているのは、この静脈です。

血管には無数に孔(あな)がある。

細胞に栄養を届ける為には、血管内から外に出る必要があります。

血管には無数の孔(あな)があり、この孔から水分や栄養分が血管と細胞を往き来します。

静脈の流れが悪くなると水分が溜まる

血液は流れるというよりも、常に後から来る血液に押し出されているような形で進みます。

足先から心臓に帰ってくる血液は、立っている時は重力に逆らって進まなければいけません。

通常であれば、重力に逆らって進めるように足の筋肉をポンプ代わりにして圧力を加えて重力に逆らえる力を得ます

しかし、足が不自由な場合などでは足の筋肉を上手く使うことが出来ません

すると、血液は足の静脈で渋滞してしまいます

静脈で渋滞していても、心臓は動き続けるので、後ろからの血液に押されます。

結果、静脈内に血液が溜まり、血液内に留められない水分は外側(細胞)に出てしまい、それは浮腫として現れます。

1日中、立ち仕事など重力の影響を受け続けたり、デスクワークなど、足を動かさない場合などはむくみが出やすくなります。

着圧ストッキング

むくみに対しては着圧ストッキングが効果的な事は数々の報告があります。

着圧ストッキングは日中に使う場合と、夜寝ているときに使う場合で分けることが出来ます。

日中に使用する場合

日中に使用する場合で、立ち仕事が多い看護師20名を対象とした研究があります。

着圧ストッキングを使用した全ての例で、下肢静脈の血液量が減少し、静脈瘤浮腫が改善した結果となりました。1)

静脈の血液量が多いと、結果的に足の筋肉を多く動かさなければならなくなり、疲労へと繋がります。

着圧ストッキングを使用して、むくみを抑えることは下肢の疲労を軽減することも期待出来ます

夜寝ているときに使う場合

成人女性の朝起きた時の足の周囲を測った研究もあります。

基本的に横になれば重力の影響を軽減出来るので、着圧ストッキングを使わなくても足の浮腫は幾分か解消されます

着圧ストッキングを使えば、使わない時と比べて足の周囲径が小さくなり、足部容積も減少したのです。

平均値ですが、ふくらはぎは-0.5cm、太ももは-0.6~0.9cm周囲が小さくなった報告があります。2)

着圧ストッキングの圧力

圧力は弱・中・強に分かれますが、一般的にむくみ予防などで使う場合はで十分です

 

弱圧:10㎜Hg~20㎜Hg   または 13hPa~26hPa
中圧:20㎜Hg~30㎜Hg または 26hPa~39hPa
強圧:30㎜Hg以上  または 39hPa以上
圧力の単位は『㎜Hg:ミリ・エイチジー』または『hPa:ヘクトパスカル』で表します。

 

圧が強ければ、むくみを予防・改善する効果も高くなりますが、中圧・強圧などは静脈瘤などの疾患予防として使われる事が多いです。

8㎜Hg(10hPa)でもむくみには効果があることが報告されています。3)

 

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静脈瘤

身体の中で血液は常に流れ続けています。

しかし、それが滞ってしまうと血液は固まり始めてしまいます

これが血栓となり、脳梗塞、肺塞栓症などの塞栓症の原因となってしまいます

エコノミークラス症候群

肺塞栓症として有名なものに、エコノミークラス症候群があります。

飛行機などの長時間座り続けなければならない場面では、足の筋肉も動かさなくなるため、静脈血の渋滞が起こりやすくなります。

静脈血の渋滞で血栓が生じ、肺塞栓症に繋がってしまいます。


「エコノミークラス症候群」を予防するには? | プラチナage (platinumage-web.com)より

ストッキングの種類

ストッキングの型:タイプ

ハイソックス型・ストッキング型・パンスト型など幾つか種類があります。

むくみや静脈瘤ではふくらはぎが原因となります。

その為、上記3種類であれば好みで選んでしまって構いません

 

しかし、リンパが原因となるむくみでは、太ももまで原因になるケースが多いため、ストッキング型もしくはパンスト型が良いでしょう。

つま先あり・なし

つま先のありなしは基本的に効果にさほど影響しません

その為、好みで選んで構いません

暑くて蒸れるのが嫌であれば、つま先なし。
つま先が冷たい、靴の履き心地が悪くなるなどであればつま先あり
などで選ぶと良いでしょう。

圧力が  足首>ふくらはぎ>太もも となっているものを使用する

静脈の圧を上げて血液の滞留を防ぐ事が目的のため、足先の圧迫を最も強くする必要があります

足首より上の部位の圧力が強いと、血流を塞き止めてしまいます。

大体の製品の圧迫圧は足首:ふくらはぎ:太もも10:7:4に設定している場合が多いですが、圧力が足から太ももにかけて段階的になっているものを使用しましょう

自分のサイズに合った物を使用する

ちょっと怖い話になりますが、医療用の着圧ストッキング(弾性ストッキング)で神経障害や足の壊死が報告されています。4.5)

足の壊死は3日間ストッキングを使用し続けた結果だそうです。

その時のストッキングの圧力は50㎜Hgで強圧より上の数値です。

装用中のストッキングにしわが生じた場合、部位によっては15.4%圧力が上がる報告もありますので、50㎜Hgよりも圧力は高かった可能性もあります

ストッキングを使用する際は、適正サイズの物を使用して、必ず1日1度は外し、皮膚の状態を確認するようにしてください。

弾性ストッキングなど、圧力が高いストッキングは人によっては使うことが出来ない場合があります。
・血行障害
・糖尿病
・皮膚の急性炎症
・急性の血栓症
・うっ血性心不全 など
ご注意下さい

弾性ストッキングは医療現場では必須となっている。

手術後などは寝たきりとなることが多いため、静脈瘤を予防するために弾性ストッキングを使用します。

先にも話した肺塞栓症は無症状なこともあれば、即死することもあり非常に危険視されています

その為、2004年から手術後の深部静脈血栓症予防に弾性ストッキングの使用が保険認可されています。

医療現場などで使用される、圧が高めに設計されているストッキングは『着圧』ではなく、『弾性ストッキング』と称されています

寝てる時にストッキングを使うと睡眠の質は下がる?

仕事を頑張ってる人は、むくみ対策の為に着圧ストッキングを使用していることもあるかと思います。

夜に着圧ストッキングを使用するのは良いですが、それにより睡眠の質は低下するのでしょうか?

 

着圧ストッキングを使ったことがない成人女性を対象とした研究があります。

主観的ではありますが、入眠や睡眠時間の良さ、疲労回復の良さなどを数値化し、着圧ストッキングを非使用・使用(弱圧・中圧・強圧)のグループに分け、評価スコアを集計しました。

その結果、非使用グループと使用グループに有意差はなかったそうです。

つまり、着圧ストッキングにより睡眠の質は変わらないということですね。

しかし、有意差はなかったのですが僅かな差として、弱・中は非使用よりも睡眠の質が上がり、強は下がる結果となりました。

弱圧・中圧:睡眠の質が上がった
強圧:睡眠の質が下がった
※有意差はなく僅かな差です。

実験終了後の感想(自由記述)では

初めて寝ながらストッキングをはく、翌朝スッキリ感じがあります。
これを使った翌日は、本当に脚が軽くなっている事に気づくと思います。
着圧は初めて履く、締め付け感が強く、少し不快でしたが我慢して就寝、翌朝・・・むくみが解消されている事に驚愕。
最初履いたまま寝るのはちょっといやだと思った。眠れなかった。我慢して就寝、だんだん慣れた。

その他も感想はありますが、初めての着圧ストッキングはやはり違和感あるようですが、すぐに慣れるようです。2)

有意差はありませんでしたが、弱圧・中圧で睡眠の質が上がった傾向にあるとのことでしたので、寝る時に使用する着圧ストッキングは弱~中圧で十分だと考えられます。


まとめ

  • むくみ予防の圧は弱圧(20㎜Hg以下)でOK
  • ストッキングの型やつま先の型は、通常のむくみであれば好みで選んでよし
  • 睡眠時の使用で眠りが浅くなる心配はない(使うなら弱圧か中圧)
  • 適正サイズは必ず守る
  • 1日1度は必ず外して皮膚の状態は確認する事

最後に

着圧ストッキングは働き盛りの人のむくみ、疲労軽減や静脈瘤などの疾患予防に効果はあるようです。

ご自身にあったストッキングを選択して、生活の質を高められれば良いですね。

ではでは。

参考文献
1)看護師の下肢静脈機能と弾性ストッキングの効果(2013)
2)睡眠環境の調査並びに就寝用着圧ストッキングの効果と睡眠への影響(2016)
3)むくみと静脈瘤、リンパ浮腫を防ぐ弾性ストッキング(2008)
4)弾性ストッキングにより生じた圧迫性神経障害(2005)
5)弾性ストッキングによる足部壊死の1例(2011)
下肢静脈瘤術後に用いる弾性ストッキングの至適サイズについての検討(2015)

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