【ドライアイ】ヒアレイン点眼とジクアス点眼の使い分け

医療系
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本記事は私の薬剤師業務のあんちょこ、備忘録として記録しています。

ここではヒアレイン点眼液(ヒアルロン酸Na)とジクアス点眼液(ジクアホソルNa)の使い分けをまとめています。

私の業務経験や各書籍の情報を基に作成していますので、医療業務の参考になれば幸いです。

 

先にまとめ

  • ヒアレイン:ヒアルロン酸そのものの効果により、水分保持や安定化、創傷治癒促進を図る
  • ジクアス:上皮細胞に作用して、水分保持や安定化を図る
  • 涙液増加作用はジクアスが上
  • ジクアスの適応は現在ドライアイのみ
  • 目の乾きが強い場合: ジクアスがおすすめ
  • 目の表面に傷がある場合: ヒアレインがおすすめ
  • ドライアイに使用する場合、お財布に優しいのはヒアレイン
  • 眼の刺激感等を避けたい場合や、ジクアスを使っていて副作用が気になるようであればヒアレインを選択
  • コンタクトレンズ装着したままの使用は先発品は記載なし。後発品はメーカーによる(記事内参照)
  • ヒアレインとジクアスの併用はOK

そもそもドライアイって?

医療現場ではドライアイの治療薬として、ヒアレイン点眼やジクアス点眼がよく処方されますが、そもそもドライアイの定義とは何でしょうか?

 

ドライアイとは、

『様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患』

と、定義されています。

様々な要因によって涙の量が減ったり、涙の質が低下したりすることで、目の表面が乾燥する状態を指しますね✨

主な症状としては、

  • 目の乾き
  • 異物感
  • 充血
  • 痛み
  • かすみ目
  • 目の疲れ

などが挙げられます😄

ヒアレインやジクアスは目の涙液層を安定化させる事でドライアイを改善するとされています。

 

効果の違い

ヒアレインは優れた保水性で水分子を保持することで、涙液層の安定性を増加させます。

また、細胞接着や伸展を促進することで傷の治癒を促進させる効果もあります。

 

ジクアスは目の上皮細胞にあるP2Y2受容体に作用して、水分やムチンの分泌を促すことで涙液層の安定化を図ります

 

簡単にいうと、

ヒアレイン:ヒアルロン酸そのものの効果により、水分保持や安定化、創傷治癒促進を図る

ジクアス:上皮細胞に作用して、水分保持や安定化を図る

 

ちなみに、涙液増加作用に関しては、人工涙液と比較してヒアレインは点眼後10分程、ジクアスは30分程有意な増加作用があったと報告があります。

その為、単純な涙液増加作用はジクアスに軍配が上がりますね👍

 

使い分け

適応による使い分け

ヒアレインの適応症は、ドライアイの他、術後の外因性疾患など、多くの疾患に適応があります。

しかし、ジクアスの適応は現在ドライアイのみとなっています。

 

ヒアレイン点眼液:
下記疾患に伴う角結膜上皮障害
・シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼球乾燥症候群(ドライアイ)等の内因性疾患
・術後、薬剤性、外傷、コンタクトレンズ装用等による外因性疾患

ジクアス点眼液:
ドライアイ

※2025年2月時点

 

その為、保険適応上による、目の疾患への使い勝手ではヒアレインの方が良さそうですね😄

それにヒアレインは0.1%のみではなく、高濃度の0.3%も存在しますので、創傷治癒目的ではヒアレインを使用することが大半です。

 

ですので、大まかには以下のような使い分けになります。

  • 目の乾きが強い場合はジクアス: 涙液増加作用が強いため
  • 目の表面に傷がある場合はヒアレイン:創傷治癒促進効果があるため

 

お財布に優しいのは?

両薬剤の薬価が以下のようになります。

  • ヒアレイン点眼液0.1%:245.4円
  • ジクアス点眼液3%:358.3円

※2025年2月時点

 

ヒアレインは1日5~6回、ジクアスは1日6回が通常の用法用量となります。

両者同じぐらいの使用頻度ですので、ドライアイに使用する場合、お財布に優しいのはヒアレインと言えますね🤔

 

副作用

ジクアスの有名な副作用には眼の刺激感(6.7%)があります。

その他、目脂(4.7%)や結膜充血(3.7%)など、ヒアレインと比較して副作用が多めな印象です。

眼の刺激感等を避けたい場合や、ジクアスを使っていて副作用が気になるようであればヒアレインを選択する形ですね。

 

ちなみに眼の刺激感や目脂は使用を続けていると軽減される事が多いので、酷くならなければ1ヶ月程は継続してみるのもありです👍

 

コンタクトレンズ装着したまま使用可能か?

良く質問されるコンタクトレンズ装着したままの使用ですが、先発品のヒアレイン、ジクアスは共に注意書きはありません。

後発品になると、メーカーによっては注意書きがあるものもありますのでご注意下さいね😅
※PF製剤除く

 

以下が後発品の『ソフトコンタクトレンズを装着したまま使用しないこと』の各メーカーの注意書き一覧です。

『あり』は添付文書に『ソフトコンタクトレンズを装着したまま使用しないこと』の文言があり、『なし』は記載なしとなります😄

後発ヒアルロン酸Na

  • 「科研」 なし
  • 「わかもと」 あり
  • 「ニットー」 なし
  • 「センジュ」 なし
  • 「杏林」 あり
  • 「日新」 あり
  • 「ニッテン」 あり
  • 「Nitten」 なし
  • 「TS」 なし
  • 「トーワ」 なし
  • 「JG」 なし

後発ジクアホソルNa

  • 「ニットー」 あり

※2025年2月時点

 

ヒアレインとジクアスの併用

ヒアレインとジクアスを併用すると、涙液の増加作用がジクアス+人工涙液と比較して増加したことが報告されています。

ヒアレインもジクアスも似たようなドライアイの薬ですので疑義照会したくなりますが、ヒアレインとジクアスの併用はOKです😄

 

製剤的に使う順番はどちらからでも大丈夫です。

ただ、強いて言うのであればヒアレインの方が製剤上、ムチンとの相互作用により粘度が上がってしまうので、可能であればジクアスを先に使用した方が良いですね✨

 

まとめ

  • ヒアレイン:ヒアルロン酸そのものの効果により、水分保持や安定化、創傷治癒促進を図る
  • ジクアス:上皮細胞に作用して、水分保持や安定化を図る
  • 涙液増加作用はジクアスが上
  • ジクアスの適応は現在ドライアイのみ
  • 目の乾きが強い場合: ジクアスがおすすめ
  • 目の表面に傷がある場合: ヒアレインがおすすめ
  • ドライアイに使用する場合、お財布に優しいのはヒアレイン
  • 眼の刺激感等を避けたい場合や、ジクアスを使っていて副作用が気になるようであればヒアレインを選択
  • コンタクトレンズ装着したままの使用は先発品は記載なし。後発品はメーカーによる(記事内参照)
  • ヒアレインとジクアスの併用はOK

最後に

簡単にではありましたが、ヒアレインとジクアスの使い分けでした😄

医療業務の参考になれば幸いです。

ではでは。

参考文献
各薬剤添付文書
薬価サーチ2024【薬価検索&添付文書検索】

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