
「今月は先発品希望の患者さんが多くて、後発医薬品の使用率が下がってしまいました…」
「来月から後発加算下げないと…」
月末の薬局で、こんな会話が交わされることはありませんか?
後発医薬品調剤体制加算(以下、後発加算)の基準を下回ってしまった時、

「すぐに加算を辞退・変更しなくては!」
と焦ってしまうかもしれません。
でも、少し待ってください。
実は、厚生局への届け出のタイミングを工夫するだけで、実質1ヶ月間、加算を継続しながら様子を見ることが可能なのです。
今回は、知っていると慌てずに済む、施設基準の届け出ルールについて、わかりやすく解説します😄
もうご存知の方も、復習がてらで確認いただければ幸いです✨
まずは基本!後発加算と届け出の「2つのルール」
ご存知の通り、後発加算は「直近3ヶ月間の後発医薬品の使用割合の平均」で、算定できるランク(加算1, 2, 3)が決まります。
数字が大きい方が点数高めでしたね😄
そして、この加算ランクに変更があった際の届け出には、適用タイミングが異なる2つのルールが存在します。
ルール①【当月】から適用
月の最初の開庁日(例:7月1日)に届け出て受理されると、その月(7月)から新しい加算ランクが適用されます。
ルール②【翌月】から適用
月の最初の開庁日”以外”の日(例:7月2日以降)に届け出て受理されると、翌月(8月)から新しい加算ランクが適用されます。
このルール②が、今回のポイントです。
【実践】届け出ルールで「1ヶ月の猶予」を作る方法
具体例で見ていきましょう。
例えば、4月・5月・6月の3ヶ月平均の後発率が、現在算定している「加算2」の基準(85%以上)に届かなかった薬局があるとします。
パターンA:すぐに加算ランクを下げる場合(ルール①を利用)
7月1日(月の最初の開庁日)に、「加算2を辞退し、加算1を算定する」という届け出を提出。
【結果】7月1日から加算1の算定となります。
パターンB:1ヶ月様子を見る場合(ルール②を利用)
7月2日以降(月の最初の開庁日を過ぎてから)に、同様の届け出を提出。
【結果】届け出は翌月適用なので、7月中は加算2を継続でき、8月1日から加算1の算定となります。
このように、届け出を1日ずらすだけで、実質的に1ヶ月の猶予期間が生まれます。
この1ヶ月で後発率が回復する可能性に賭けることができるのです🤗
もし回復したら?V字回復シナリオ
では、上記のパターンBで7月を乗り切った結果、後発率が回復したらどうなるでしょう?

「7月に頑張った結果、5月・6月・7月の3ヶ月平均が、再び「加算2」の基準をクリアした!」
という状況ですね。
7月2日以降に「8月から加算1に下げます」という辞退届は提出済み。
しかし、状況が回復したので、8月1日に「やはり8月から加算2を算定します」という算定届をルール①で提出します。
施設基準の届け出は、原則、「後から出したものが優先(上書き)されます。」
「辞退届の辞退届」のようなものは必要ありません😓
【結果】7月は「様子見」で加算2を算定し、8月も「V字回復」で加算2を継続算定できる、という最高のシナリオが実現します。
ただし、8月の月初めの開庁日を逃して届出をした場合は、加算2を算定できるのは9月となりますので、注意が必要です😓
よくある?質問
私が実際に薬局スタッフさんから質問された内容です😄
Q:基準未達でも、どうせ回復しそうなら辞退届は出さなくていい?
A:いいえ、届け出は行いましょう。
施設基準に変更があった場合は「速やかに届け出ること」と定められています。
基準を下回ったことが確定した時点で、まずはルール②を利用して辞退届を提出しておくのが、最も適切な手順です。
Q:この「猶予期間」って、正式な制度なの?
A:いいえ、正式な「猶予期間」という制度ではありません。
あくまで、届け出の適用タイミングに2つのルールがあることから「結果的に猶予期間のようになっている」という状態です。
最後に
後発率が基準を下回ってしまっても、すぐに加算を諦める必要はありません。
- 届け出には「当月適用」と「翌月適用」の2つのルールがある。
- 月の2日目以降に届け出ることで、1ヶ月間様子を見ることができる。
- その間に回復すれば、再度届け出ることで加算を継続できる可能性がある。
これらの要点がポイントとなります😄
もちろん、薬局の方針や管理者の考え方にもよりますので、この方法が使えるかどうかは、必ず薬局内で相談・検討してください🤔
もしご不明点等があれば厚生局に聞いてみることをおすすめします😓
「もうダメだ」とすぐに諦めるのではなく、「1ヶ月様子を見る」という選択肢があることを知っておくだけで、月末の慌ただしさが少し変わるかもしれません。
この記事が、日々の薬局業務の参考になれば幸いです✨
ではでは。