それ病院でも同じこと質問されたよ!!
と、ご立腹の患者さんがたまにいます。
- 病院で質問される内容と同じ
- 毎度、体調が変わりない
にもかかわらず質問してくる薬剤師に対する怒りですね。
薬局業務には『薬歴』というものがあります。
正式には『薬剤服用歴』と呼ばれているものです。
平たく言えば患者さんの薬のカルテですね。
薬剤師が患者さんに質問する理由の1つとして、この『薬歴』が挙げられます。
今回はこの『薬歴』がどのように記載されているのかをお話します。
基本情報を記入
薬歴は個人情報の塊
薬歴の頭書き(表紙)には、氏名・生年月日・性別・住所・電話番号の記入は必須となっています。
アレルギー歴、副作用歴、体質も頭書きに記入し、定期的(約6か月毎)に更新することが望ましいとされています。
これらはよく問診票などで、質問をされる内容でもありますね。
ちなみに薬歴の保管期間は3年間と法律で定められています。
その為
前に来たことある薬局だけど、また問診票を書かされた。
というケースは、最後の来局から3年以上経過しているケースが多いです。
問診票の情報は、しっかりと『薬歴』に保管され、お薬の使用に役立てられます。
投薬時の情報を薬歴に記入する
患者さんの基本情報に基づいて、調剤されたお薬は患者さんに渡されます。
その際に、薬剤師は患者さんの体調や副作用を確認して、『薬歴』に記載する義務があります。
その為
なんで処方が変わってないのに同じこと質問するの?
と疑問に思われる方もいるでしょうが、それは薬剤師としての義務なのです。
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薬歴に記入すべき確認事項
患者さんから得た情報を薬歴にまとめます。
- 服薬状況
- 体調変化
- 副作用の発現
- 他科受診
- 併用薬
- 飲食物
- 既往歴(合併症)
- 後発医薬品の意向
- 残薬確認
非常に多いですね・・・。
1~3に関しては必ず確認し、それ以外は変化があれば確認という形になっています。
合計9項目を薬歴には記載します。
基本的に起こった出来事は薬歴に記入
その他にも病院との情報のやり取りや、患者さんやご家族の相談内容などは全て薬歴に記入します。
情報を一元化することにより、違う薬剤師でも同水準の医療を提供出来るようになります。
しかし、これら全てを毎回質問すると、患者さんはうんざりしてしまいますし、もう薬局に行きたくなくなります。
ですので、処方内容がいつも変わらない患者さんの場合、
お変わりの事はございませんか~?
本当は良くないのですが、この一言で済ませてしまうことも多いです。
この『お変わりの事はございませんか?』は、確認すべき項目のほとんどが含まれていると思ってください(;^_^A
患者さんの様子を見て、特に気になることがあれば追加で質問したりします。
『お薬余ってないですか?』
『こないだ薬が変わりましたけど、不具合はなかったですか?』
などですね。
逆に薬が新しく増えたり、新規の患者さんの場合は多めに聞き取りを行います。
投薬内容も薬歴に記入する
先ほどの投薬から得た情報を薬歴に記入します。
ここでは、先ほどの項目の他に記入することがあります。
それは患者さんとの会話や、薬剤師の見解や申し送り事項です。
SOAP形式
薬歴の記載は、SOAP(ソープ)形式で記入することが多いです。
S:subject data(主観的情報)
O:objective data(客観的情報)
A:assessment(評価・判断)
P:plan(計画)
なんだか難しいですね・・・
簡単な例で説明しましょう。
痛み止めのロキソニンを服用している患者さんに対する投薬です。
ロキソニンを飲んでて、気になることはないですか?
『痛みは大丈夫だけど、ちょっと胃がムカムカする』
『たまに空きっ腹で飲んでる時がある』
このような受け答えの場合
たまに空きっ時で飲んでる時がある。
しかし胃のムカつきがある様子。
血液検査値に異常はなく、浮腫みや吐き気等のその他の副作用はない様子。
それでもムカつきが治まらなければ、薬局又は医療機関に相談するように勧める。
次回、服薬状況・胃のムカつきの経過・有無を確認すること。
おおまかですが、このような内容で記入することが出来ます。
その他、先程の確認すべき9つの項目を記入出来たら薬歴の記載は完了となります。
最後に
患者さん一人につき毎回この仕事を行っています。
お薬の相互作用とか心配ですしね(;´д`)
ですので、お薬をお渡しする際の薬剤師からの質問に対して
病院でも同じこと質問されたよ!!
という思いも重々理解していますが、何卒ご了承いただけましたら幸いです。
ではでは。