【漢方薬】漢方薬2種類以上飲んで良いの?甘草編

日常
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患者さん

『漢方薬って2種類以上重ねて飲んで良いの?』

薬局ではこんな質問も多いです。

結論から言うと、2種類以上の漢方薬を重ねて服用して問題が生じることは少ないです。

 

ただ、同時に服用すると効き方が変わったり副作用のリスクが増しますので、必要な時以外は飲まないに越したことはないと答えています。

特に、甘草や麻黄、附子が入っている漢方薬に関しては尚更です。

 

今回は甘草が入っているケースについてお話します。

漢方薬を重ねて使用する方の参考になれば幸いです。

 

甘草の総量を確認する

患者さん

漢方薬って2種類以上重ねて飲んで良いの?

という質問に対して特に気を使うのは、甘草の量がどれぐらい増えるかということです。

 

質問に対しては甘草の量にもよりますが、
漢方薬内の甘草の量が1日量6gを越えているようなら、

 

むかたけ
むかたけ

2週間以上連続で使用すると、10人に1人ぐらいの割合でミネラルバランスが崩れる副作用が認められてます。
なので、本当に必要な時以外は重ねて飲まないようにして下さい

 

と答えています。

 

低カリウム血症

正直、私の薬局では漢方薬に関しては甘草に関する副作用が一番多いと感じています。

よくある例として、不穏に対して『抑肝散』が処方された方が、しばらくしてから血液検査すると低カリウム血症になってたという例です。

 

カリウムは心臓に影響するミネラルで、多すぎても少なすぎても心臓に影響を与えてしまう重要なミネラルです。

なぜ甘草でこのような低カリウムが起きるかというと、『偽アルドステロン症』によるものです。

 

偽アルドステロン症

偽アルドステロン症』は簡単に言えば身体の中のミネラルバランスが崩れる症状です。

身体の中のナトリウムが多くなる代わりにカリウムが少なくなり、心臓や循環器系に影響を与えてしまいます。

本来は『アルドステロン』と呼ばれるホルモンが多くなる事で高ナトリウム、低カリウムなどの『原発性アルドステロン症』として症状が現れます。

しかし、アルドステロンとは関係なしにアルドステロン過多のような症状が現れる為、『偽アルドステロン症』と呼ばれています。

 

グリチルリチン酸

この『偽アルドステロン症』ですが、甘草の中に入っている『グリチルリチン酸』と呼ばれる成分が原因となっています。

グリチルリチン酸は、ナトリウムの再吸収を高めてカリウムの排泄を促します。

 

ただ、実際にグリチルリチン酸が直接アルドステロンのような作用をするというより、ホルモンに作用することで低カリウム血症を引き起こすとされています。

 

ミネラル分の調整を行っているのは『コルチゾール』と呼ばれるホルモンですが、グリチルリチン酸はコルチゾールの不活化酵素を阻害する作用があります。

結果、コルチゾールの働きが強くなり低カリウム血症が起きやすくなるとされています。

 

2週間以上の継続服用で出やすい

どれぐらいの量の甘草をどれぐらい続けると低カリウム血症が出るのか?

という疑問に対しては、『芍薬甘草湯』による臨床試験結果があります。

 

それによれば、

『芍薬甘草湯7.5g(カンゾウ(甘草)6.0gシャクヤク(芍薬)6.0gの割合)を14日間連続で服用した結果、65例中5例に偽アルドステロン症が発覚した。』

という結果だそうです。

 

ちなみに65例中5例なので、副作用リスクは7.7%になりますね(^_^;)

 

その為、

むかたけ
むかたけ

甘草が1日6gとなるようであれば、2週間の連続服用で約7.7%で『偽アルドステロン症』の副作用リスクがある。

と自分の中で1つの基準を設けています。

 

最後に

現在、数多くの漢方薬が発売されていますが、その7割以上に甘草は入っています。

その為、重ねて使うようであれば多くのケースで『低カリウム血症』の副作用リスクが伴います。

カリウム値ってかなり大事な指標となりますので、気を付けたいところですね。

 

甘草が多い漢方薬を重ねて使用し続けていて、かつ血液検査をあまりしていない人は、1度主治医に血液検査を相談してみるのも良いと思います。

参考になれば幸いです。

ではでは。

参考文献
ツムラ芍薬甘草湯添付文書
漢方製剤活用の手引き‐証の把握と処方鑑別のために‐
洋漢統合処方からみた漢方製剤保険診療マニュアル改定ポケット版

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