【遺伝子】DNAやRNAとはなにか?簡単に説明します。

コロナ関連
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新型コロナウイルスのワクチンで、RNAという単語が良く飛び交うようになりました。

人体の設計図として知られるDNAですが、どのような働きをしているのでしょうか?

簡単に流れをお話します。

DNA

DNAは簡単に言うと身体の設計図です。

 

細胞の中にはがあり、核の中には染色体と呼ばれる物質があります。

染色体はひも状の物質が集まった構造です。

この染色体を最小までほどいた状態のものがDNAとなります。

2本1組で二重螺旋構造になっています。

細胞一つ一つにこのDNAは内包されています。

良く先天性の疾患なとで『染色体異常』という単語がありますが、染色体はDNAの集まりの為、染色体異常=遺伝子の異常ということになります。

複製

代謝により細胞分裂が行われますが、細胞分裂はDNAを受け継がせる為のものです。

その為、細胞分裂の際にはDNAはコピーされます。

DNAがコピーされることを複製と呼びます。

DNAの複製は精度が高い

DNAのコピーでは、2本の二重螺旋構造の鎖が1本ずつになります。

それぞれの鎖(オリジナル)を元にして、もう1本の鎖が作られます。

2本1組のDNAからまるまる2本1組のコピーが出来るのではありません。
オリジナルが1本ずつに分かれて、それぞれにコピーを作り出すために、エラーが起きにくく精度が高いコピーとなります

二重螺旋がほどかれると、2本1組のDNAが1本になり、1本になったら複製が始まる流れになります。

RNA

RNAは簡単に言うと、設計図の情報を元に体を組み立てる作業員のようなものです。

 

設計図だけあっても身体は出来上がりません。

つまり、DNAだけではたんぱく質の合成はできません。

その為、DNAはたんぱく質を合成・組み立ててくれる作業員を作ります

これがRNAです。

転写と翻訳

転写

DNAやRNAなどの遺伝子情報は、塩基を含む物質が鎖のように繋がって出来てきます。

塩基と呼ばれる物質には

A:アデニン
T:チミン(DNAのみ)
G:グアニン
C:シトシン
U:ウラシル(RNAのみ)

があり、それぞれ対となる塩基は決まっています。

 

アデニン(A)はチミン(T)もしくはウラシル(U)と対になり、グアニン(G)はシトシン(C)と対になります。

『A-TもしくはA-U』『G-C』このような形で結合できる塩基同士は決まっています。

 

この塩基と呼ばれる物質自体は数種類しかありません。

しかし、この塩基の順番や組み合わせによって後に生成される物質が決まります。

塩基が連なる順番の事を、『塩基配列』と言います。

つまり、この塩基の順番や組み合わせが遺伝子情報となります。

 

鎖のように連なった塩基の情報を、RNAポリメラーゼは写し取っていきます。

DNA情報から塩基配列の情報を写し取ることを『転写』と言います。

翻訳

転写によって精製されたRNAは、DNAとは違って1本鎖の構造となっています。

RNAはDNAの情報を元にしてアミノ酸を繋げていきたんぱく質を作り出します。


たった1塩基の違いで分かれる未来 | 生物学科 | 東邦大学 (toho-u.ac.jp)より一部改変

『AUG』や『GGU』など、塩基が3つ連なった名称をコドンと呼びます。

このコドンですが、アミノ酸ごとに保有するコドンは異なります。

 

リボソームと呼ばれる器官を通すことで、塩基配列内のコドンと対になるコドン(アンチコドン)をもつアミノ酸を繋げていきます。

このアミノ酸がいくつも繋がるとたんぱく質となります。

このように、RNAがたんぱく質を作ることを『翻訳』と言います。
DNA→RNA:転写
RNA→たんぱく質:翻訳

RNAの種類

RNAは主に3種類に分類されます。

それぞれに役割があり、特有の働きをしてくれます。

mRNA(メッセンジャーRNA):情報を伝達する
tRNA(トランスファーRNA):アミノ酸を運ぶ
rRNA(リボソームRNA):たんぱく質の合成を助ける

mRNAの情報を元に、tRNAがアミノ酸を運び込みtRNAが合成を助ける。

このような流れで身体は作られていきます。

たんぱく質:
アミノ酸が組み合わさったものがたんぱく質です。
人体の多くは、たんぱく質から構成されています。

RNAは不安定

RNAはDNAとは違い非常に不安定で、役目を終えればすぐに分解されます。

構造においても、一本鎖の為に分解しやすいと言われています。

DNA:二本鎖の螺旋構造により分解しにくい
RNA:一本鎖の為に分解しやすい。

セントラルドグマ

DNA→RNA→たんぱく質という流れで身体が出来上がります。

この一連の流れのことを、分子生物学的にはセントラルドグマと呼んでいます。

新型コロナウイルスワクチンのメカニズムも、このセントラルドグマを利用したものです。

mRNAから抗原となるタンパク質を作り出します。

テロメア

細胞分裂の回数は、一生の内で決まっているとされています。

その理由はDNA(染色体)の先端部分にあります。

この先端部分はテロメアと呼ばれています。

 

細胞分裂によりDNAのコピーが作り出されるのですが、全てコピー出来る訳ではありません。

コピー出来る範囲は決まっていて、末端部分だけはどうしてもコピー出来ないのです。

その為、細胞分裂でDNAがコピーされる度に末端から徐々に短くなっていくため、DNAのコピーも有限とされています。

「命の回数券」テロメアを守れ カギ握るは運動や睡眠|NIKKEI STYLEより

クローン

DNA情報は身体の設計図であるため、理論上はクローンを作り出すことが出来ます。

クローン羊のドリー

羊のクローンで世界的に注目を集めたのですが、すぐに死んでしまったのです。

先ほどのテロメアの理論では、クローンはオリジナルのDNAの長さを越える事はないとされています。

先ほどの羊のドリーのお話だと、オリジナルの羊の年齢が6歳であれば、クローンで誕生したドリーは生まれながらに6歳の身体年齢ということになります。

 

あくまでもクローンはオリジナルのDNA情報を元に作られます

テロメアが短いDNAだと、それほど残された細胞分裂回数も少ないということになります。

 

テロメアは一定数短くなると、細胞分裂を止め、細胞老化に繋がると言われています。

このテロメアを減らさない方法があれば、老化防止に繋がるのではないかとされています。

テロメラーゼ

テロメアを伸ばす酵素はテロメラーゼと呼ばれています。

残念ながら正常のヒトの細胞では、活性が弱いか発現していないとされています。

しかし、80~90%のがん細胞においてはテロメラーゼの活性が強くなっていることが認められています。

がん細胞はテロメアが減らないので、延々と増殖を続けることが出来る訳ですね。

テロメアに関しては不明な点が多い

寿命とテロメアの関係性は現在でも不明な点が多いです。

先ほどの羊のドリーの死因の関節炎も老化によるものではなく、外傷が原因ではないかとされています。

その他、クローンによるテロメア短縮説には反対意見も上がっていたり、倫理的な問題もあるため不明となっている部分が多いです。

 

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セントラルドグマの過程でエラーが生じる

人の細胞の数は何十兆個と膨大な数です。

膨大な数の細胞(DNA)が複製され続ければ、分裂の回数は天文学的な数字になります。

当然、エラーはつきものです。

しかし、仮にエラーが起きても、ヒトの身体には精巧なエラー修復機能が備わっているため、大抵は問題ありません。

 

エラーが起きた細胞は異物とみなされ排除されます。

しかし、ごく稀にエラーを起こした細胞が排除を免れ増殖することがあります。

こういった細胞が、がん細胞と呼ばれるものになります。

細胞分裂が盛んなほどエラーは起きやすい

細胞分裂には盛んな部位もあればそうではない部位もあります。

その為、がんになりやすい部位とは、細胞分裂が盛んな部位であることが多いです。

 

お年寄りと若者ではがんの進行スピードが違います。

代謝が盛んな若者ほど細胞分裂も盛んになる為、お年寄りと比べてがんの進行も速いと言われています。

心臓の心筋は細胞分裂を行わないことで有名です。
その為、心臓癌という疾患が見られないのも、これが理由となります。

RNAウイルス

RNAからRNAを作り出す

RNAウイルスの代表的なものにA型インフルエンザウイルスHIV、そして新型コロナウイルスなどがあります。

複製には自分の遺伝子(RNA)を元にして、新たなRNAを複製する方法をとるケースが多いです。

ウイルスの増殖について (kansenshou.com)より

レトロウイルス

通常、DNA→RNAへの転写によりたんぱく質が作られていきます。

しかし、ウイルスの中にはこのセントラルドグマの流れに逆らうものもいます。

つまり、RNAからDNAを作り出すウイルスがいます。

 

RNAからDNAを作り出す酵素として逆転写酵素が知られています

逆転写酵素は、文字通りRNA→DNAのように、転写を逆に進める働きがあります。

 

RNAの情報からDNAを作り出すということですね。

RNAウイルスの中でも逆転写酵素を持つものはレトロウイルスと呼ばれます


逆転写酵素を用いたcDNA(ライブラリー)の作成法とRT-PCRを解説 | 生命系のための理工学基礎 (rikei-jouhou.com)より

レトロウイルスで有名なウイルスは、HIV(エイズウイルス)です。

HIVに変異型が多いのはこの逆転写酵素が原因となっている可能性があります。

 

通常、DNA→DNAであれば比較的精度の高い複製が可能です。

しかし、逆転写酵素を用いたRNA→DNAの場合は、エラーが入りやすいとされています。

RNAウイルス
RNA→RNAで増える:インフルエンザ新型コロナウイルスなど
RNA→DNA→RNAで増える:HIVなどのレトロウイルス

RNAのコピーはエラーが起きやすい

ヒトの場合は遺伝子構成の流れで、エラーが起きても精巧な修復能力を持っているので大抵の場合は問題ありません。

しかし、ウイルスではコピー時にエラーが起きたまま複製されることがある為、突然変異などが起こりやすくなってしまいます

しかも、RNAウイルスは一本鎖の為、ヒトの二本鎖DNA複製とは違いコピーの繰り返しでエラーも起きやすくなります。

 

ウイルスのコピー能力はヒトほど精巧でありません。

RNAを情報元にした複製はエラーが起きやすいので、変異型も発生しやすいということです。

ヒトのDNA複製:
二本鎖を使用している為、常にオリジナルの情報を元にコピーが可能。しかも精巧な修復機能付き。

RNAウイルスのRNA複製:
一本鎖の為、コピーのコピーを繰り返す。修復機能がうまく働かずエラーをすり抜けることも。

プリン体

役目を終えたり、寿命を迎えた細胞(DNA)は身体から排除されます。

DNAの構成材料は核酸と呼ばれるもので、俗にプリン体と呼ばれています。

プリン体は体内で代謝されると尿酸に変わります。

尿酸は通風の原因となる物質です。

その為、体内の細胞が壊される事態が起きたり、プリン体を含むものを多く摂取したりすると、尿酸値は上昇します。

抗がん剤治療の中には、がん細胞ごと正常な細胞を壊すものがあります。

細胞が壊れると、核酸(プリン体)はその分代謝経路に入ってしまいます

そうした時にも尿酸値は上がりやすいとされています。

最後に

DNAなどは肉眼では確認出来ないので、いまいちピンとこない部分もありますね。

医療分野では遺伝子を利用した治療の開発が進んできています。

今回の新型コロナウイルスワクチンも遺伝子を利用したものです。

昔は遺伝子治療などは遠い存在でしたが、現在はずっと身近な存在なのかも知れませんね。

ではでは。

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