【軟膏】亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の違いと使い分け

薬局業務
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本記事は私の薬剤師業務のあんちょこ、備忘録として記録しています。

ここでは亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の違いと使い分けをまとめています。

私の業務経験や各書籍の情報を基に作成していますので、医療業務の参考になれば幸いです。

 

先にまとめ

  • 亜鉛華軟膏は基剤に白色軟膏(白色ワセリン+添加物)
  • 亜鉛華軟膏は基剤に単軟膏
  • 滲出液が多い時には亜鉛華軟膏が向いている
  • かぶれやすく敏感肌には亜鉛華軟膏が向いている
  • サトウザルベは亜鉛華軟膏に分類
  • サトウザルベは滲出液が少なく、かぶれやすい敏感肌に向いている

 

亜鉛華軟膏 亜鉛華軟膏 サトウザルベ10%20%
有効成分 酸化亜鉛
有効成分含有量 20% 10% 10%及び20%
基剤 白色軟膏
(白色ワセリン+添加物)
流動パラフィン
単軟膏 単軟膏
ミツロウ種類 サラシミツロウ ミツロウ サラシミツロウ
酸化防止剤
(ジブチルヒドロキシトルエン)
吸水性 × ×
滲出液多い患部 × ×
滲出液少ない患部 ×

 

 

亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の違い

とある日に後輩薬剤師からこんな質問がありました。

 

後輩

亜鉛華軟膏使ってた患者さんが、患部がマシになってきたから亜鉛華軟膏にすると言ってました。
亜鉛華軟膏と亜鉛華軟膏ってなにが違うんですか?

 

有効成分は同じ

亜鉛華軟膏も亜鉛華軟膏も有効成分は同じです。

 

有効成分は『酸化亜鉛』で、効能や効果は以下の通りです。

下記皮膚疾患の収れん・消炎・保護・緩和な防腐
外傷,熱傷,凍傷,湿疹・皮膚炎,肛門そう痒症,白癬,面皰,せつ,よう
その他の皮膚疾患によるびらん・潰瘍・湿潤面

 

どちらも同じ疾患で使用しますが、お肌の状況や状態で使い分けされています。

 

基剤が違う

  • 亜鉛華軟膏は基剤に白色軟膏(白色ワセリン+添加物)
  • 亜鉛華軟膏は基剤に単軟膏

 

このような基剤が使用されています。

 

亜鉛華軟膏には吸水性があるので、傷口からの滲出液が多い場合は水分を吸収して程よく密着してくれます。

逆に、吸水性により皮膚の乾燥を招いてかぶれてしまう恐れがある場合には不向きとなります。

 

亜鉛華軟膏の基剤には単軟膏が使用されています。

単軟膏はミツロウや植物油などをベースにつくられているので、基本は油性です。

その為、吸水性はなく油分で皮膚を覆ってくれるので、保護や保湿に優れています。

 

むかたけ
むかたけ

油は水と比べて酸化しやすい性質です。
その為、油分が多く含まれる製剤には『酸化防止剤』がよく使用されます。

 

単軟膏は密着性が少ない為、かぶれやすい肌には向いています。

しかし、滲出液が多い場合などは傷口に酸化亜鉛が届きにくくなってしまうため不向きです。

 

  • 滲出液が多い時には亜鉛華軟膏が向いている
  • かぶれやすく敏感肌には亜鉛華軟膏が向いている

 

亜鉛華軟膏 亜鉛華軟膏 サトウザルベ10%20%
有効成分 酸化亜鉛
有効成分含有量 20% 10% 10%及び20%
基剤 白色軟膏
(白色ワセリン+添加物)
流動パラフィン
単軟膏 単軟膏
ミツロウ種類 サラシミツロウ ミツロウ サラシミツロウ
酸化防止剤
(ジブチルヒドロキシトルエン)
吸水性 × ×
滲出液多い患部 × ×
滲出液少ない患部 ×

 

吸水性は亜鉛華軟膏の添加物による

白色ワセリンも単軟膏も吸水作用はあまりありません。

その為、白色ワセリン単剤の場合には単軟膏と同様に浸出液が多い場合には不向きです。

 

しかし、白色ワセリンに界面活性剤のソルビタンセスキオレイン酸エステルを添加することで、白色軟膏としています。

この白色軟膏には吸水性が付与されていますので、亜鉛華軟膏では吸水性があるとされています。

 

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敏感肌には単軟膏

皮膚刺激が少ないのは白色ワセリンよりも単軟膏です。

その為、添加物による刺激等に敏感な人は単軟膏製剤の方が良いでしょう。

 

赤ちゃんのオムツかぶれを例にすると、

  • オムツかぶれが進んでしまってる場合には亜鉛華軟膏
  • ある程度治って、予防的な意味合いでも使用するのが亜鉛華軟膏

このような使い分けとなりますね。

 

外観の違い

亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の見た目では、亜鉛華軟膏の方には流動パラフィンが入っているので光沢があります。

 

亜鉛華軟膏と亜鉛華軟膏では色も違います。

亜鉛華軟膏は白色、亜鉛華単軟膏は淡い黄色となりますが、亜鉛華軟膏の淡黄色はミツロウが入っているからになります。

 

ちなみにミツロウは漢字で『蜜蝋』と書きます。

ミツバチの巣を精製したものがミツロウです。

 

 

このミツロウを更に漂白したものがサラシミツロウとなります。

 

小城製薬株式会社 (koshiroseiyaku.co.jp)より

 

むかたけ
むかたけ

ミツロウの色の方が黄色ですね~。

 

ミツロウは基本的には無毒性、無刺激性ですが、ミツロウの中の不純物で過敏症反応の報告もあります。

その為、ミツロウを更に精製して不純物を取り除いたものがサラシミツロウとされています。

 

サトウザルベ20%

調剤薬局で勘違いしやすいのは、

サトウザルベ20%=亜鉛華軟膏

ということです。

 

サトウザルベ20%は亜鉛華軟膏ではなく亜鉛華軟膏です。

 

『20%』と聞くと問答無用で亜鉛華軟膏と思いそうなのでご注意です。

 

サトウザルベは10%でも20%でも基剤に単軟膏を使用しています。


サトウザルベ軟膏20%.pdfより

 

基剤に単軟膏(サラシミツロウや植物油)を使用しているので、亜鉛華軟膏とは別物となりますのでご注意下さい。

 

酸化亜鉛が亜鉛華軟膏と同様に20%入っていても、基剤が単軟膏なので浸出液が多かったりする例には不向きとなります。

浸出液が少なく、お肌のかぶれや乾燥を極力抑えたいケースなどには向いていると言えますね(‘ω’)

 

まとめ

  • 亜鉛華軟膏は基剤に白色軟膏(白色ワセリン+添加物)
  • 亜鉛華軟膏は基剤に単軟膏
  • 滲出液が多い時には亜鉛華軟膏が向いている
  • かぶれやすく敏感肌には亜鉛華軟膏が向いている
  • サトウザルベは亜鉛華軟膏に分類
  • サトウザルベは滲出液が少なく、かぶれやすい敏感肌に向いている

 

亜鉛華軟膏 亜鉛華軟膏 サトウザルベ10%20%
有効成分 酸化亜鉛
有効成分含有量 20% 10% 10%及び20%
基剤 白色軟膏
(白色ワセリン+添加物)
流動パラフィン
単軟膏 単軟膏
ミツロウ種類 サラシミツロウ ミツロウ サラシミツロウ
酸化防止剤
(ジブチルヒドロキシトルエン)
吸水性 × ×
滲出液多い患部 × ×
滲出液少ない患部 ×

 

最後に

大まかな使い分けは以上となります。

医療業務の参考になれば幸いです。

ではでは。

参考文献
服薬指導に役立つ皮膚外用剤の基礎知識 No.1:剤形からみた基剤の分類と特徴 | マルホ 医療関係者向けサイト (maruho.co.jp)
小城製薬株式会社 (koshiroseiyaku.co.jp)
亜鉛華軟膏、亜鉛華単軟膏、サトウザルベ添付文書

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