血液の成分がどこで出来ていて、どんな成分があるかはご存じですが?
血液の成分は身体の中で、非常に重要な役割を果たしてくれています。
今回は血液がどのような分化を経て作られるかのお話です。
血液は骨髄でつくられる
血液の成分は骨の内部を満たす軟組織の骨髄でつくられます。
若い時は全ての骨髄で活発に血液が作られますが、加齢によって造血部位は減っていきます。
骨によっては血液が作られなくなる部分がある一方で、胸骨や骨盤、肋骨や頭蓋骨などでは生涯血液が作られます。
血液の成分
血液成分は赤血球、血小板、白血球に大別出来ます。
これら全ての細胞は大元となる造血幹細胞と呼ばれる細胞からつくられます。
この細胞はこれから赤血球にも血小板にも白血球にもなれる可能性を秘めた細胞です。
造血幹細胞は骨髄系幹細胞(血球や単球)かリンパ球に大きく分化・大別することになります。
骨髄系幹細胞に分化した方はいくつもの分化の選択肢が発生します。
赤血球経路になるか血小板経路か、単球経路になるか好中球、好酸球、好塩基球経路になるかです。
成人T細胞白血病リンパ腫 基礎知識:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)より
しかし、照射後に骨髄細胞を移植すると、マウスを生存させることが出来ることを証明した実験があります。
赤血球
赤血球側の経路へと育った造血幹細胞は、腎臓でのエリスロポエチンの助けを得て赤血球の赤ちゃん
である赤芽球の一歩手前の前駆細胞まで辿り着きます。
このときに、前駆細胞がエリスロポエチンやビタミンB12、ビタミンB6、葉酸の助けを得られれば
無事に赤芽球になれます。
その後、鉄分を得て、最終的に脱核して、核を持たない細胞になります。
造血薬 – yakugaku labyより
赤血球の働き
赤血球の寿命は約120日です。
ヘモグロビンという成分を含んでいて、ヘモグロビンは酸素と結合する性質があります。
その為、主な働きは身体の隅々に酸素を運んで、二酸化炭素炭素を回収することです。
脱核する理由
脱核する理由は未だ不明ですがいくつかの説が唱えられています。
1・余分な機関をとりのぞいて、酸素の運搬能を高める。
哺乳類が発生した当初の酸素濃度は現在よりも低く、さらに胎児は母体の1/3の酸素濃度で発育することから、赤血球1つ辺りの酸素運搬能を上げる必要があります。
2・スムーズな移動
脱核しないと核が邪魔をして、狭いところに赤血球が入り込めなくなってしまいますので、機能的な要因もあるのかもしれませんね。
人の血管は10万kmもありますので、スムーズに異動できなければ命にかかわります。
およそ10万kmは、およそ地球2周半の長さです。
3・細胞のがん化を防ぐ為
がんというのは細胞増殖の異常が引き起こします。
そして細胞分裂は核を元にして行われます。
その為、脱核はがん化を防ぐ機能という可能性も考えられています。
いくつかの考えはありますが、未だその理由は明らかになっていません。
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血小板
前駆細胞がエリスロポエチン、葉酸、ビタミン類を使わなかった選択肢では、血小板の進化経路に分化します。
前駆細胞→巨核球細胞になります。
この巨核球細胞から血小板に変わるのです。
血小板は1つ1つが細胞ではなく、骨髄中にある巨核球細胞の切れ端です。
血小板の寿命は10日程です。
主な働きは止血です。外傷などで破れた血管では、まず血小板が粘着します。
さらに血小板が集まり、止血に必要な物質が血小板から放出されます。
白血球
骨髄系の赤血球、血小板以外の成分は白血球に分類されます。
白血球は外敵から身を守るための免疫機能として各々の細胞が働きます。
単球
単球経路は骨髄系幹細胞→ 単芽球 → 単球と分化していきます。
単球は組織に出るとマクロファージに変化し、外敵を取り込み排除します。(貪食作用)
顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)
それ以外は骨髄系幹細胞→ 骨髄芽球→ 好中球、好酸球、好塩基球になります。
好中球は単球(マクロファージ)と似た作用をしていて、外敵を取り込む作用を持っています(貪食作用)
好酸球は寄生虫などの大きめの外敵を動けなくして、他の免疫の助けになることが多いです。
好塩基球はヒスタミンなどを遊離することにより、炎症部位の血管拡張などのアレルギー反応に関係します。
リンパ球
造血幹細胞からリンパ球側に分化した後は、リンパ球になるしか道はありません。
造血幹細胞→ リンパ系幹細胞→ リンパ芽球→ リンパ球となります。
リンパ球にはT細胞やB細胞といった免疫において重要な細胞がいます。
これら単球、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球を総称して白血球と呼びます。
白血球の各成分、免疫に関しては後日詳しく解説予定です。
膿と浸出液の違い
良く混同しがちですが、膿と浸出液は違います
膿は外敵と戦った後に残された白血球や外敵の残骸です。
中には身体にとって有害な物質も含まれています。
色は白~黄色~茶色っぽく「ドロッ」としており、腐敗したような非常にくさい臭いがします。
浸出液とは様々なサイトカインや細胞を修復、成長させる因子が含まれています。
傷の治りを早めたり、免疫反応が効率的に行える物質が豊富に含まれています。
浸出液は膿よりもサラッとしていて、通常は透明感があります。
血液の色が混じって赤っぽくなることもありますが、膿のようなドロドロ感はなく、臭いもキツくはありません。
その為、膿は取り除いた方が良いですが、浸出液に関しては残しておいた方が良いのです。
実際は浸出液と膿が混ざり合っている状態の創傷が多いので、判断が難しいと思います。
判断に迷う場合は医療機関に相談しましょう。
浸出液の効果を利用して、治癒能力を高めるドレッシング材も多く使用されています。
血漿
血球成分以外は血漿と呼ばれていて、たんぱく質や糖質、脂質、ミネラルや老廃物などを含んでいます。
血管内から染みだして組織に入り、栄養を与えたり代謝の助けになります。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は私たちの血液がどのように作られるかでした。
私は血を見るのは苦手ですが、色んな役割を果たしてくれる血液に感謝しないといけませんね(;^ω^)
ではでは。
参考文献
MSDマニュアル家庭版 自然免疫
MSDマニュアル家庭版 獲得免疫
みんなのどうぶつ病気大百科
ブログ・コラム|大田区の動物病院なら、動物病院エル・ファーロ
骨髄不全症候群(特発性造血障害):診断と治療の進歩 Ⅳ.造血に関する最新の話題 2.赤芽球脱核のメカニズム
血液細胞の発生と分化