【褥瘡】褥瘡・創傷の外用薬の使い分け

薬局業務
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本記事は私の薬剤師業務のあんちょこ、備忘録として記録しています。

ここでは褥瘡・創傷の薬の使い分けをまとめています。

私の業務経験や各書籍の情報を基に作成していますので、医療業務の参考になれば幸いです。

 

むかたけ
むかたけ

※褥瘡の写真は載せていません

 

先にまとめ:大まかな使い分け

  • 褥瘡治療は治せば終わりではない
  • 治療には日頃からの観察と、周りの協力が不可欠
  • 褥瘡治療は①出血・凝固期②炎症期③増殖期④成熟期の4つの経過を辿る。
  • 基本は乾燥状態ではなく湿潤状態で治療を進める
  • ドレッシング材も外用剤も滲出液の状態で選択を行う
  • 滲出液は治療に有効なサイトカインが豊富
  • 洗浄や壊死組織の除去は治療に必須
  • 外用剤の選択は基剤と主薬の両方を考える
  • 基剤は滲出液の状態で選択する
  • 滲出液が多い→水分となじみやすい親水性を使用
  • 滲出液が少ない→水分となじみにくい疎水性を使用
  • 疎水性→保湿
  • 親水性・水中油型(O/W)→補水
  • 親水性・油中水型(W/O)→保湿
  • 親水性・水溶性→吸水

滲出液状態による薬剤選択の例

目的 薬剤名 滲出液の量
壊死除去 カデックス
ヨードコート
ユーパスタ 中~多
デブリサンペースト
ブロメライン
ゲーベン
感染コントロール カデックス
ヨードコート
ユーパスタ 中~多
ゲーベン
肉芽促進 アクトシン 中~多
プロスタンディン 少~中
フィブラスト
上皮化を図る ドレッシング材の使用が多く、ワセリン・ステロイド等の使用も

 

褥瘡治療の原則

褥瘡は誰にでもなり得るものです。

治療目標は単純なものではなく、単に治療して症状が治まればゴールというわけではありません。

 

その患者のライフスタイル次第で、褥瘡は簡単に再発してしまいます。

その為、褥瘡治療については症状の改善だけではなく、その方の栄養状態・基礎疾患・ライフスタイルなど、総合的な観点から治療目標を定める必要があります。

 

むかたけ
むかたけ

寝たきりの患者には切っては切り離せない問題ですね。

 

治癒過程は4段階

一般的に創傷の治癒仮定は4つの段階を経ます。

①出血・凝固期
②炎症期
③増殖期
④成熟期

以上の段階を経ます。

 

①出血・凝固期

急性反応で、損傷部の止血を図る期間です。

ここでは止血のための血小板が多く作用します。

②炎症期

止血が落ち着いたら今度は損傷部のバイ菌を排除するために白血球(好中球やマクロファージ)が多く作用します。

このような免疫反応により、一層炎症を起こします

③増殖期

炎症がある程度治まると、今度は新しい皮膚を作ろうとします。

損傷で欠損した部分を補う為に、新生血管などを生じさせます。

このような繊維成分に富んだ組織は『肉芽組織』と呼ばれます。

 

④成熟期

肉芽により損傷部が閉鎖されても完全回復には時間がかかります。

数ヶ月から数年の期間を経て、『瘢痕』と呼ばれる外力への耐性を持つ組織に繰り返し作り替えられていきます。

 

乾燥よりも湿潤で

創傷部は乾燥状態よりも湿潤状態で治療を進めた方が治療効果は高いです。

 

それは、

湿潤状態の方が各種治癒細胞がスムーズに動ける

という理由からです。

 

滲出液の中には治療に有効なサイトカインが豊富です。

その為、創傷部からこ滲出液もある程度は残しておいた方が良いです。

 

その他、滲出液などの水分がある程度ないと、ガーゼなどの保護剤で物理的に損傷させてしまうリスクも高まります。

 

むかたけ
むかたけ

滲出液は褥瘡治療において必要不可欠です。

 

 

湿潤環境や滲出液を利用した絆創膏は有名ですね。

 

ドレッシング材

湿潤状態を保つ為に、臨床ではドレッシング材と呼ばれる保護剤が使用されます。

ドレッシング材の選択の基準は滲出液の状態で左右されます。

 

滲出液が少ない ハイドロジェル
ハイドロコロイド
滲出液が多い ポリウレタンフォーム
アルギン酸塩
ハイドロファイバー

 

滲出液が少なめ

  • ハイドロコロイド
  • ハイドロジェルなど

ハイドロコロイド
創面を閉鎖きて、湿潤環境を形成
汎用性は高いですが、過剰な滲出液を吸収する機能はない為、滲出液が多い場合は適しません。

ハイドロジェル
乾燥した創傷部を湿潤させる。
乾燥した壊死組織に覆われてしまっているケースによく使用されます。

 

滲出液が多め

  • ポリウレタンフォーム
  • アルギン酸塩
  • ハイドロファイバーなど

滲出液を吸収して保持する。
滲出液成分と混ざりゲル状化することで、創傷部を覆います。
その為、密閉することなく湿潤環境を作り出せます。
ゲルに血小板が凝集することによる止血作用や、ドレッシング交換時の物理的損傷のリスクが低いことが特徴です。

 

 

ドレッシング材の基本は湿潤状態の維持ですが、その他にも機能に富んだドレッシング材もあります。

疼痛緩和を目的としたものや、創の洗浄化を目的としたものなど、様々なドレッシング材が存在します。

 

壊死組織の除去は必須

壊死組織は血流が途絶えてしまった死んだ組織です。

血流がないため、免疫細胞が流れることが出来ずに感染拡大の原因になってしまうリスクがあります。

 

それだけではなく、壊死組織そのものが炎症の原因にもなり得ます。

壊死組織は積極的に取り除くことが推奨されています。

 

ちなみに壊死組織の除去はデブリードマンと呼ばれています。

むかたけ
むかたけ

臨床では良く『デブリ』と呼ばれています。

 

積極的に取り除くのが良いですが、壊死組織は健常組織との境目が曖昧なケースもあります。

除去を急ぐあまり健常組織を傷つける恐れもありますので、デブリは壊死組織の境目がはっきりしたあとで行う方が良いです。

 

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外用薬の使い分け

お待たせしました。

いよいよ本題です(;^_^A

 

洗浄やドレッシング材保護・デブリだけではなく、外用薬の使用が必須となるケースが多いです。

むかたけ
むかたけ

むしろそればっかりです。

 

通常の外用薬では基剤の性質まで着目することは少ないです。

基剤とは、主成分(ステロイド成分など)を覆う為の軟膏やクリームの基になっている成分のことです。

 

 

褥瘡の外用薬選択は、基剤と主成分の薬理効果を考える必要があります。

 

基剤の選択

基剤の選択はやはり創傷部の滲出液の度合いで選択します。

 

基剤には水に近い成分と油に近い成分があります。

 

 

滲出液で基材は選ぶ

水に近い成分は親水性、油に近い成分は疎水性と呼ばれています。

滲出液の成分は水分なので、滲出液の状態によって使用する外用薬も選択します。

 

むかたけ
むかたけ

この辺りはドレッシング材の選択と同じですね。

 

  • 滲出液が多い→水分と馴染みやすい親水性(水溶性)を使用
    アクトシン、カデックス、ユーパスタ、ブロメラインなど

 

  • 滲出液が少ない→水分となじみにくい疎水性(油脂性)を使用
    亜鉛華軟膏、アズノール、プロスタンディンなど

 

大まかにはこんな感じです。

ただ、親水性基剤に関しては、ここで終わりではありません。

さらに分類があります。

 

むかたけ
むかたけ

混乱しそうですが、ついてきてくださいね~

 

乳剤性基剤と水溶性基剤

親水性基剤には乳剤性基剤と水溶性基剤に分けられます。

そして、乳剤性基剤は水中油(O/W)と油中水型(W/O)に分けられます。

 

水溶性基材

水溶性基剤の機能は、水となじみやすい性質を使った吸水です。

その為、過剰な滲出液の場合でよく使用されます。
→アクトシン、カデックス、ブロメライン、ユーパスタ、ヨードコートなど

 

乳剤性基剤

乳剤性基剤の水中油(O/W)はベースが水となっています。
このタイプは、滲出液が少ない時に適度に補水することで湿潤環境を生み出します。
→オルセノン、ゲーベンなど

 

滲出液が適正のときは、油中水型(W/O)を使用します。
油がベースとなっていますので、基剤の機能自体は疎水性基剤と同じように扱います。
→リフラップなど

 

 

むかたけ
むかたけ

この辺りが一番ややこしくて混乱しますね~

 

機能 主な基剤の種類 主な薬剤
疎水性 油脂性基剤 保湿 ワセリン
プラスチベースなど
亜鉛華軟膏
アズノール
プロスタンディンなど
親水性 乳剤性基剤 水中油型(O/W) 補水 多種類添加物の
乳剤性軟膏
オルセノン
ゲーベンなど
油中水型(W/O) 保湿 リフラップなど
水溶性基剤 吸水 マクロゴール
など
アクトシン
カデックス
ブロメライン
ユーパスタ
ヨードコートなど

 

薬理作用から選択

基剤だけを選んでも創傷部の保護のみとなる為、薬理効果によって主薬を選択します。

簡単ではありますが、以下のように使い分けることが多いです。

 

抗菌 カデックス 抗菌と壊死除去効果
ヨードコート 抗菌と治癒促進
ユーパスタ
ゲーベン 幅広い抗菌
壊死除去 ブロメライン 蛋白分解
カデックス 抗菌と壊死除去効果
ゲーベン 基剤の補水により壊死組織が融解
肉芽形成
上皮化促進
アクトシン 肉芽形成・上皮化促進
プロスタンディン
リフラップ
オルセノン 肉芽形成促進
フィブラストスプレー
その他 亜鉛華軟膏 抗炎症(基剤の保護効果の方が重要)
アズノール

 

 

滲出液の多い少ないを加味した薬剤選択

褥瘡治療は、基剤の選択と主薬の選択が合っていないと十分な治療効果が得られなくなります。

その為、患者の状態に合わせて適切な薬剤選択が求められます。

滲出液が少なめ状態で肉芽形成を促進させたい→オルセノンなど

 

滲出液状態による薬剤選択の例

目的 薬剤名 滲出液の量
壊死除去 カデックス
ヨードコート
ユーパスタ 中~多
デブリサンペースト
ブロメライン
ゲーベン
感染コントロール カデックス
ヨードコート
ユーパスタ 中~多
ゲーベン
肉芽促進 アクトシン 中~多
プロスタンディン 少~中
フィブラスト
上皮化を図る ドレッシング材の使用が多く、ワセリン・ステロイド等の使用も

 

褥瘡治療の薬剤選択は、常日頃から変化を観察できなければ行えないことが多いです。

治療には医師や看護師などの医療従事者や患者家族等の協力が不可欠なります。

 

まとめ:大まかな使い分け

  • 褥瘡治療は治せば終わりではない
  • 治療には日頃からの観察と、周りの協力が不可欠
  • 褥瘡治療は①出血・凝固期②炎症期③増殖期④成熟期の4つの経過を辿る。
  • 基本は乾燥状態ではなく湿潤状態で治療を進める
  • ドレッシング材も外用剤も滲出液の状態で選択を行う
  • 滲出液は治療に有効なサイトカインが豊富
  • 洗浄や壊死組織の除去は治療に必須
  • 外用剤の選択は基剤と主薬の両方を考える
  • 基剤は滲出液の状態で選択する
  • 滲出液が多い→水分となじみやすい親水性を使用
  • 滲出液が少ない→水分となじみにくい疎水性を使用
  • 疎水性→保湿
  • 親水性・水中油型(O/W)→補水
  • 親水性・油中水型(W/O)→保湿
  • 親水性・水溶性→吸水

滲出液状態による薬剤選択の例

目的 薬剤名 滲出液の量
壊死除去 カデックス
ヨードコート
ユーパスタ 中~多
デブリサンペースト
ブロメライン
ゲーベン
感染コントロール カデックス
ヨードコート
ユーパスタ 中~多
ゲーベン
肉芽促進 アクトシン 中~多
プロスタンディン 少~中
フィブラスト
上皮化を図る ドレッシング材の使用が多く、ワセリン・ステロイド等の使用も

 

最後に

大まかな使い分けは以上となります。

医療業務の参考になれば幸いです。

ではでは。

参考文献
今日の治療薬2022
褥瘡・創傷のドレッシング材・外用薬の選び方と使い方 第2版

 

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