水は身体にとって必要不可欠です。
人の必要な水分量はどれぐらいなのでしょうか?
そして水を飲み過ぎるとどうなるのでしょうか?
今回は水分量に関するお話です。
人の体の60%は水分
人の体の大半は水分で構成されています。
約55~60%が水分と言われている程です。
水分を摂取しないと、人の体は約3日で致命的になります。
では、1日どれぐらいの水分を摂取すれば良いのでしょうか。
必要水分量
必要水分量は尿量、不感蒸泄、糞便を合わせて、代謝水を差し引いたものになります。
- 尿量:水分の摂りすぎ等でなければ、尿は1200ml/日排泄されます。
- 不感蒸泄:呼吸や皮膚から出る水分です。(安静時で900ml/日)
体調や環境によって変化しやすいです。
呼気:300ml/日
皮膚:600ml/日 - 代謝水:文字通り、体の中で代謝されることで生じる水分の事です。
食事を分解する際に水が生じたり、脂肪を分解してエネルギーを産生する際に生じます。(300ml/日) - 糞便:便に含まれる水分量です。(100ml/日)
一般的にはおおよそ2L程(1.9L)の水分が必要と言われています。
しかし、これはあくまで一般的なお話です。
人によって体格も生活強度も異なる為、個人に合わせた水分量の算出が必要となります。
年齢と体重から算出
詳しい必要水分量は、年齢と体重から算出可能となっています。
必要水分量=年齢別必要量×体重
年齢別必要量
22~55歳:35ml/kg/日
55~65歳:30ml/kg/日
65歳以上:25ml/kg/日
30歳65kgの場合、
必要量水分量=35ml/kg/日×65kgなので、
2275mlとなります。
生活強度による違い
必要な水分量は、生活強度によっても変わってきます。
日常的に良く身体を動かす方が、必要となる水分量は多くなります。
デスクワーク中心などの生活活動レベルが低ければ、おおよそ2.3~2.5L/日。
肉体労働など、生活活動レベルが高ければ、3.3~3.5L/日必要となってきます。1)
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食事から摂れる水分量は?
欧米ではパン食が多い為、食事由来が20~30%、飲み物由来が70~80%と報告されています。2)
日本では米や麺類が多い為、食事由来が51%、飲み物由来が49%になっています。
約半分が食事由来の水分ですね。
例
30歳65kgデスクワーク中心の人が3食しっかり食事を摂っている場合。
食事での水分量をおよそ40%と仮定すると、残り60%は飲み物で補わなければなりません。
2.3L×60%=1.38L
約1.5Lの水分補給が必要となります。
パン食が多いと、更に飲み物で補わなければならない水分量は多くなります。
脱水のサイン
次のいずれかの症状があれば、脱水の可能性があります。
脱水になると生命維持を優先させる為に、手足ではなく臓器に血流を送り込みやすくなります。
その為、手足に血流が不足し冷たくなってしまいます。
口周辺の水分量が低下するため、唾液の分泌量も減ります。
すると、舌や唇なども乾き始めてきます。
お肌の水分量も低下している為、弾力性がなくなってしまいます。
皮膚をつまんでみて、3秒以上戻らなければ脱水の疑いがあります。
親指の爪の先を押してみて、赤みが戻るのが遅ければ、脱水の疑いがあります。
指先の血管は他の血管と比べても細いため、変化が出やすい部分となります。
高齢者に多いのが、わきの下が乾いている場合です。
通常では汗によりわきの下に潤いがありますが、脱水になるとわきの下が乾燥します。
水を摂りすぎるとどうなる?
身体にとって水分は必要不可欠です。
しかし、摂りすぎも問題です。
水分の摂り過ぎで心配しなければならないのは水中毒です。
水中毒
身体の中にはミネラルが存在します。
このミネラルは身体にとって非常に重要で、意識を保っていられるのもこのミネラルのおかげです。
ミネラル分がない水を大量に摂取すると、身体の中のミネラルが薄まります。
最も多い症状は体内のナトリウムが少なくなる低ナトリウム血症です。
低ナトリウム血症
体内のナトリウムが薄まっても初期は自覚症状はありません。
しかし、濃度が薄まるに連れて軽い疲労感が出現します。
次第に反応が鈍くなったり、錯乱などの意識に関わる症状が現われ、頭痛や嘔吐などの症状も出てきます。
重症になると、痙攣や昏睡、場合によっては死に至ります。
水分補給の際はミネラル分を含んだ飲料にしましょう。
まとめ
- 1日約2Lの水分が失われる
- 必要水分量=年齢別必要量×体重
年齢別必要量
22~55歳未満:35ml/kg/日
55~65歳未満:30ml/kg/日
65歳以上:25ml/kg/日 - 食事以外の水分補給は1~2L必要
- 水分補給はミネラルも考慮すること
最後に
原因がわからず体調が悪い時、意外と脱水状態に陥っているケースもあります。
ご自身がどれぐらい水分補給が必要なのかを知ることは、体調管理の一助になり得るかもしれません。
お手すきの際には必要水分量を計算してみてはいかがでしょうか?
ではでは。
参考文献
日本食事摂取基準2020
水は1日どれくらい飲めば良いか | 健康長寿ネット (tyojyu.or.jp)
「健康のため水を飲もう」推進運動 (mhlw.go.jp)
1)Sawka MN, Cheuvront SN, Carter R 3rd. Human water needs. Nutr Rev 2005 ; 63: S30─9
2)Jequier E, Constant F. Water as an essential nutrient: the physiological basis of hydration.Eur J Clin Nutr 2010 ; 64 : 115─23.