【遺伝子】ウイルスはなぜ変異するのか? 仕組みやメカニズムを簡単に説明します

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ウイルスは変異することで、以前よりも感染力が強くなったり、ワクチンが効きにくくなる、または効かなくなることがあります。

今回はウイルスの変異についてのお話です。

 

ウイルスの変異とは

ウイルスは感染しないと生きていけない

ウイルスは単体では生きてはいけません。

生きていく為には、他の生物の細胞を利用する必要があります。

 

生存確率を少しでも上げるために自分のコピーを作りますが、コピーを作るためにはタンパク質が必要です。

 

しかし、ウイルスは自分自身でタンパク質を生成することが出来ません。

コピーの材料となるタンパク質は、宿主から取り寄せる必要があります。

 

その為、宿主がいなければ、コピーを作ることが出来なくなってしまいます。

 

これはウイルスが他の生物に感染しないと、生きていけない理由の1つでもありますね。

 

変異はエラーの産物

私達ヒトの身体の中でも、細胞分裂として絶えずコピーは行われています。

 

ヒトの遺伝子のコピーは精度が高く、仮にエラーが起きても修復する機能が備わっています。

 

ウイルスの場合は、コピーの精度が低くなることが多いです。

その為、コピーウイルスは元のウイルスとは少し違った形になってしまうことがあります。

 

これを変異と呼びます。

 

新型コロナウイルスの変異の仕組みや「置き換わる」とは? | メディアスホールディングス株式会社 (medius.co.jp)より

 

変異とは、ウイルスのコピーでエラーが生じたものということになります。

 

RNAウイルスのコピーは変異しやすい

ウイルスには、DNAウイルスRNAウイルスが存在します。

  • DNAウイルス:B型肝炎ウイルス、日本脳炎ウイルスなど。
  • RNAウイルス:インフルエンザウイルス新型コロナウイルスが該当します。

 

1本鎖の方が変異しやすい

ウイルスには2本鎖1本鎖があります。

DNAやRNAが2本1組か、1本のみかの違いです。

 

ほとんどのDNAウイルスは2本鎖で、逆にほとんどのRNAウイルスは1本鎖です。

 

インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスは、1本鎖RNAウイルスに分類されています。

 

1本鎖DNAウイルスや2本鎖RNAウイルスは非常に珍しいとされています。
1本鎖DNAウイルス:パルボウイルス(下痢や嘔吐、発熱等)
2本鎖RNAウイルス:レオウイルス(風邪様症状)

半保存的複製は精度が高い

2本鎖の場合、複製の方法は2本が1本にほどけながらコピーを生成していく形となります。

常にオリジナル(コピー元)に近い情報が作られるので、非常に効率が良く精度も高くなります

 

オリジナルを保存しながら複製が進む為、半保存的複製と呼ばれています。

 

 

ヒトの遺伝子の複製もこのように2本鎖で行われます。

 

ヒト遺伝子のコピーの精度が高い理由の1つですね。

 

 

しかし、多くのRNAウイルスのような1本鎖の場合は、コピー元が1本しかないため、効率が悪く、精度も低くなりがちです。

その為、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスのコピーは精度が低く、変異が起きやすくなると考えられています。

 

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コピーの方法はウイルス独自の方法が多い

ウイルスのコピーの方法は、独自のルールに則ってコピーされている事が多いです。

 

その為、ヒトのDNAのコピーと比べて、精度が粗くエラーが起きやすいとされています。

エラーが起きても、修復機能が粗雑である為、しっかりと修復されることなく先へ進んでしまい、変異が起きやすくなってしまいます。

 

スパイクタンパク質の変異が重要

ウイルスがヒトに感染するためには、ウイルスの表面にあるタンパク質が、宿主(感染される生物)の細胞表面のタンパク質に結合する必要があります。

ウイルスの表面にあるタンパク質はスパイクタンパク質と呼ばれています。

 


新型コロナウイルスの変異と感染予防策 – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)より

 

ヒトの身体の免疫も、このスパイクタンパク質の形を読み取り、その情報を元にして抗体が作られます。

スパイクタンパク質は、ウイルスが変異する度にその形が変わります。

 

その為、ウイルスが変異すると、スパイクタンパク質も変わってしまうので、免疫反応が上手く働かなくなってしまう恐れがあります。

 

変異型に置き換わる

ウイルスの感染には、宿主の細胞表面のタンパク質(受容体)にスパイクタンパク質が結合する必要があります。

 

新型コロナウイルスの場合、ヒトの細胞表面にあるACE2受容体と呼ばれるタンパク質に結合することで、感染するといわれています。

 

 

新型コロナウイルスに変異がおき、従来のウイルスよりもACE2受容体への結合が強ければ、感染力は増大し、重症化になりやすくなります。

 

そして、感染力の強いウイルスの方が生存確率が高くなる為、次第に変異型の割合の方が多くなってきます。

 

新型コロナウイルスの変異と感染予防策 – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)より

 

逆に変異してもウイルスの感染力が弱ければ、変異ウイルスの生存確率は低くなります。

このように、自然淘汰のような形で徐々に従来のウイルスから変異型ウイルスへとシフトしていきます。

 

まとめ

  • 変異はコピーのエラーで起きる
  • 1本鎖RNAウイルスは変異しやすい
  • スパイクタンパク質の変異が感染には重要
  • 変異型の感染力が強ければ、徐々に変異型へと置き換わる

最後に

新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなど変異しやすいウイルスが多いです。

ワクチン等だけに頼るのではなく、感染対策をしっかり行っていきたいですね。

 

手洗いうがいマスクを徹底して、感染対策に努めましょう。

ではでは。

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