【腸活】太りにくい体質のメカニズム 腸内フローラの可能性

腸活
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同じもの食べても太りやすい人太りにくい人がいます。

その違いは一体何なのでしょうか?

 

可能性の1つに腸活があります。

今回は腸内フローラの違いついてのお話です。

 

整腸剤の選択についてはこちらをご参考いただければ幸いです。

 

 

腸内フローラの違い

人の腸内には100兆個以上の腸内細菌がいて、1000種類以上あります。

腸内に多種多様の菌がお花畑のように生息していることから、腸内フローラと呼ばれています

腸内細菌は出産分娩の際に、多くは母親の腸内細菌を受け継ぎます

この時の腸内細菌のパターンは変わりにくいとされていましたが、最近の研究では、後の生活環境や食事内容で変えることが出来ることが報告されています。

 

○○億個でも少ない?

よく巷で『○○億個の腸内細菌』というようなキャッチフレーズのサプリメントがありますが、腸内細菌は100兆個以上あります。

その為、一見○○億個という数字はとてつもない量に思えますが、腸内細菌の総量に比べれば決して多くはないということがわかります。

 

腸内フローラが関わる太りにくい体質のメカニズム

アメリカのワシントン大学のゴードン博士らによって、とある肥満に関わる論文が発表されました。

その論文では、肥満マウスの腸内細菌を通常のマウスに投与すると、通常のマウスが肥満化するとのことです。1)

 

それは、肥満には腸内細菌が関わってる可能性が示唆されています。

 

デブ菌とやせ菌

前述したアメリカのゴードン博士らは、更に次のような報告をしました。

肥満者ではデブ菌が多く、痩せ菌が少ない傾向にあるとのことです。2)

 

デブ菌:ファーミキューテス門
食物繊維を分解して短鎖脂肪酸をエネルギーに変えてしまう為、カロリー過剰になりやすい。この腸内細菌の割合が多いと太りやすくなってしまいます。
痩せ菌:バクテロイデス門
食物繊維を分解して短鎖脂肪酸を産生し、インスリン抵抗性などの生理活性に利用します。この腸内細菌の割合が多いと肥満抑制の効果が表れやすくなります。

つまり、肥満者には短鎖脂肪酸を産生する『やせ菌』の割合が少ない傾向にあります

 

 

食生活の改善により、これらの腸内細菌の比率が正常化することも報告されています。3)

 

高脂肪食は植物性食品と比較してファーミキューテス門(デブ菌)が増加し、短鎖脂肪酸の産生が低下する可能性があります。

 

お肉ばかりの食事はデブ菌が増加するからNGです。

 

不摂生な生活による腸内フローラの乱れが大きい人ほど、腸内フローラ是正の効果は有効です。

 

短鎖脂肪酸が肥満を予防する

腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸にも注目が集まっています。

人は植物性由来の食物繊維の分解は困難ですが、腸内細菌はこれを可能とします

 

腸内細菌が食物繊維を分解することで作られるのが短鎖脂肪酸です

 

 

短鎖脂肪酸:
酪酸・プロピオン酸・酢酸などの炭素数が少ない脂肪酸の総称です。
善玉菌と呼ばれるビフィズス菌・乳酸菌・酪酸菌などから産生されますが、その中でも酪酸菌は耐久力が強く、短鎖脂肪酸も多く産生することが出来ると言われています。

インスリン抵抗性を改善する可能性

短鎖脂肪酸はGLPー1PYY(食欲抑制ホルモン)などの分泌を促す事が報告されています。

 

GLPー1:
腸管運動・食欲の抑制作用あるいはインスリンの分泌制御作用のあるホルモンです。

 

腸内細菌がいないマウスではGLPー1やPYYの産生低下が認められています。

 

インスリンの働き

インスリンの働きは糖新生の抑制、骨格筋などにおける糖の取り込み促進とグリコーゲン合成の促進、脂肪組織における脂肪分解の抑制です。

糖尿病になると、インスリンが効きにくくなります。

 

その為、インスリンが必要以上に分泌されて、やがてインスリンが作られる細胞が疲弊してインスリンの分泌能は低下していきます

 

インスリンが効きづらくなってくると、余分なインスリンを分泌することになり、肥満が加速することになります。

 

腸内フローラの乱れは腸管および脂肪細胞へのエネルギーの過剰吸収、短鎖脂肪酸の減少を介して食欲増進を引き起こし、結果として肥満をもたらす可能性があります。

 

インスリン抵抗性を改善するということは、肥満を解消することにも繋がります。

 

短鎖脂肪酸はエネルギーの代謝効率を上げる。

短鎖脂肪酸は交感神経系を活性化する働きがあるとされています。4)

交感神経系を活性化させることで、エネルギー恒常性の維持を保ちます。

 

つまり、代謝が良くなりエネルギー消費が活発になるということです。

 

 

注意
短鎖脂肪酸は腸内細菌が食物繊維を分解して生成します
その為、単に腸内細菌サプリメントだけ摂っていては効果が薄くなる可能性があります
食物繊維が豊富な野菜やサプリメントを同時に摂るようにした方が効果的です。
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腸内細菌の多様化が様々な効果を生み出す。

腸内細菌の協調により、短鎖脂肪酸の1つである酪酸を介し、腸管の免疫系統のみならず、全身の炎症にも大きく影響します

 

腸内細菌が乱れると腸管のバリア機能にも乱れが生じてしまいます。

 

腸内細菌の数々の代謝変動は、腸管のバリア機能改善による2型糖尿病の改善の可能性が報告されています。5,6)

 

腸内フローラが乱れている人は、腸内細菌のバリア機能が低下しているせいで、腸内細菌が血中に移行しているケースもあります。
その腸内細菌が身体に各種炎症を引き起こして、インスリンの抵抗性や生活習慣病の原因なっているケースも考えられています。

 

高脂肪食負荷のマウスで増える腸内細菌由来の物質(エンドトキシン)が、炎症を起こしてインスリン抵抗性を起因することも知られています。7)

 

 

腸内フローラを整える事は、肥満を防止する面で言えば効果的ですね。

 

腸内フローラが乱れがちな人は元々不摂生な生活をしている人が多いので、不摂生な生活をしていれば肥満にもなりそうですね・・・。

 

運動でも腸内細菌は変化する

運動を習慣的に行っている人は、腸内細菌もそれにあわせて変化します8)

 

運動習慣を6週間続けて、そのあとに運動しない生活も6週間行いました。

そのあとに、腸内フローラを調べた実験があります。

その結果、運動したことで酢酸産生を促す腸内細菌が増えていました

そして、運動をしない生活に戻すと、これらの菌も減り、酪酸の産生量が低下することがわかりました。

 

酪酸とは短鎖脂肪酸のことでしたね。

運動は短鎖脂肪酸を生み出し、エネルギー効率を上げる腸内フローラを生み出すことに繋がります

まとめ

  • 太っている人:デブ菌が多い
    痩せている人:やせ菌が多い傾向にある。
  • 腸内細菌は食物繊維を分解して短鎖脂肪酸を生み出す。
  • やせ菌は短鎖脂肪酸を有効活用し、代謝を上げたり、インスリン抵抗性を改善する。
  • 運動は腸内フローラを変化させる。

腸活:注意事項

  • ビフィズス菌・乳酸菌・酪酸菌など、酪酸(短鎖脂肪酸)を産生する菌種を摂取するように心がける
  • 腸内フローラの変化は1週間以上かかる。一定以上の変化は1か月以上。
  • 偏食は腸内細菌の一極化につながる為、バランスの良い食事を心がける。
  • 短鎖脂肪酸は食物繊維を分解して産生される為、食物繊維は豊富に摂取する。
  • 運動でも腸内フローラは変化することがあるが、運動習慣をやめると元に戻る可能性大。

 

最後に

今回紹介したお話はまだメカニズムが完全に解明されていないことですので、あくまで可能性の1つです。

ですが、本当に腸内の環境で瘦せやすい体質になる可能性があるのであれば、1度は腸活をしてみても良いと思います。

 

土台の『規則正しい生活』の上に全ては成り立ちます。

無理はしないようにしてくださいね(‘ω’)ノ

ではでは。

参考文献
食と腸内細菌代謝産物を介した宿主エネルギー制御機構短鎖脂肪酸受容体とエネルギー代謝ネットワーク
肥満・糖尿病と腸内細菌

腸内細菌叢と肥満症
運動と腸内細菌叢
1)Bäckhed F, et al. The gut microbiota as an environmental factor that regulates fat storage. Proc Natl Acad Sci USA. 2004; 101: 15718–15723.

2)Ley RE, et al. Obesity alters gut microbial ecology. Proc Natl Acad Sci. 2005; 102: 11070–11075.

3)Turnbaugh PJ, et al. An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest. Nature. 2006; 444: 1027–1031.

4)D. Inoue, I. Kimura, M. Wakabayashi, H. Tsumoto, K. Ozawa, T. Hara, Y. Takei, A. Hirasawa, Y. Ishihara & G. Tsujimoto: FEBS Lett.586, 1547 (2012).

5)Delzenne NM, et al. Gut microorganisms as promising targets for the management of type 2 diabetes. Diabetologia. 2015; 58: 2206–2217.

6)Sato J, et al. Probiotic reduces bacterial translocation in type 2 diabetes mellitus: A randomised controlled study. Sci Rep. 2017; 7: 1–10.

7)Cani PD, et al. Metabolic endotoxemia initiates obesity and insulin resistance. Am Diabetes Assoc. 2006; 55: 1484–1490.

8) Allen JM, Mailing LJ, Niemiro GM, Moore R, Cook MD, White BA, Holscher HD, Woods JA. Exercise alters gut microbiota composition and function in lean and obese Humans. Med Sci Sports Exerc. 2018; 50: 747–757.

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