先日、薬局でお医者さんにお薬を渡す機会がありました。
その際にスタッフさんから、
『あちらの患者さん、病院の先生みたいですけど管理料取りますか?』
という質問がありました。
今回は医師や薬剤師に対する薬学管理料についてのお話です。
薬局業務の参考になれば幸いです。
薬学管理料(服薬管理指導料)
医療従事者と言えど人間ですので、薬を貰うときは大抵薬局に行くことになります。
医師や薬剤師に薬を渡すときに悩むことは、
『薬学管理料を算定するかどうか?』
という点です。
この薬学管理料とは、基本的な要件を抜粋すると、
平たく言えば、
『患者の情報に基づき薬の副作用や飲み合わせ、薬効等の確認・説明を薬学的知見で行った際に算定出来る点数』
ということになります。
健康被害の心配なく正しく薬を使用して貰う為の管理料といったものですね。(‘ω’)ノ
医師薬剤師に対する管理料
『薬の知識等が豊富な人に対して、この点数は算定して良いものか?』
という点に関してはどうでしょうか。
薬の知識等が豊富な人とは主に医師や薬剤師を指します(*・ω・)
医師や薬剤師に対する管理料算定の有無は、法律で定められている訳ではありません。
その為、各薬局で対応が異なります。
というのも、
『説明しなくてもわかってるのに敢えて説明して点数とるのはいかがなものか?』
という理由で管理料を取らない薬局もあれば、
『いやいや、たとえ医師・薬剤師であっても全ての薬を理解してるとは限らないので、管理料は算定すべき』
という理由で管理料を取っている薬局もあります。
原則的な考えとして、管理料は患者の求めに応じて算定するものではありません。
薬学的知見に基づいた各患者への服薬指導は薬剤師としての使命となっています。
このことは『薬剤師法』や『薬担規則』に定められています。
(情報の提供及び指導)
第二十五条の二 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。
(調剤の一般的方針)
第八条 保険薬局において健康保険の調剤に従事する保険薬剤師(以下「保険薬剤師」という。)は、保険医等の交付した処方箋に基いて、患者の療養上妥当適切に調剤並びに薬学的管理及び指導を行わなければならない。
2 保険薬剤師は、調剤を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。
ですので、管理料の要件はこれらを明文化したものに過ぎないという考えです。
その為、医師・薬剤師であっても算定は可能となってます。
ただ、私の薬局では管理料取ってないです。
理由としては先程の、
『説明しなくてもわかってるのに、敢えて説明して点数とるのはモラル的どうなの?』
という理由も当然ですが、仮に医師・薬剤師に管理料を算定していた場合に、患者側の理解が『管理料取らない派』な時はトラブルの元になり得るからです。
なので、余程の理由がない限りは医師や薬剤師には管理料を算定していないことが多いです。
ただ、明らかに医師の専門外と思われる処方せんについては算定する場合もあります。
歯医者さんに脳外科の処方せんが出てたりとかですね(;^ω^)
ただ、算定する際には事前に、
『お薬の説明は必要でしょうか?』
など、確認した方が無難ではあります(^^;
薬局によっては医師・薬剤師でなくても管理料を算定していない薬局もありますので、あくまでも一個人の参考程度に(;^ω^)
算定してなくても…
『その患者さん管理料算定してないから説明とかしなくていいよ!』
というケースがあります。
『薬剤師法』や『薬担規則』で薬剤師としてしっかりと服薬指導や管理をしなければならないと定められている以上、算定の有無は関係なくやることはやらないといけません。
なので、仮に管理料を算定していないケースであっても、服用状況の確認は服薬指導は原則として必要になります。
まぁ、薬剤師が必要ないと判断して、かつ患者が説明要らないと言うようであれば、説明は端折って薬歴だけ書くパターンが多いですね(;^ω^)
医師や薬剤師以外には?
医療機関には医師や薬剤師以外にも、そこで勤める看護師さんや事務員さんなど、様々な職種がいます。
基本的にはそれらの方々に対しては、原則管理料を算定していることが多いです。
職種がわからない時
ただ、
『どの患者が医師・薬剤師とかわからない』
という声もあります。
一番わかる方法は保険証の情報です。
社会保険であれば、保険証にはその人の組合や勤め先が記載されていることが大半です。
医療機関の場合は組合の記載が多いですね(*´Д`)
勤め先が医療機関などであれば、医師薬剤師の可能性があります。
ただ、
『いや、さっき医療機関には様々な職種がいる言うてたばっかじゃん!』
というように、勤め先が医療機関であっても医師や薬剤師ではない可能性は大いに考えられます。
なので、勤め先が医療機関とわかったら、あとは本人に聞いてしまうのが最も早い確認方法になります。
『本日のお薬の説明に関わることなのですが、お医者様、もしくは薬剤師様でしょうか?』
と、聞いてしまって確認を取ることが多いです。
保険証の提示を拒否されたり、回答を拒否されたりすれば確認のしようがありませんが、大体答えてくれることが多いです。
ちなみに薬局での保険証提示は義務ではないのでご注意下さい(^o^;)
ただ、これはあくまでも社会保険の方の例なので、ごく一部の確認しか出来ません(*´Д`)
薬剤師の免許は持っているけど医療機関以外で働いている方もいますし、社保に加入せず働いているケースだったり、社保加入していない勤め先であったり…などなど、実は医師・薬剤師という方は多いと思います。
敢えて言わないケースも
私は薬剤師ですが、薬局で薬を貰う際には自分が薬剤師であることは極力明かさないようにしています。
何故なら、その薬局の薬剤師さんの自然な服薬指導のやり方を見てみたい欲があるからです。
この薬剤師さんはこの薬についてどんな説明するんだろう…?
という形で、じ~…っと観察しています。
そしてあわよくば今後の自分の業務の参考に出来ればとも考えています。
我ながらいやらしい性格とは思いますが、これって『薬剤師あるある』なんじゃないかな?とも思っています(;^ω^)
なので、逆に私も知らず知らずのうちに薬剤師さんに服薬指導しているかもしれませんね。
変な服薬指導しないように気を付けます( 一一)
最後に
服薬指導の対象が誰であれ、その人にとって本当に必要な服薬指導が出来ていれば、管理料は算定しても良いと思います。
うちの薬局では算定してませんが…(;^ω^)
薬局業務の参考になれば幸いです。
ではでは。