【メンタル】食事の影響を受けやすい心療内科系の薬一覧

医療系
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心療内科系の薬を使っている患者さんからこんなことを質問されることがあります。

患者さん

寝る前の薬を夕食後とかに飲んでも平気ですか?

 

今回は心療内科系のお薬の食事の影響をまとめたお話になります。

医療業務の参考になれば幸いです。

添付文書を基に作成

各薬剤の添付文章を基に、食事の影響の有無をまとめてみました。

全てのお薬ではなく主なお薬となっているため、記載されていないお薬があってもご容赦いただければありがたいです💦

 

今回は心療内科で見かけるお薬です。

  • 抗うつ薬
  • 抗精神病薬
  • 抗不安薬
  • 睡眠導入剤
  • ADHD治療薬
  • 抗てんかん薬

こちらを一覧にしております😄

 

以下、一覧の例です👇

抗うつ薬 用法指定 食事の影響記載 食事の影響
SNRI ミルナシプラン(トレドミン) 食後
デュロキセチン(サインバルタ) 朝食後
ベンラファキシン(イフェクサー) 食後

『用法指定』は添付文書の用法用量に食前食後等の指定があるかどうかです。


サインバルタ添付文書より

『食事の影響記載』は、添付文書に食事によるCmaxやAUCなどへの影響の記載があるかどうかです。


サインバルタ添付文書より

『食事の影響』は空腹時と食後時AUCへの影響を低・中・高で表しています。

  • 低:AUC差10%未満
  • 中:AUC差10~50%
  • 高:AUC差50%超

睡眠導入剤に関しては、薬効発現の素早さが大きく影響する為、AUCだけではなくCmaxも対象として表しています。

 

抗うつ薬

抗うつ薬 用法指定 食事の影響記載 食事の影響
三環系 アミトリプチリン(トリプタノール)
クロミプラミン(アナフラニール)
イミプラミン(トフラニール)
ノルトリプチリン(ノリトレン)
トリミプラミン(スルモンチール)
アモキサピン(アモキサン)
四環系 マプロチリン(ルジオミール)
SARI トラゾドン(レスリン)
SSRI フルボキサミン(ルボックス)
パロキセチン(パキシル) 夕食後
セルトラリン(ジェイゾロフト)
エスシタロプラム(レクサプロ) 夕食後
SNRI ミルナシプラン(トレドミン) 食後
デュロキセチン(サインバルタ) 朝食後
ベンラファキシン(イフェクサー) 食後
NaSSA ミルタザピン(リフレックス) 就寝前
SRIM ボルチオキセチン(トリンテリックス)
躁病薬 リーマス(炭酸リチウム)

 

抗うつ薬は全体的に食事の影響を受ける薬はないですね😄

サインバルタの朝食後服用については、『夜就寝前投与で主要吸収部位である小腸への到達が遅くなり、Tmax遅延、Cmax低下が認められたため、国内臨床試験は全て朝投与で行われている』とされています。(サインバルタ(デュロキセチン塩酸塩)が朝食後投与の理由は?(薬局) 公益社団法人 福岡県薬剤師会 |質疑応答 (fpa.or.jp)より)

AUCについては大きく影響しないようですので、朝以外に服用しても別段問題はなさそうですね🤔

 

抗精神病薬

抗精神病薬 用法指定 食事の影響記載 食事の影響
定型 クロルプロマジン(コントミン)
レボメプロマジン(ヒルナミン)
ハロペリドール(セレネース)
SDA リスペリドン(リスパダール)
パリぺリドン(インヴェガ) 朝食後
ペロスピロン(ルーラン) 食後
ルラシドン(ラツーダ) 食後
DSA ブロナンセリン(ロナセン) 食後
MARTA オランザピン(ジプレキサ)
クエチアピン(セロクエル)
クロザピン(クロザリル)
アセナピン(シクレスト)
DSS アリピプラゾール(エビリファイ)
ブレクスピプラゾール(レキサルティ)

 

抗精神病薬は食事影響の記載が多めですね😅

特にSDA,DSAは注意が必要ですね。

 

パリぺリドン(インヴェガ)の朝食後服用については、インヴェガ自体は食事の影響は少ないです。

しかし、徐放性製剤となっており効果発現まで数日かかるため、少しでも長く消化管に滞在させるために朝食後服用となっています。

多くの人は朝に排便することが多く、夜服用してしまうと翌日の排便により排泄されてしまう可能性があるため、薬効が長く得られないこともあります。

その為、インヴェガは朝食後服用となっています。

 

ちなみにインヴェガは糞便中に錠剤の欠片が出てきて、

患者さん

『インヴェガが便と一緒に出てきたんだけど、これちゃんと効いてんの!?』

という不安もあるかと思いますが、インヴェガの残渣が糞便中に出てくるのは自然なことです。

用法用量を守っていれば、お薬はしっかり体内で放出されて効いている筈ですので、初めて服用する人には一言言っておいた方が良さそうですね🤤

 

ペロスピロン(ルーラン)、ルラシドン(ラツーダ)、ブロナンセリン(ロナセン)は食事の影響をがっつり受けます。

もし初めての服用で寝る前や食前服用で処方されていたら、念のために疑義照会しても良いレベルです。

以下が各薬剤のAUC差です👇

ペロスピロン(ルーラン):AUC2.4倍
ルラシドン(ラツーダ):AUC2.4倍
ブロナンセリン(ロナセン):AUC2.69倍

 

私も以前にラツーダが就寝前服用で処方されていたものを疑義照会したら、夕食後服用へ変更となりました😖

 

抗不安薬

抗不安薬 用法指定 食事の影響記載 食事の影響
短時間型
<6hr
トフィゾパム(グランダキシン)
クロチアゼパム(リーゼ)
フルタゾラム(コレミナール)
エチゾラム(デパス)
中時間型
12~24hr
ブロマゼパム(レキソタン)
ロラゼパム(ワイパックス)
フルジアゼパム(エリスパン)
アルプラゾラム(ソラナックス)
長時間型
24hr<
クロルジアゼポキシド(バランス)
クロラゼプ酸(メンドン)
メダゼパム(レスミット)
オキサゾラム(セレナール)
ジアゼパム(セルシン)
クロキサゾラム(セパゾン)
メキサゾラム(メレックス)
クロナゼパム(リボトリール)
超長時間
90hr<
ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)
短時間型
<6hr
タンドスピロン(セディール)

 

抗不安薬については特に食事の影響も特別な用法指示もありませんね。

用法の処方監査が楽で助かっています🤤

 

睡眠導入剤

睡眠導入剤 用法指定 食事の影響記載 食事の影響
超短時間
2~4hr
非BZ系
ゾルピデム(マイスリー) 就寝直前
ゾピクロン(アモバン) 就寝前
エスゾピクロン(ルネスタ) 就寝前 中(Cmax)
超短時間
2~4hr
BZ系
トリアゾラム 就寝前
短時間型
6~10hr
エチゾラム(デパス) 就寝前
リルマザホン(リスミー) 就寝前
ブロチゾラム(レンドルミン) 就寝前
ロルメタゼパム(エバミール) 就寝前
中時間型
12~24hr
エスタゾラム(ユーロジン) 就寝前
フルニトラゼパム(サイレース) 就寝前
ニトラゼパム(ベンザリン) 就寝前
長時間型
24hr<
クアゼパム(ドラール) 就寝直前
フルラゼパム(ダルメート) 就寝前
メラトニン作動 ラメルテオン(ロゼレム) 就寝直前
オレキシン拮抗 レンボレキサント(デエビゴ) 就寝直前
スボレキサント(ベルソムラ) 就寝直前 中(Cmax)

睡眠導入剤に関しては、薬効発現の素早さが大きく影響する為、AUCだけではなくCmaxも対象として表しています。

 

睡眠導入剤は特別な理由がなければ就寝直前や就寝前処方がほとんどです。

しかし、飲み忘れを防ぐ目的等で他の夕食後薬と同じタイミングにするために、夕食後で処方されることがたまにあります。

 

睡眠導入剤で食事の影響を受けやすいのは、エスゾピクロン(ルネスタ)、クアゼパム(ドラール)、ラメルテオン(ロゼレム)、レンボレキサント(デエビゴ)、スボレキサント(ベルソムラ)あたりです。

添付文書にも『本剤は食事と同時又は食直後の服用は避けること。』と記載がありますので、食後服用の場合は念のために疑義照会しても良いでしょう。

 

ADHD治療薬

ADHD治療薬 用法指定 食事の影響記載 食事の影響
中枢系 リスデキサンフェタミン(ビバンセ)
メチルフェニデート(コンサータ)
非中枢系 アトモキセチン(ストラテラ)
グアンファシン(インチュニブ)

 

ADHD治療薬での食事の影響を受けやすいのは、グアンファシン(インチュニブ)です。

高脂肪食でない限りは、大きく食事の影響を受けることはないですし効果も穏やかです。

ですので食事の影響はあまり気にしなくても良いと個人的には思いますが、18歳未満の子供にも使用されることが多いお薬ですので、念のために頭に入れておいても良いでしょう。

 

中枢系のリスデキサンフェタミン(ビバンセ)、メチルフェニデート(コンサータ)の朝服用ですが、これは単純に薬の効果時間が10~12時間に及ぶために、朝以外で服用してしまうと眠れなくなってしまう恐れがあるためです😅

 

抗てんかん薬

抗てんかん薬 用法指定 食事の影響記載 食事の影響
従来 フェノバルビタール(フェノバール)
フェニトイン(ヒダントール) 毎食後
エトスクシミド(エピレオプチマル)
カルバマゼピン(テグレトール)
バルプロ酸ナトリウム(デパケン)
ゾニサミド(エクセグラン)
新しい ガバペンチン(ガバペン)
ガバペンチン(レグナイト)
トピラマート(トピナ)
ラモトリギン(ラミクタール)
レベチラセタム(イーケプラ)
ペランパネル(フィコンパ) 就寝前
ラコサミド(ビムパット)

 

ガバペンもレグナイトも同じガバペンチンが入ってるけど、食事の影響受け方が違うの?

レグナイトはガバペンの吸収機能を改善したお薬です。

ガバペンは小腸から吸収されますが、トランスポーターの飽和により用量依存的に吸収出来なくなるのが難点でした。

レグナイトはガバペンを徐放性にすることにより、長く効き目を保たせることが出来るようになり、レストレスレッグス症候群にも適応があります。

しかし、徐放性にしたことで食事の影響を受けてしまうようになったという形です。

用法指定もないことからも、レグナイトの食事の影響は少ない考えられます🤔

 

フィコンパの就寝前指示については、副作用としてめまいや傾眠が多いことによるものです。

 

最後に

心療内科系は、食欲不振や生活リズムの乱れにより用法通りの服用ではないことも多くあります。

上手く薬効が働かず治療が進まないこともありますので、食事の影響を受けるお薬には特に注意したいですね😄

 

医療業務の参考になれば幸いです。

ではでは。

 

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