【お肌】ニキビ治療薬の使い分けと注意点

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ニキビの治療薬にはいくつか種類があります。

ニキビにも経過があり、ニキビに合った薬剤選択をしないと十分な効果が得られないおそれがあります。

今回はニキビ治療薬の使い分けです。

 

ニキビの経過

ニキビにはいくつかの過程があります。

一般的に 白ニキビ → 黒ニキビ → 赤ニキビ の経過を辿ります。

白ニキビ

ニキビの初期段階です。

毛穴の入り口が閉じてしまっているので、外見は基本的にはうっすらとした感じで、まだ目立たないでしょう。

しかし、触ると異物感がわかるなど、これからニキビになることは予想出来る段階です。

黒ニキビ

ニキビが次の段階に進んだ姿です。

中で皮脂が盛り上り、ニキビとして認識出来る段階です。

毛穴の入口は開いていて、角栓が酸化されたことにより黒色になります。

まだアクネ菌が増えて炎症を強く起こしていない状態なので、外見はまだ目立たないことが多いです。

赤ニキビ

既に炎症が起きている状態のニキビです。

アクネ菌が皮脂を栄養にして強く炎症を引き起こしている状態です。

外見的にははっきりとニキビとしてわかるようになっています。

 

ニキビは放置していても1週間ほどで消失することがほとんどです。

しかし、症状が悪化すると消失までに数週間を要するにケースもあります。

 

 

主に白→黒→赤(黄)のニキビを経ますね🤔

ですので、ニキビの経過に合わせた薬剤を選択していくことになります。

これはガイドラインにも記載されていますね😄


尋常性ざ瘡ガイドラインより

 

白や黒ニキビの時はピーリング

ニキビの初期段階にはピーリング剤を中心に使用します。

  • ディフェリンゲル(アダパレン)
  • ベピオゲル/ローション(過酸化ベンゾイル)
  • エピデュオゲル(アダパレン・過酸化ベンゾイル)
  • デュアック配合ゲル(クリンダマイシン・過酸化ベンゾイル)

 

エピデュオとデュアックは配合剤の為、ピーリング剤としての成分はアダパレンと過酸化ベンゾイルのみを覚えればOKです👍

 

アダパレンは遺伝子転写に作用することで角層化を抑制し面皰の促進を防ぎます。

過酸化ベンゾイルは抗菌作用の他、角層剥離を促進したり、面皰を柔らかくすることで毛嚢内部の皮脂を出しやすくします。

早期のニキビに使うことで、連鎖する炎症を抑える効果があります。

 

その上、目に見えないぐらいのニキビや皮脂腺にも効果があるため、先手必勝的な立ち位置となっています。

ディフェリンはニキビ初期の白や黒ニキビには効果が高いですが、炎症が亢進した赤ニキビには効果が薄いです。

対して、ベピオゲルは過酸化ベンゾイルが抗菌作用も併せ持つ為、全てのニキビで効果が期待できます。

白、黒ニキビ:ベピオ<ディフェリン
赤ニキビ:ディフェリン<ベピオ

こんな感じでしょうか😄

 

赤ニキビや黄ニキビには抗生剤

ニキビがある程度進行しており、連鎖的に炎症が起きている状態です。

この時にはアクネ菌などの原因菌が増えてしまっているため、抗生物質で原因菌を叩く方が効率的です。

その為、アクアチム、ダラシン、ゼビアックスなどの抗生物質を主に使用します。

  • デュアック配合ゲル(クリンダマイシン・過酸化ベンゾイル)
  • ダラシン(クリンダマイシン)
  • アクアチム(ナジフロキサシン)
  • ゼビアックス(オゼノキサシン)

 

逆に皮脂腺等でのアクネ菌が増殖してしまっている赤ニキビなどに対してはディフェリンなどでは効き目が薄いです。

 

抗生剤の違い

ダラシン、アクアチム、ゼビアックスの違いですが、ダラシンはマクロライド系、アクアチムとゼビアックスはニューキノロン系に該当するので、抗生剤のタイプが異なります。

  • ダラシン:マクロライド系
  • アクアチム、ゼビアックス:ニューキノロン系

 

副作用においては、ダラシンには特徴的な副作用が報告されており、偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(頻度不明)が報告されています。

胃腸系の副作用を心配するようであれば、ダラシン以外を選択するのもありですね💦

 

1日の使用回数にも違いはあります。

ダラシン、アクアチムは1日2回製剤となっていますが、ゼビアックスのみ1日1回製剤となっています。

臨床試験ではニキビの減少率は、アクアチム<ゼビアックスとの結果だったようです。

しかし、ゼビアックスはアクアチムに比べ、AST値やALT値の増加、γ‐GTP増加や血中ビリルビン値の増加の副作用もされていますので注意が必要になります。

 

薬剤使用の注意点

ピーリング剤を塗った後は…

日光などの紫外線には極力当てないようにしてください😅

ディフェリンやベピオゲルの成分が紫外線との化学反応を起こすわけではなく、ピーリングしているのでお肌への紫外線ダメージが必然的に大きくなるのが理由です。

 

ピーリング剤使用後は刺激感やヒリヒリ感を感じることがあります。

多くの場合は使用開始後1か月で消失する事が多いので、日常生活に支障をきたさなければそのまま使用してもOKです。

使用する範囲も最初は狭い範囲から初めて、慣れてきたら拡げていくようにした方が良いでしょう。

 

ピーリング剤の効果は角層の剥離促進もあります。

その為、試用期間中は皮むけの副作用もあります。

実質角質が剥がれているので、バリヤ機能にも影響します😓

 

 

その為、治療中はヒルドイドなどの保湿剤を併用することもあります。

 

基本的に保湿剤とピーリング剤の併用はOKですが、保湿剤を塗った後にピーリング剤を塗るようにしましょう。

順番が逆になると保湿剤により必要でない部分にもピーリング剤を使用することになってしまいます😅

 

ディフェリンやエピデュオは妊婦には使用しない

ウッカリしがちなのはディフェリンなどのアダパレン含有剤を妊婦が使ってしまうことです。

妊娠中は黄体ホルモンによりニキビが出来やすい状態になります。

妊娠以前に処方された薬が家に残っていて、妊娠時にニキビが出来たので使う…なんてケースも考えられます。

 

アダパレンは遺伝子に作用するお薬です。

催奇形性は認められていませんが、動物実験では骨や臓器の異常が確認されたこともありますので、妊娠中の使用は控えましょう。

 

いや、遺伝子に効くとかようわからんて!

という方はマルホのホームページにあるディフェリンの作用機序の動画をご参考下さい😳

非常にわかりやすくてニキビ治療の参考になるのでおすすめです✨👇✨

ディフェリンの薬効薬理 | マルホ 医療関係者向けサイト (maruho.co.jp)

 

授乳中は使用しないことが望ましいですが、やむを得ず使用する場合は授乳をしないようにしましょう😅

 

ディフェリンやエピデュオの使用は顔のみ

背中ニキビやその他の部位の毛嚢炎にはディフェリンは使えません。

使えないことはないのですが、保険適応上ディフェリンは顔への使用のみとなっております。

これは顔以外への有効性が確立していない為です。

 

処方せんでディフェリンやエピデュオの使用部位が顔以外の場合は疑義照会しても良いでしょう。

 

過酸化ベンゾイルは顔以外OK

過酸化ベンゾイルのベピオなどは、顔以外の使用でもOKです。

過酸化ベンゾイルは抗生物質ではありませんが、化学的に抗菌作用があります。

 

抗生物質ではないため、耐性菌の心配がなくアクネ菌以外の菌にも有効です。

そして、角層の剥離作用も併せ持っています。

その為、顔ニキビに限らず背中ニキビ等にも使用が可能となっています。

 

赤ニキビには抗生剤。その周辺にピーリング剤を塗る

赤ニキビはアクネ菌が増えた状態の為、周りには目に見えないニキビ予備軍がいることが多いです。

その為、赤ニキビの周辺にディフェリンやベピオゲルを塗ることでニキビが増えにくくなることが期待出来ます。

そのような理由もあり、ピーリング剤は基本3か月以上使用を継続することが推奨されています。

 

ニキビ治療のポイント (maruho.co.jp)より

 

ちなみに過酸化ベンゾイルには漂白作用がありますので、ベピオゲルやデュアック、エピデュオを使用の際は髪や服に付かないように気を付けましょう。

もし付いたらすぐに洗い流して下さいね😅

 

実際の処方例

上画像は嫁が処方してもらった時の内容です。

デュアックは紫外線の関係もあるので、夜処方になってますね😄

 

使用感はというと、

嫁

ゼビアックスは使ってて特に何もなく、普通のクリームといった感じです。
デュアックに関しては、塗ったニキビのところが痒くなる感じがありました💦
特にヒリヒリ感はなかったです。

とのことでした。

 

最後に

ニキビの経過に伴い適切な薬剤選択をする事で、効率的な治療が出来ますね✨

参考になれば幸いです。

ではでは。

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