【高尿酸血症】アロプリノールやフェブキソスタットなどの尿酸生成抑制薬の使い分け

医療系
スポンサーリンク

本記事は私の薬剤師業務のあんちょこ、備忘録として記録しています。

ここでは尿酸生成抑制薬のアロプリノールやフェブキソスタット、トピロキソスタットの使い分けをまとめています。

私の業務経験や各書籍の情報を基に作成していますので、医療業務の参考になれば幸いです。

 

先にまとめ:大まかな使い分け

  • ザイロリックはXOR以外の酵素も阻害するが、フェブリク等はXORのみを阻害
  • フェブリク・トピロリックは腎機能低下時の減量不要
  • 腎機能低下例に対してはトピロキソスタットが最も使いやすい
  • ザイロリックはキサンチン骨格との併用に注意
  • フェブリク・トピロリックはメルカプトプリンやアザチオプリンとは併用禁忌
  • 血清尿酸値の降下作用:アロプリノール≦フェブキソスタット
  • ザイロリックは皮膚障害リスク、フェブリクは心血管リスクあり
  • 副作用頻度はフェブリクが少なめ

高尿酸の治療目標

一般的には血清尿酸値は痛風関節炎の再発予防を目的として 、血清尿酸値が6.0㎎/dL以下を治療目標とします。

ただ、痛風結節を有する症例に対しては5.0㎎/dL以下をコントロールすることが結節の早期縮小に重要だと言われています

 

合併症を有する場合は無症状であっても8.0㎎/dL以上で薬物治療対象となります

ARBのロサルタンやアトルバスタチン、フェノフィブラート、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬にも尿酸低下作用が報告されていますが適用は承認されていません。

 

生成抑制と排泄抑制の併用もあり

高尿酸血症治療薬は『尿酸産生過剰型』と『尿酸排泄低下型』に加え、現在では腸からの排泄低下による血清尿酸値が上昇する『腎外排泄低下型』も追加されています。

従来ではそれぞれのタイプに合わせて薬剤を使用することが推奨されてきましたが、近年では『尿酸生成抑制薬』と『尿酸排泄促進薬』の併用療法の有用性や、排泄低下型にも『尿酸生成抑制薬』が有効であるとの報告もあります。

 

腎合併症例には尿酸生成抑制薬

腎合併症例に対しては尿酸生成抑制薬が第一選択です

ただし、アロプリノールは腎機能により投与量の調節が必要です

 

アロプリノール少量に加え腎機能が低下しても比較的効果が認められる尿酸排泄促進薬のベンズブロマロン25~50㎎/日を併用する方法も検討されています

『エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン2018』においては CKD 患者に対する尿酸降下薬としてアロプリノールとフェブキソスタットが有用な可能性があることが示されてもいます

 

尿路結石合併例は生成抑制とアルカリ化薬

痛風などで合併する尿路結石症では、尿酸生成抑制薬や尿をアルカリ化薬の適正使用が重要です。

 

一方、尿酸排泄促進薬は尿中尿酸排泄量を増加させるため尿アルカリ化やプリン体の摂取制限が不十分な場合は尿酸結石の形成を促進させてしまいます

そのため尿路結石を合併する患者には原則として尿酸排泄促進薬を使用すべきではないとされています

心不全合併例には特に指定はなし

心不全を合併する患者に対するアロプリノール投与では 血管内皮機能改善(血流改善)や左室駆出率の改善などの報告はありますが心不全患者の総死亡率や心血管死抑制の報告がありません。

しかし現時点では尿酸生成抑制薬、尿酸排泄促進薬も心不全の病態に影響する可能性はなく、どちらも安全に使えると言われています

 

スポンサーリンク 

 

尿酸生成抑制薬の使い分け

作用機序の違い

尿酸生成抑制薬は、

  • アロプリノール(ザイロリック)
  • フェブキソスタット(フェブリク)
  • トピロキソスタット(トピロリック)

こちらの3つが承認されています。

 

3つともキサンチン酸化還元酵素(キサンチンオキシダーゼ:XOR)を阻害する尿酸産生阻害作用を持ちますが、細かな作用機序が異なります。

 

アロプリノールと代謝物のオキシプリノールは、ヒポキサンチン及びキサンチンと拮抗することによって尿酸の生成を抑制します。

 

一方、フェブキソスタットはXORの作用を直接阻害することにより尿酸産生を抑制します。

基礎からわかる類似薬の服薬指導(ナツメ社)より

 

アロプリノールがXORの基質であるキサンチンと類似のプリン骨格に対して、フェブキソスタットは非プリン骨格であるため、XOR以外の他の核酸代謝酵素を阻害せずXORに選択的な阻害活性を示します。

 

トピロキソスタットはフェブキソスタットの同様に、非プリン骨格の選択的XOR阻害薬です

なので、アロプリノールはキサンチン骨格のお薬(テオフィリンなど)と拮抗してしまう恐れがあるため、薬物相互作用には注意が必要です。

 

本来はキサンチン(もしくはキサンチン骨格薬)に使われる筈だったXORが、アロプリノールがオキシプリノールになるためや、代謝物のオキシプリノールも反応に使われる事で拮抗する形です。

核酸の代謝はXORだけではなく、他の酵素も絡んでいますが、アロプリノールは骨格が似ていることから他の核酸代謝酵素も阻害(拮抗)していまいます。

 

フェブキソスタットはXOR選択型なので、アロプリノールよりも相互作用が少ないということになります。

ただし、主にXORで代謝されるメルカプトプリンなどはダイレクトに代謝を阻害してしまうために併用禁忌扱いとなっています。

 

尿酸は遺伝子の代謝物

尿酸は核酸が代謝されることによって生じる物質です。

核酸からプリンヌクレオチドになりプリンヌクレオチドはプリンヌクレオシドへ、その後プリン塩基となります。

プリン塩基の中からヒポキサンチン、キサンチン、尿酸といった順に代謝されていきます。

 

プリン塩基の代謝酵素としてXORが使用されます。

このXORを阻害することによってヒポキサンチンから尿酸になることを阻害するお薬が尿酸生成抑制薬という形になっています。

 

ちなみにプリン塩基とはアデニンやグアニンといった遺伝子の材料に使われている物質にもなっています。

つまり、尿酸とは細胞(遺伝子)が分解代謝された際に生じる物質であるとも言えます。

 

 

腎障害例にはフェブキソスタットの方が使いやすい

アロプリノールは腎排泄型に対して、フェブキソスタットやトピロキソスタットは腎排泄以外に尿中、糞中排泄経路があるため、中等度程度の腎機能障害例において使用しやすいといった特徴があります。

 

薬剤名 服用回数 骨格 排泄 腎機能低下時の減量
アロプリノール(ザイロリック) 1日1~3回 プリン骨格 尿中 必要
フェブキソスタット(フェブリク) 1日1回 非プリン 尿中・糞中 不要
トピロキソスタット(トピロリック) 1日2回 非プリン 尿中・糞中 不要

 

アロプリノールはクレアチニンクリアランスが30未満の例では1日1回50mgまで減量する必要があります。

透析時(HD)においては、1回100mgを週3回HD後に使用します。

CAPDの場合は1回50mgで使用します。

 

フェブキソスタットとトピロキソスタットでは、フェブキソスタットの方がAUCが上昇しやすい為、少量から開始し、徐々に増量する等の措置が必要です。

トピロキソスタットに関しては、特に制限はありません。

 

むかたけ
むかたけ

腎機能低下例に対しては、トピロキソスタットが一番安定して使用できる印象です。

 

 

アロプリノールは肝代謝酵素活性低下作用によって、ワルファリンの半減期の延長やシクロホスファミドやシクロスポリン、フェニトインの代謝に影響することが報告されています

一方、フェブキソスタットは直接XOR阻害をするため薬物相互作用は少ないと考えられてはいますが、メルカプトプリンやアザチオプリンとは併用禁忌になっているので注意が必要です

 

 

ちなみに門前のDrは、

 

医師
医師

3剤の中でもフェブリクが1日1回で使いやすい。
腎機能低下時の減量も必要がなく、海外での承認もされていて使用実績もあるし、副作用も少ないから良いね~。

 

とのことで、フェブキソスタットを好んで使用する傾向にあるようです。

 

『エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン2018』では、アロプリノールが腎排泄である点は記載されていますが、フェブキソスタットとアロプリノールの使い分けについては明記されていません。

一方、2020年に改定された米国リウマチ学会によるガイドラインでは治療薬の第一選択はアロプリノールであると記載されています。

 

アロプリノールとフェブキソスタットの血清尿酸値の降下作用を比較した臨床試験はいくつかあります海外の第三相試験ではフェブキソスタットは アロプリノールに対して非劣性または優越性を示したという報告があります。

ただ、試験によってはフェブキソスタット80㎎/日と日本の未承認容量であるため評価には注意が必要です。

むかたけ
むかたけ

血清尿酸値の降下作用は、アロプリノール≦フェブキソスタットですね

 

副作用

副作用に関してはアロプリノールには皮膚障害リスク、フェブキソスタットには心血管リスクが報告されています。

アロプリノールの副作用は代謝産物であるオキシプリノールが原因の一つであるとされています。

 

重大な副作用としては、TENやスティーブンスジョンソン症候群、再生不良性貧血や白血球減少などが記載されています。

 

一方、フェブキソスタットの副作用については消化器症状や肝機能障害、血小板減少は記載されていますが、アロプリノールと比較すると頻度は低めとなっています

 

高尿酸血症の成人患者を対象にフェブキソスタットとアロプリノールの死亡率や副作用への影響を評価した報告があります。

皮膚有害反応についてはフェブキソスタット群では、アロプリノール群に比べて皮膚有害反応が優位に少なかったと報告されています。

むかたけ
むかたけ

副作用の頻度はフェブキソスタットの方が少なめですね。

まとめ:大まかな使い分け

  • ザイロリックはXOR以外の酵素も阻害するが、フェブリク等はXORのみを阻害
  • フェブリク・トピロリックは腎機能低下時の減量不要
  • 腎機能低下例に対してはトピロキソスタットが最も使いやすい
  • ザイロリックはキサンチン骨格との併用に注意
  • フェブリク・トピロリックはメルカプトプリンやアザチオプリンとは併用禁忌
  • 血清尿酸値の降下作用:アロプリノール≦フェブキソスタット
  • ザイロリックは皮膚障害リスク、フェブリクは心血管リスクあり
  • 副作用頻度はフェブリクが少なめ

最後に

大まかな使い分けは以上となります。

医療業務の参考になれば幸いです。

ではでは。

参考文献
今日の治療薬2022
第3版腎機能別薬剤投量POCKETBOOK
各薬剤添付文書
基礎からわかる類似薬の服薬指導(ナツメ社)

タイトルとURLをコピーしました