【血液】貧血の種類やメカニズム

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貧血はクラクラしたり、頭痛やめまい、動悸など様々な症状が現れます。

もしかしたら自分も知らないうちに貧血だったケースもあります。

今回は貧血の種類やメカニズムをお話します。

貧血を知るには赤血球がどのようにして出来上がるかを理解する必要があります。

血液の成り立ちについてはこちらで紹介しています。

赤血球が出来るまで

造血幹細胞から赤芽球系幹細胞・前赤芽球エリスロポエチンビタミンB12葉酸を得て正赤芽球になります。

更にビタミンB6を得て、網状赤血球となり、脱核を経て赤血球となります。


造血薬 – yakugaku labyより

貧血はこの赤血球が出来るまでの道筋で、何処かしらに障害があると貧血になります。

貧血の種類

貧血には幾つかの種類があります。

造血幹細胞が出来るまでに障害があると → 再生不良性貧血・赤芽球性貧血

エリスロポエチンが不足すると → 腎性貧血

葉酸、ビタミンB12が不足すると → 巨赤芽球性貧血

が不足すると → 鉄欠乏性貧血

自己免疫で赤血球系が攻撃されると → 溶血性貧血

再生不良性貧血・赤芽球性貧血

大元の造血幹細胞が何らかの要因で少なくなっているので、赤血球だけではなく、血小板、白血球も少なくなる貧血です。

治療は免疫抑制剤輸血、骨髄移植などが行われます。

腎性貧血

赤血球を作るためのエリスロポエチンが不足、もしくは効きが悪いときに起きる貧血です。

腎不全などで腎機能障害があると、エリスロポエチンの産生が追い付かなくなってしまい発症します。

骨盤系幹細胞などは正常ですが、赤芽球系以降は少なくなってしまいます。

治療にはエリスロポエチン製剤を主に使用します。

巨赤芽球性貧血

赤血球になるための途中段階で、ビタミンB12葉酸が必要になる段階があります。

その段階でビタミンB12や葉酸が足りていないと赤血球になることが出来ずに貧血になります。

赤血球の総数が少なく、前駆細胞が多くなってしまいます。

治療にはビタミンB12製剤や葉酸製剤を使用します。

ビタミンB12や葉酸はDNAをつくる材料になります。
ビタミンB12の活性には葉酸が必要になります。
しっかりと身体に吸収される為には、胃の壁細胞から分泌される内因子の存在が必要不可欠です。
食事、吸収障害、胃全摘後、内因子や壁細胞に対する抗体の出現などが原因で巨赤芽球性貧血をおこしますが、特に胃からの内因子分泌欠如による場合を悪性貧血といわれています。

鉄欠乏性貧血

貧血の中では最も多い貧血です。

文字通り鉄分が不足することで発症します。

身体の中の鉄分を使いきるまでには数ヶ月かかります。

その為、鉄欠乏性貧血はゆっくりと進行するのです。

 

治療には鉄剤を使用します。

赤血球に鉄が必要なメカニズムはこちらをご覧ください。

鉄が必要となるまでの正赤芽球果の数は正常ですが、赤血球の数は少なく、鉄分も少ないので、赤血球の濃度が薄く小さくなってしまいます。

特徴的な症状

異食症:氷や泥など食品以外のものが食べたくなる。

さじ状爪:爪が薄くなってスプーン状にへこむ。

レストレスレッグス症候群:座っているか横になっているときに脚を動かさずにはいられない衝動が生じることがあります。

鉄欠乏は治るまでに時間がかかる

鉄分を補えば、血中の鉄分は比較的早く回復します。

しかし、貯蔵鉄は溜まるまでに時間がかかります

体内の貯蔵鉄をしっかり補充するためには鉄剤を半年程服用しなければなりません。

溶血性貧血

通常血液の寿命は120日です。

寿命がきた赤血球は免疫細胞に回収され、脾臓で処理されます。

脾臓:
左わき腹にある造血・リンパ器官です。
古くなった血球や異物を処理したり、血液を蓄える働きがあります。

しかし、何らかの要因で寿命がくる前に免疫細胞に攻撃されたり、脾臓で処理されてしまい、結果的に赤血球が少なくなることで貧血になります。

 

その為、赤血球自体に異常はなく、総数が少なくなります。

治療は原因により対処が異なります

自己免疫が原因であれば、免疫抑制剤ステロイド

遺伝子の異常(サラセミア)によるものであれば、骨髄移植輸血脾臓摘出などが行われます。

 

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貧血予防には

日常生活で起こり得るのは巨赤芽球性貧血鉄欠乏性貧血です。

原因となるビタミンB12葉酸ビタミンB6をとりましょう。

ビタミンB12

お肉(レバーなどの内臓肉)、卵や牛乳、魚やツナなどに豊富に含まれています。

ビタミンB12は十分な量が主に肝臓に蓄えられています。

その為、全く摂取しなくても、通常は数年は蓄えられている量で賄うことが出来ます

胃で産生されるタンパク質である内因子と結合しないとビタミンB12は吸収されません

内因子がないと、ビタミンB12は腸を通過し、便と一緒に排出されてしまいます

葉酸

葉酸はビタミンB群の1つです。

ビタミンB12とともに、葉酸は正常な赤血球の形成細胞の遺伝物質であるDNAの合成に必要不可欠な物質です

葉酸は胎児の神経系の正常な発達にも必要です。

妊婦さんが葉酸を積極的に接種しなければいけない理由は、お腹の赤ちゃんの発育の為でもあります。

葉酸は生の緑色の葉野菜に多く、アスパラガス、ブロッコリーに多いです。

その他、柑橘類やレバーなどの内臓肉、乾燥酵母、シリアルなどにも豊富に含まれています。

長時間の加熱調理によって、食品中の葉酸の50~95%が破壊されますので注意が必要です

葉酸は身体の中に少量しか蓄えることが出来ません。

その為、不足が続くと数カ月程で葉酸欠乏症になる可能性があります。

ビタミンB6

ビタミンB6は乾燥酵母、レバーなどの内臓肉、全粒粉シリアル、魚、豆類などに豊富に含まれています。

ビタミンB6は多くの食品に含まれているので、欠乏症になることは稀です。

赤血球は壊れると、中の鉄分は骨髄で新しい血球をつくるのに再利用されます。

鉄分はそのまま使えるヘム鉄と、使われる為には変化させる必要がある非ヘム鉄に分けることが出来ます。

ヘム鉄:動物性食品に多く含まれています。
非ヘム鉄:ほとんどの食品と鉄サプリメントに含まれているものです。
平均的な食事に含まれる鉄の85%以上を占めています。

しかし、体に吸収されるのは、摂取した非ヘム鉄の20%以下です。

非ヘム鉄は、動物性タンパク質やビタミンCなどの還元剤と一緒に摂取すると吸収されやすくなります。

鉄分は溜まるまでに時間がかかる

鉄は主に腸の粘膜から剥がれ落ちる細胞と一緒に、毎日少しずつ失われます

この量は通常、食物から吸収される1日当たり1~2mgの鉄によって補われます。

食品中には非ヘム鉄が多いことから、鉄は食事中のおよそ10%しか吸収されません

成人男性では10㎎/日、12~49歳の女性では15㎎/日必要です。

女性は生理などの関係で、男性の1.5倍の鉄分が必要になります。

鉄剤は副作用や相互作用に注意。

ビタミンCは吸収を促進するしますが、無理に摂取しなくても良いです。

制酸薬牛乳と一緒に服用すると効果が弱くなることがあります。

お茶、コーヒー、紅茶などに含まれるカフェインは鉄の吸収を阻害するため、一緒には摂取しないようにした方が良いです。

日常的にカフェインを摂取している方は鉄不足にご注意ください。

 

鉄剤の最も多い副作用は悪心・嘔吐などの消化器症状です。

空腹時に鉄剤を服用すると副作用が出やすくなってしまう為、出来る限り食後に服用するようにしましょう。

便が黒くなるのは鉄の成分で黒くなっているだけですので、体に害はありません。

鉄が不足することで何故貧血になるのか?

鉄がヘモグロビンの材料となっている。

エリスロポエチンの刺激の下、ビタミンB12と葉酸を利用して前赤芽球が作られます。

しかし、これはまだ赤くはありません。

肝臓脾臓といった鉄の貯蔵庫から鉄が運ばれてきます。

この鉄の運搬に使われる物質をトランスフェリンと言います。

赤芽球から赤血球が出来るまで

ポルフィリン環と呼ばれるを入れるための輪っか状の物質があります。

鉄はポルフィリン環の輪っかの中に入ります。

すると、ポルフィリン環は赤くなり、ヘムと呼ばれる物になります。


【貧血】ヘモグロビン(Hgb)も回復はミトコンドリア機能次第 – ビタミンアカデミー (vitaminj.tokyo)より

ヘムはグロビンと呼ばれるたんぱく質(ペプチド)に結合する性質があります。

ヘム鉄が4つグロビンに付くとヘモグロビンになります。

ここでようやく馴染みのある名前が出てきましたね。

ヘム鉄一個に付き、酸素を1つ受け取れます。

つまり、ヘモグロビン1個で最大4個の酸素を受け取ることが出来ます。


タンパク質と化学的性質 | 株式会社ユーザーライフサイエンス (userlife.science)より

このヘモグロビンを前赤芽球に入れると赤芽球が出来上がります。

そしてこの赤芽球から核を取り除いた物が赤血球というわけです。

鉄 + ポルフィリン環 → ヘム
ヘム4つ + グロビン → ヘモグロビン
ヘモグロビン + 前赤芽球 → 赤芽球
赤芽球 - 核 → 赤血球

 

しかし、鉄が足りないとそもそもヘム鉄は作れなくなります。

鉄が不足してしまうと、赤みが薄くなり、細胞も小さくなってしまうのです。

酸素を受け取れるメカニズムは鉄イオンが酸素を引き付けるものです。

その為、鉄がなければ酸素を受け取ることが出来ずに貧血になってしまいます。

鉄欠乏の指標

鉄欠乏の程度を知るにはフェリチントランスフェリン飽和度という2つの測定値が有用です。

フェリチンは鉄を蓄えるタンパク質です。
フェリチン濃度が低いと鉄分が足りていないということになります。

トランスフェリンは鉄を運ぶ物質でしたね。


腎性貧血(1)原因と検査 | MediPress透析より

 

フェリチンが十分改善したのに貧血がなかなか良くならないこともあります。

トランスフェリンが運搬出来る鉄の量が少ないとと貯蔵鉄がうまく使えていないということになります。

血清鉄/トランスフェリン×100%=20%以下ならうまく使えていないと判断して良いでしょう。

ビタミンCを補給すると改善することがありますね。

赤血球の大きさや濃さの指標

鉄欠乏性貧血は赤血球の大きさ濃さを計算すると発見しやすいです。

MCV平均赤血球容器:ヘマトクリット/赤血球×1000
赤血球1個辺りの大きさです。
ヘマトクリット:
血液容積における赤血球容積の割合のことです。
ヘマトクリット値が高い → 赤血球が大きいということです。
MCH平均赤血球色素量:ヘモグロビン/赤血球×1000
赤血球のヘモグロビン濃度です。
MCHC平均赤血球色素濃度:ヘモグロビン/ヘマトクリット×100
赤血球の容積に対する色素量です。

血液検査の項目に良くありますね。

http://ketsueki.doremi3.com/2005/12/post_98.htmlより

正球性正色素性貧血

MCV、MCHが正常範囲の状態にある貧血です。

急性失血・溶血性貧血・再生不良性貧血・腎性貧血などがこれにあたります。

小球性正色素性貧血

MCVが低値、MCHが正常範囲にある貧血です。

鉄芽球性貧血・サラセミアなどのヘモグロビン合成異常・無トランスフェリン血症などの代謝異常などがこれにあたります。

鉄芽球性貧血
鉄量は十分であることが鉄欠乏性貧血との違いです。
鉄分が十分あるにもかかわらず、ヘム合成のための骨髄での鉄の利用が不十分であることを特徴とする貧血です。

小球性低色素性貧血

MCV、MCHが低値状態にある貧血です。

鉄欠乏性貧血(緩やかな出血が持続した場合も含む)・慢性炎症に伴う貧血

大球性高色素性貧血

MCV、MCHが高値の状態にある貧血です。

ビタミンB12欠乏症・葉酸欠乏症・核酸代謝障害などの貧血がこれにあたります。

腎性貧血の指標:網状赤血球

網状赤血球は腎性貧血の指標と1つとなります。

網状赤血球:
赤芽球が脱核した直後、核が抜けたすぐ後は網状・塊状に見えるためこの名前がついています。
その後すぐに赤血球へと変わります。

消化管出血などの場合、便潜血が陽性となり、網状赤血球が増加します

溶血性貧血でも増加しますが、腎性貧血では網状赤血球は少なくなります

腎性貧血とそれ以外を見分けるのに網状赤血球は使えるのです。

貧血で網状赤血球が増えるのは、少なくなった血球を補おうとする代償機構と言われています。
造血作用亢進にエリスロポエチンが必要となるので、腎性貧血では造血作用が進まなくなる結果、網状赤血球が少なくなると考えられています。

最後に

いかがでしたでしょうか?

食事摂取が原因で貧血になることもあれば、体質から貧血になることもあり原因は様々です。

もし貧血気味であれば、一度医療機関に診てもらいましょう。

ではでは。

参考文献
MSDマニュアル家庭版-ビタミン-
http://ketsueki.doremi3.com/2005/12/post_98.html

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