お薬の飲み合わせで有名なのは、グレープフルーツとお薬です。
血圧の薬を使っている人は1度は耳にした事があるのではないでしょうか?
今回は何故グループフルーツと薬の飲み合わせが良くないか解説します。
飲み合わせのメカニズム
お薬は肝臓で代謝されるのですが、代謝する際には代謝酵素が必要となります。
この代謝酵素はチトクロームP-450(CYPs)と呼ばれていて、非常にたくさんの種類が存在します。
お薬によって代謝される酵素のタイプは決まっています。
代謝酵素のタイプがCYP3A4であったり、CYP2C9であったり様々です。
3A4や2C9は代謝酵素のタイプ(種類)の名称です。
一番メジャーな代謝酵素はCYP3A4です。
肝臓にあるCYPsの30%は、このCYP3A4になります。
代謝酵素は、肝臓だけではなく小腸にもあります。
小腸にあるCYPsのうち、70%がCYP3A4であるとされています。
グレープフルーツはCYP3A4を阻害する。
グレープフルーツの中のフラノクマリン類と呼ばれる物質があるのですが、こちらが代謝酵素を阻害する原因物質です。
グレープフルーツのフラノクマリン類が、CYP3A4にくっついてしまいます。
すると、本来お薬とくっつく筈だった代謝酵素(CYP3A4)が少なくなってしまいます。
しかも、1度くっついたらなかなか離れません。
離れるまで3日~4日はかかります。
その為、グレープフルーツを口にしてからの3日~4日以上は、正常な薬の代謝ではなくなります。
小腸のCYP3A4がグレープフルーツのフラノクマリン類のせいで、薬の代謝が出来ないため、薬の血中濃度が通常よりも増えてしまいます。
話題の食品成分の科学情報ーグレープフルーツと薬物の相互作用について (Ver.090129)より
当然、本来の作用よりも強めに出てしまうため、主作用が副作用に転じる可能性もあるため、危険が伴います。
ちなみに、CYP3A4がフラノクマリンによって阻害され、75%まで回復するまでに3日、90%だと4日かかると言われています。
その為、1度グレープフルーツを口にすると、長時間代謝酵素が阻害されることになります。
『薬と一緒の摂取じゃないから大丈夫!』
ということにはならないのです。
もともと血圧の薬とお酒の相互作用に関する臨床実験をしていて、被験者にお酒の味を隠す為にグレープフルーツを使用して相互作用が見つかったとされています。
これがグレープフルーツと薬の相互作用のメカニズムとなります。
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白色種の方が多くのフラノクマリンを含有している
昔は苦味成分のフラボノイド類が原因とされていました。
しかし、現在はフラノクマリン類が最も原因として有力です。
フラボノイド含有、フラノクマリンを除いた物で実験したところ、代謝酵素阻害作用がなかったのです。
一般にピンクやルビー種(赤色)のグループフルーツより、白色種の方がフラノクマリンを多く含んでいる傾向にあり、特に注意が必要とされています。
そして、フラノクマリンの含有量は
果皮>果肉>種
の順となっています。
しかし、グレープフルーツの相互作用は個人差が大きいのです。
おそらく、小腸の代謝酵素の数に個人差があることや、グループフルーツ自体のフラノクマリンの量にも関係していると考えられています。
コップ1杯(250cc)のグレープフルーツジュースはグループフルーツ1個に相当します。
その為、コップ一杯を基準として考えられてきましたが、相互作用があるお薬の服用中は、少量でも口にしない方が無難でしょう。
ちなみに、昔はフラノクマリンは果皮に多く含まれているので、果肉の相互作用は問題ないとされていましたが、現在では果肉でも避けた方が良いといわれています。
グレープフルーツとカルシウム拮抗薬
血圧のお薬での、グループフルーツとの相互作用は特にカルシウム拮抗薬で確認がされています。
その為、カルシウム拮抗薬を服用している間はグレープフルーツを口にすることは控えた方が無難と言えます。
グループフルーツとの相互作用が確認されているカルシウム拮抗薬
グレープフルーツの薬剤に与える影響 (nkdesk.com)より
このように相互作用が大きいものだと約5倍、血中濃度に差が出ることが知られています。
では、相互作用があまりない薬に変えれば全く問題ないのか?と言われればそういうわけではありません。
消化管のCYP3A4の個人差は10倍近くも違う例があります。
CYPsについては個人差が大きいものなので、一概には言えないということです。
先ほどの約5倍のお薬をグレープフルーツジュースと一緒に服用しても血中濃度に何ら影響がなかった例もあります。
こうした事例もありますので、
グレープフルーツジュースを2倍飲んでしまったので、影響も必ず2倍になってしまう・・・。
ということにはならず、一概には言えないということです。
相互作用については非常に難しい問題ですので、やはり心配であれば口にしない方が無難と言えるでしょう。
飲み合わせが問題ない柑橘類。
お薬と柑橘類 | ★星に願いをBYオヤジぶー★ (ameblo.jp)より
基準はフラノクマリンを含むか含まないかでOKです。
柑橘類以外では、パセリ、セロリ、ミツバ、イチジク、一部の生薬などでも確認されている為、注意が必要です。
レモンや温州ミカンなどは問題ありません。
可能であればグレープフルーツではなく、相互作用の心配がない柑橘類で代用しましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか?
グレープフルーツを食べることが生活には必須!
ということであれば、医師や薬剤師に確認して別のタイプのお薬の変更も検討してもらいましょう。
単なる嗜好品ということで、控えても問題ないようであれば、口にしない方が無難です。
ではでは。
参考文献
管理薬剤師.comーグレープフルーツの薬剤に与える影響ー
話題の食品成分の科学情報ーグレープフルーツと薬物の相互作用について (Ver.090129)
ドクターサロン57巻7月号ーグレープフルーツと薬の飲み合わせー
お薬と柑橘類 | ★星に願いをBYオヤジぶー★ (ameblo.jp)