【薬局業務】抗うつ薬の使い方 初期用量記載がある薬一覧

薬局業務
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お薬の中には初期用量が決まっており、維持用量まで上げる用法用量のお薬があります。

特に、抗うつ薬はそのような使い方が多いです。

 

しかし、徐々に増やすのではなく初期用量を維持用量として使う場合もある為、

薬剤師

『あれ?この薬って初期用量ある薬だっけ?』

と現場で混乱する事もよくあります。

 

そこで、抗うつ薬の初期用量記載があるお薬をまとめました。

医療業務の参考になれば幸いです。

 

 

各薬剤の初期用量記載

初期用量記載 用法用量
三環系 アミトリプチリン
(トリプタノール)
〈うつ病・うつ状態〉通常、成人1日30~75mgを初期用量とし、1日150mgまで漸増し、分割経口投与する。まれに300mgまで増量することもある。なお、年齢、症状により適宜減量する。
〈夜尿症〉1日10~30mgを就寝前に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
〈末梢性神経障害性疼痛〉
通常、成人1日10mgを初期用量とし、その後、年齢、症状により適宜増減するが、1日150mgを超えないこと。
クロミプラミン
(アナフラニール)
〈精神科領域におけるうつ病・うつ状態〉通常、成人には1日50~100mgを1~3回に分割経口投与する。ただし、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は225mgまでとする。
〈遺尿症〉通常、6歳未満の幼児には1日10~25mgを、また6歳以上の小児には1日20~50mgを1~2回に分割経口投与する。ただし、年齢、症状により適宜増減する。
〈ナルコレプシーに伴う情動脱力発作〉通常、成人には1日10~75mgを1~3回に分割経口投与する。
イミプラミン
(トフラニール)
〈トフラニール錠10mg〉
〈精神科領域におけるうつ病・うつ状態〉通常成人1日30~70mgを初期用量とし、1日200mgまで漸増し、分割経口投与する。まれに300mgまで増量することもある。なお、年齢、症状により適宜減量する。
〈遺尿症(昼・夜)〉通常学童は1日量30~50mgを1~2回経口投与する。ただし、症状および年齢に応じ適宜増減する。
〈トフラニール錠25mg〉

〈精神科領域におけるうつ病・うつ状態〉通常成人1日25~75mgを初期用量とし、1日200mgまで漸増し、分割経口投与する。まれに300mgまで増量することもある。なお、年齢、症状により適宜減量する。
〈遺尿症(昼・夜)〉通常幼児は1日量25mgを1回、学童は1日量25~50mgを1~2回経口投与する。ただし、症状および年齢に応じ適宜増減する。
ノルトリプチリン
(ノリトレン)
はじめ1回量として10~25mg相当量を1日3回経口投与する。又はその1日量を2回に分けて経口投与する。その後、症状および副作用を観察しつつ、必要ある場合は漸次増量する。通常最大量は1日量として150mg相当量以内であり、これを2~3回に分けて経口投与する。
トリミプラミン
(スルモンチール)
通常、成人には1日50~100mgを初期用量とし、1日200mgまで漸増し、分割経口投与する。まれに300mgまで増量することもある。なお、年齢、症状により適宜減量する。
アモキサピン
(アモキサン)
1日25~75mgを1~数回に分割経口投与する。効果不十分と判断される場合には1日量150mg、症状が特に重篤な場合には1日300mgまで増量することもある。
四環系 マプロチリン
(ルジオミール)
通常成人には1日30~75mgを2~3回に分割経口投与する。また上記用量は1日1回夕食後あるいは就寝前に投与できる。なお、年齢、症状により適宜増減する。
SARI トラゾドン
(レスリン)
通常、成人には1日75~100mgを初期用量とし、1日200mgまで増量し、1~数回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
SSRI フルボキサミン
(ルボックス)
〈うつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害〉通常、成人には、1日50mgを初期用量とし、1日150mgまで増量し、1日2回に分割して経口投与する。なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。
小児への投与:〈強迫性障害〉通常、8歳以上の小児には、1日1回25mgの就寝前経口投与から開始する。その後1週間以上の間隔をあけて1日50mgを1日2回朝及び就寝前に経口投与する。年齢・症状に応じて1日150mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として25mgずつ行うこと。
パロキセチン
(パキシル)
〈うつ病・うつ状態〉通常、成人には1日1回夕食後、20~40mgを経口投与する。投与は1回10~20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。
〈パニック障害〉通常、成人には1日1回夕食後、30mgを経口投与する。投与は1回10mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日30mgを超えない範囲で適宜増減する。
〈強迫性障害〉通常、成人には1日1回夕食後、40mgを経口投与する。投与は1回20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日50mgを超えない範囲で適宜増減する。
〈社会不安障害〉通常、成人には1日1回夕食後、20mgを経口投与する。投与は1回10mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。
〈外傷後ストレス障害〉通常、成人には1日1回夕食後、20mgを経口投与する。投与は1回10~20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。
パロキセチンCR

通常、成人には1日1回夕食後、初期用量として12.5mgを経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として25mgに増量する。なお、年齢、症状により1日50mgを超えない範囲で適宜増減するが、いずれも1日1回夕食後に投与することとし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として12.5mgずつ行うこと。
セルトラリン
(ジェイゾロフト)
通常、成人には1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により1日100mgを超えない範囲で適宜増減する。
エスシタロプラム
(レクサプロ)
通常、成人には10mgを1日1回夕食後に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行い、1日最高用量は20mgを超えないこととする。
SNRI ミルナシプラン
(トレドミン)
通常、成人には、1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日2〜3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、高齢者には、1日25mgを初期用量とし、1日60mgまで漸増し、1日2〜3回に分けて食後に経口投与する。
デュロキセチン
(サインバルタ)
〈うつ病・うつ状態、糖尿病性神経障害に伴う疼痛〉通常、成人には1日1回朝食後、40mgを経口投与する。投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。なお、効果不十分な場合には、1日60mgまで増量することができる。
〈線維筋痛症に伴う疼痛、慢性腰痛症に伴う疼痛、変形性関節症に伴う疼痛〉通常、成人には1日1回朝食後、60mgを経口投与する。投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。
ベンラファキシン
(イフェクサー)
通常、成人には1日37.5mgを初期用量とし、1週後より1日75mgを1日1回食後に経口投与する。なお、年齢、症状に応じ1日225mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として75mgずつ行うこと。
NaSSA ミルタザピン
(リフレックス)
通常、成人には1日15mgを初期用量とし、15〜30mgを1日1回就寝前に経口投与する。なお、年齢、症状に応じ1日45mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として15mgずつ行うこと。
SRIM ボルチオキセチン
(トリンテリックス)
通常、成人には10mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により1日20mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。

 

抗うつ 初期用量 用法用量 PDF
文字小さくて見にくいですが、あんちょこ用です😄

 

 

アモキサピンやマプロチリン、エスシタロプラムとボルチオキセチンが初期用量の設定がない形ですね。

ほとんどの抗うつ薬は初期用量が設定されている形です。

 

初期用量が設定されてないとはいえ、投与初期の下痢や嘔吐などの副作用やアクチベーション症候群の心配もあります。

ですので、いずれにしても慎重に投与するのが良いのは全ての抗うつ薬の共通ですね👌

 

アクチベーション症候群とは?

アクチベーション症候群とは、抗うつ薬の投与初期に現れるとされる精神行動の症状群のことです。

明確な定義はありませんが、FDA(米食品医薬品局)では以下のような症状を指しています。

・不安
・焦燥
・パニック発作 
・不眠 
・易刺激性 
・敵意 
・攻撃性
・衝動性 
・アカシジア 
・軽躁 
・躁

 

各抗うつ薬の添付文書には 「重要な基本的注意」に下記の内容が記載されています。

投与量の急激な減少ないし中止により、眠気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。』


パキシル錠10mg_添付文書.pdf より

 

アクチベーション症候群という言葉は出てきませんが、これらはアクチベーション症候群や中止後症候群を指しています。

 

中止後症候群とは?

中止後症候群とは、薬物の急激な減量や中止により生じる症状群のことです。

アクチベーション症候群と同じで全ての抗うつ薬で起こり得る副作用です。

多くの場合、ある程度の期間(4週間程度)服用している状態で急に減量や中止をすると、7日ないし10日以内にめまい、頭痛、不安、嘔気・嘔吐、不眠などの症状が現れるとされています。

 

最後に

漸増漸減が必要な薬は抗うつ薬だけではありませんが、抗うつ薬は特にその必要性が高い薬でもあります。

患者の症状に合わせて用法用量を調節出来れば良いですね😄

 

医療業務の参考になれば幸いです。

ではでは。

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