花粉症の季節が本格的に近づいてきました。
既に花粉症薬を服用している方もいることでしょう。
よく、
『花粉症の薬は前もって服用しておく方が良い』
と言われています。
今回は花粉症薬を事前に服用する理由についてお話します。
花粉症でお悩みの方の参考になれば幸いです。
抗ヒスタミン作用
まずは花粉症薬の基本的な作用からです😄
花粉症薬の大半は抗ヒスタミン薬と呼ばれるお薬です。
その名前の通り、ヒスタミンと呼ばれる物質を防ぐことで鼻水などのアレルギー症状を抑えます。
このヒスタミンは、ヒスタミン受容体(H₁受容体)と呼ばれる受容体にくっついて、鼻水などを誘発します。
抗ヒスタミン薬は、主に鼻にあるH₁受容体を抑えることで鼻水を抑える効果を発揮します。
事前の服用が良い理由
花粉症薬の事前服用が有効なメカニズムは解明されてない部分が多いですが、大きく2つの理由が考えられます。
ケミカルメディエーター遊離抑制
抗ヒスタミン薬の多くは、抗ヒスタミン作用の以外に、他のケミカルメディエーターの遊離抑制作用も併せ持っている薬もあります。
ヒスタミンを含むケミカルメディエーターは、主に肥満細胞から遊離されます。
そして、様々なアレルギー症状を引き起こします。
CM遊離抑制を併せ持つ抗ヒスタミン薬は、H₁受容体に作用するだけではなく、肥満細胞にも作用してケミカルメディエーターの遊離を抑えてくれます。
肥満細胞の細胞膜を安定化して簡単にケミカルメディエーターが遊離しないようにしてくれます。
細胞膜が不安定だと、すぐに遊離してしまうのです。
抗ヒスタミンによる作用では、眠気が出やすいとされていますが、ロイコトリエンなどによるケミカルメディエーターでの抗アレルギー作用は、眠気が出にくいことが特徴です。
ただし、欠点もあります。
ケミカルメディエーター(CM)の遊離を抑える作用は、効果のピークまでに約2週間~1か月ほどかかります。
つまり、花粉症薬を飲んでからケミカルメディエーターの遊離抑制効果が十分に発揮されるまでに2週間~1か月はかかってしまいます。
花粉症の症状がつらい!
と、急いで薬を飲んだとしても即効性があるのは主に抗ヒスタミン(H₁受容体抑制)によるものです。
他のケミカルメディエーターによるアレルギー症状は抑えきることが出来ません。
ケミカルメディエーターの遊離抑制作用は遅れて発揮されますので、服用時点では存分に薬の効果を実感できないのです。
なので、
『この薬全然効かない!!』
という方も中にはいます。
ちなみにヒスタミンは鼻水やくしゃみに良く効きますが、鼻づまりの作用点は他のケミカルメディエーターの方が優位となっています。
なので、鼻づまりに対しては特に効果が遅れる傾向にあります。
H₁受容体遺伝子発現抑制
アレルギー性鼻炎などでヒスタミンによりH₁受容体が刺激されると、H₁受容体遺伝子発現が亢進されることが知られています。
それだけではなく、IL-4(インターロイキン-4)などのサイトカインでもH₁受容体遺伝子発現が亢進される実験結果もあります。
つまり、アレルギー症状が出始めてしまったら連鎖的にH₁受容体がどんどん作られてしまい、症状が悪化してしまうということです。
事前に抗ヒスタミン薬を投与することで、ヒスタミンのH₁受容体刺激によるH₁受容体遺伝子発現を抑制し、新たにH₁受容体が作られることを防ぐことで予防効果が期待できます。
ちなみに、抗ヒスタミン薬をアレルギー症状発現の3日前からの投与したところ、直前の投与と抑制効果に差がなかったそうです。
しかし、1週間以上前からの投与開始では、鼻粘膜のH₁受容体遺伝子発現およびIL-4遺伝子発現が共に直前の投与に比べて強く抑制された結果が出ています。ヒスタミンH1受容体遺伝子発現亢進の病理学的意義より
ですので、抗ヒスタミン作用によるH₁受容体遺伝子発現抑制効果を期待するのであれば、少なくても1週間前からの服用が必要ということになります。
2週間~1か月前から事前服用を
事前服用が有効なメカニズムはまだ解明されてない部分がありますが、やはり前もって2週間~1か月前からの服用がおすすめです。
ご自身がどの花粉にアレルギーがあるかを知ってから事前服用するのが花粉対策には良いですね🤔
花粉カレンダー 〜時期・各地方ごとの飛散状況〜|アレグラFX (allegra.jp)より
地域や条件によっても花粉のピークとなる時期は異なりますが、花粉のピークの2週間~1か月までに事前服用を開始しておきたいですね💦
最後に
毎年花粉症でお悩みの方は、事前服用で少しでも花粉症症状を軽減できれば良いですね😄
花粉症でお悩みの方の参考になれば幸いです。
ではでは。