【薬局業務】リリカとタリージェの違い

薬局業務
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先日、看護師さんからこんな質問がありました。

看護師さん

リリカとタリージェって何が違うんですか?

 

今回はリリカとタリージェの違いについてのお話です。

医療業務の参考になれば幸いです。

 

プレガバリンとミロガバリン

リリカとタリージェの成分は大まかには同じタイプです。

リリカ:プレガバリン
タリージェ:ミロガバリン

 

同じタイプの成分なので、効き目も同じような形です。

 

簡単に言うと、同じお米でも品種が違う。みたいな感じですかね😅

 

発売日

そんな似た者同士のリリカとタリージェですが、リリカの方が先輩です。

発売日に関しては、

リリカ:2010年6月
タリージェ:2019年4月

リリカの方が9年程も先に発売されたんですね😃

 

適応

適応に関しては明確な違いがありますね。

リリカ:神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛
タリージェ:神経障害性疼痛

 

線維筋痛症とは、原因不明の疾患です。
身体のあちこちが痛くなり、こわばりや不眠、頭痛など様々な症状が現れます。

 

神経障害性疼痛には中枢性と末梢性がありますが、以前はリリカのみが中枢性と末梢性に適応で、タリージェは末梢性のみの適応でした。

 

その為、リリカとタリージェの違いと言えば、

中枢性の神経障害性疼痛に使えるのはリリカ!

というのが一番の違いでしたが、2022年にタリージェも中枢性の神経障害性疼痛の適応が承認されましたので、適応に関しての違いは線維筋痛症に伴う疼痛のみとなっています。

 

ちなみに、中枢性と末梢性の違いですが、簡単に言うと、脊椎(中枢)由来なら中枢性神経障害性疼痛となります。

中枢性:脊柱管狭窄症の神経痛、脳卒中後の神経痛などなど
末梢性:帯状疱疹後の神経痛、糖尿病の神経障害による神経痛

 

タリージェは後から中枢性の承認されたからと言ってリリカに劣っている訳ではありません。

元々リリカも、発売当初は『帯状疱疹後神経痛』のみで、続いて『末梢性神経障害性疼痛』の適応が承認され、発売から3年後の2013年に中枢性も含めた神経障害性疼痛の適応が承認されました。

ですので、タリージェも発売当初は末梢性のみでしたが、3年後の2022年にはリリカ同様に中枢性も含めた神経障害性疼痛が承認されています。

 

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飲み方

リリカ、タリージェともに1日2回の服用で、初期用量から維持用量まで漸増する飲み方は同じです。

ただ、中止する時の対処は少し違います。

リリカ:『少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること』
タリージェ:『徐々に減量するなど慎重に行うこと』

とされています。

 

リリカに比べてタリージェの方が現場判断に委ねられそうですね😅

 

副作用

添付文書上の情報では、リリカもタリージェも同じぐらい副作用が出ます。

国際共同の臨床試験時の副作用は以下の通りです。

リリカ タリージェ
帯状疱疹後神経疼痛 浮動性めまい(31.1%)、傾眠(28.6%)、便秘(12.1%)、末梢性浮腫(11.7%) 傾眠13.5%(32/237例)、浮動性めまい10.1%(24/237例)及び体重増加7.2%(17/237例)
糖尿病性末梢神経障害痛 浮動性めまい(300mg/日群19.4%及び600mg/日群37.8%)、傾眠(300mg/日群20.9%及び600mg/日群40.0%)、末梢性浮腫(300mg/日群12.7%及び600mg/日群13.3%)、体重増加(300mg/日群11.2%及び600mg/日群11.1%) 傾眠7.9%(17/214例)、浮動性めまい6.1%(13/214例)及び末梢性浮腫4.7%(10/214例)
中枢神経障害疼痛 傾眠(33.0%)、浮動性めまい(19.6%)、末梢性浮腫(13.4%) 傾眠25.8%(39/151例)、浮動性めまい6.6%(10/151例)及び体重増加4.6%(7/151例)

 

臨床試験対象者は疾患別になっており、主な副作用はめまい、傾眠、浮腫、体重増加でした。

全体的には若干タリージェの方が副作用出現率低めかな?といった印象です。

 

しかし、実際の現場としてはタリージェ使って副作用でダメだった人にリリカ使ったら合ってたり、その逆もいるので何とも言えない感じです😅

 

ちなみに体重増加のメカニズムに関しては解明されていないとのことです💦

むくみで体重が増えるのか、食欲亢進作用により体重が増えるのか…原因は不明のようですね😓

 

代謝、排泄

リリカ、タリージェともに腎排泄型です。

その為、両者ともに腎機能低下例には減量の措置が必要となります。

これらの減量に関しては同じ形ですね。

 

しかし、透析になると少し勝手が変わってきます。

リリカの透析除去率は4時間で約50%、対してタリージェは15.3%です。

その為、リリカは透析時には透析後の補充投与が推奨されています。

 

タリージェに関しては透析前後関係なく使用しても問題ありません。

透析患者への使い勝手としては、タリージェの方がコンプライアンスが良いかもしれませんね👌

 

併用注意

タリージェは腎排泄がメインですが、リリカ、タリージェともにアルコールやロラゼパムは併用すると中枢神経抑制が増強されるため併用注意となっています。

 

他の併用注意の違いは、

リリカ:オピオイド系鎮痛剤(呼吸不全↑)、ACE阻害(血管浮腫↑)、チアゾリジン系(末梢性浮腫↑)
タリージェ:プロベネシド、シメチジン(タリージェの作用↑)

 

上記の違いがあります。

タリージェは腎排泄がメインですが、一部グルクロン酸抱合による代謝を受けます。

その為、プロベネシドのように腎トランスポーター及びグルクロン酸抱合に関係する薬剤との併用には注意が必要となります。

このあたりで併用薬による使い分けが出来そうですね😄

 

食事の影響

食事の影響を受けやすいのはリリカです。

食後投与の場合、

リリカ:Cmaxが約35%低下、Tmaxは約2.4時間延長
タリージェ:Cmaxが約18%低下、Tmaxは0.5時間の延長

AUCの低下はリリカ約8%、タリージェは約6%とさほど差はありません。

絶食の場合、リリカは血中濃度の立ち上がりが早くなるので副作用も出やすくなります。

 

その為、空腹時服用でリリカの副作用が出やすい場合は食後に飲んで貰うのが良いですね。

 

授乳婦に対して

リリカ、タリージェともに乳汁への移行が確認されています。

タリージェは実験動物で乳汁移行が確認されているのことのみの記載ですが、リリカはヒトの乳汁移行に関する記載があります。

プレガバリンの乳児への1日あたりの平均暴露量は0.31㎎/kg/日(体重換算すると母体投与量の約7%)

添付文書上ではリリカでは『授乳を避けること』の記載に対して、タリージェでは『授乳の継続または中止を検討すること』と治療上の選択肢が広い形となっています。

 

まとめ

リリカとタリージェの成分は大まかには同じ
リリカ:プレガバリン
タリージェ:ミロガバリン

発売日はリリカ:2010年6月、タリージェ:2019年4月

適応はリリカ:神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛、タリージェ:神経障害性疼痛
どちらも中枢性、末梢性の適応あり。

中止時には、
リリカは『少なくとも1週間以上かけてジョジョに減量すること』
タリージェは『徐々に減量するなど慎重に行うこと』

副作用は全体的に若干タリージェの方が出現率低め。

リリカの透析除去率は4時間で約50%、対してタリージェは15.3%。
その為、リリカは透析時には透析後の補充投与が必要。
タリージェは必要なし

併用注意
リリカ:オピオイド系鎮痛剤(呼吸不全↑)、ACE阻害(血管浮腫↑)、チアゾリジン系(末梢性浮腫↑)
タリージェ:プロベネシド、シメチジン(タリージェの作用↑)

食事の影響を受けやすいのはリリカ(Cmax約35%低下)

授乳婦に対して、リリカでは『授乳を避けること』の記載に対してタリージェでは『授乳の継続または中止を検討すること。』となっている。

最後に

私の印象ではタリージェの方が使い勝手が良い印象ですね😅

ただ、効き方や副作用に個人差があり、タリージェでダメな患者にリリカを使うと良く効いた。そしてその逆もある。

なんてことは良くあります。

リリカはジェネリックが発売されているので、ジェネリックでも良ければ経済的な負担になりにくいのはリリカでしょうしね💦

 

患者背景に合わせた使い分けが良いのでしょうね😄

参考になれば幸いです。

ではでは。

 

参考文献
リリカ添付文書・インタビューフォーム
タリージェ添付文書・インタビューフォーム
腎機能別薬剤投与量pocketbook 第3版

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