先日、薬局でこんなお知らせを見つけました。
『ロスバスタチンとフェブキソスタットの併用で血中濃度増加の可能性あり』
あー…よくある薬物相互作用のお知らせねー…
って感じで目を通してたら驚愕。
『本剤(クレストール)のAUCが約1.9倍、Cmaxが約2.1倍上昇したとの報告がある』
クレストール電子添文改定のお知らせより
簡単に言うと、
『ロスバスタチンとフェブキソスタットを一緒に服用することで、一時的にロスバスタチンの血中濃度が2倍になる可能性がある』
ということらしいです。
え、2倍!?結構上がりますね…
いや、それよりも、
2022年8月…だと…?
もう2ヶ月も前の事じゃあねぇかー!!
激務で情報確認遅すぎた…(´;ω;`)ウゥゥ
てか、ロスバとフェブキソの併用って凄くメジャーな組み合わせですよね~。
ロスバスタチンの半減期が長いので、飲むタイミングずらすとかやってもダメそうですね。
半減期:
ロスバスタチン:15~19時間
フェブキソスタット:6~7時間
クレストール添付文書.pdfとフェブリク添付文書 .pdfより
なんでそうなるのかチェックすると、
『フェブキソスタットがBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある』
らしいです(-ω-)/
つまり、BCRPが阻害されるということは身体の外へ排出される割合が少なくなる=血中濃度が上がることを意味します。
今回のケースでは、
フェブキソスタットがBCRPを阻害
→BCRPを介して排泄されるロスバスタチンの量が減る
→ロスバスタチンの血中濃度が上がる
このような機序になっています。
ちなみにBCRPは抗がん剤に耐性を得たヒト乳癌細胞から発見されたので、このような名前になっているそうです。
スタチン系薬の中ではロスバスタチンが最も体内吸収率が低いとされています。
成分名 | 体内吸収率(%) |
ロスバスタチンカルシウム | 50 |
アトルバスタチンカルシウム水和物 | 59 |
プラバスタチンナトリウム | 70 |
シンバスタチン | 85 |
フルバスタチンナトリウム | 93 |
なので、吸収率が低いロスバスタチンが最も影響を受けやすいのでしょうね。
もともとロスバスタチンは多くのBCRP阻害薬との相互作用が示されていましたからね(;^ω^)
今まではHIV治療薬や抗がん剤など、限られた場面での併用注意でした。
しかし、フェブキソスタットは尿酸降下薬として調剤薬局では超メジャーなお薬です。
そして脂質異常症治療薬のロスバスタチンの使用例も非常に多いのです。
てかこの2剤ですが、うちの薬局での使用数が半端なく多いんですよね
現在ロスバとフェブキソを併用して落ち着いてる人はまず問題ないでしょう。
ただ、どちらかが新規で追加変更された時には注意が必要になりそうです。
患者さんに薬渡すときにはしっかりと服薬指導しないとですね。
ロスバの血中濃度が上がることで注意しないといけないのは『横紋筋融解症』や『ミオパチー』のリスクが上がることですね~(-_-;)
横紋筋融解症の筋肉痛、脱力感、尿褐色の三大症状には十分注意するように伝えないといけないですね。
ロスバスタチンとフェブキソスタットを飲んでる方、もしくはよく使用している医療従事者さんはお互いに気をつけるようにしましょうね~(‘ω’)ノ
ではでは。