疥癬、白癬、乾癬…薬局ではよく使われる単語ですが、その違いがわからない人は意外と多いです。
薬剤師に成り立ての私の後輩も、
疥癬、白癬、乾癬とか違いがよくわからん
とか言ってました。
というか、私も薬剤師に成り立ての時は全然わかってなかったです。
今回は疥癬、白癬、乾癬の違いのお話です。
疥癬、白癬、乾癬で混乱している方の参考になれば幸いです。
そもそも原因が違う
疥癬、白癬、乾癬は名前は似ていますが、疾患の原因が異なります。
疥癬(かいせん):ダニ
白癬(はくせん):水虫
乾癬(かんせん):自己免疫疾患
疥癬と白癬は伝染性の感染症ですが、乾癬は全身炎症性の自己免疫疾患です。
その為、乾癬の患者さんから他の人に伝染はしません。
ここが最も大きな違いとなっています。
疥癬と白癬 → 伝染する
乾癬 → 伝染しない
かゆみは?
疥癬は激しいかゆみを伴うのが特徴です。
白癬もかゆみが伴うことが多いです。
乾癬に関してはかゆみの有無は病変で左右されるイメージです。
かゆみに関しては疥癬が一番辛いイメージですね…
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治療薬
原因さえわかってしまえば、治療薬の選択肢もわかってきます。
疥癬:ダニ
白癬:水虫
乾癬:自己免疫疾患
このような原因ですので、それに沿った薬を選択します。
疥癬にはイベルメクチン
疥癬治療には現状イベルメクチン(ストロメクトール)が最も有効です。
てかこれしか選択肢がありません( ̄▽ ̄;)
ステロイドはNG
塗り薬に関しては、抗炎症が強いステロイドを使いたくなりますが、
疥癬患者にステロイド塗布はNGです。
ステロイドの免疫抑制作用で疥癬が悪化する恐れがあります。
ステロイド以外の抗アレルギー薬(レスタミンとか)を根気よく塗り続けましょう。
治療期間は3週間程度が多いです。
疥癬の伝染力
疥癬の伝染力は凄まじいです。
担当の老人ホームの1人に疥癬になりましたが、その後同フロアのほぼ全員が疥癬になった経験もあります。
疥癬患者には接触は控え、使用済みのタオル等も他の人が触れないように注意しましょう。
白癬には水虫治療薬
白癬の原因は水虫ですので、抗真菌薬の出番です。
飲み薬、塗り薬ともにテルビナフィン(ラミシール)が良く使われます。
水虫に関しては、疥癬よりも治療期間は長いです。
3~6ヵ月は治療期間が必要になります。
白癬の伝染力
白癬も疥癬同様に伝染しますが、疥癬よりも限定的です。
水虫の症状が現れている部位(足とか)に接した衣類等を共有しなければ、多くは問題ありません。
バスマットやタオルですね。
もし、共有していたとしても、水虫が伝染するまでには12~24時間かかりますので、すぐに洗えば問題なしです。
乾癬にはステロイドとか色々使う
乾癬の原因は残念ながらよくわかっていません。
全身炎症性の自己免疫疾患なので、治療はステロイド、ビタミン製剤、免疫抑制剤などを使用します。
塗り薬ではステロイドを使用しますが、部位ごとにステロイドのクラスを分けて使用することが多いです。
ビタミン製剤に関しては、塗り薬ではビタミンD₃製剤を使用することが多いです。
使用時に塗った箇所のヒリヒリ感がありますが、ステロイドのような副作用がないことが特徴です。
目や口などの粘膜には使用しないようにしましょう。
ステロイドとビタミンDを併用することで、ヘルパーT細胞の分化や活性化する作用が単独よりも良かった報告もあります。
その為、ステロイドとビタミンDの配合剤(ドボベットとか)も使用されることが多いです。
ビタミンDのヒリヒリ感も軽減しますしね
免疫について復習したい方はこちらをご覧ください。
まとめ
それぞれ原因が違う
疥癬:ダニ
白癬:水虫
乾癬:自己免疫疾患
その為、治療薬も違う
疥癬:イベルメクチン、ステロイドNG
白癬:水虫治療薬(ラミシールなど)
乾癬:ステロイドやビタミン剤、免疫抑制剤など
最後に
名前が似てても病態は全く違うので、治療方法も異なりますね。
疥癬、白癬、乾癬で混乱している方の参考になれば幸いです。
ではでは。