【ステロイド】ステロイド外用薬の使い方と注意事項

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皆さんはステロイドって使ったことはありますか?

外用薬であればもしかしたら使ったことがあるかもしれません。

 

外用薬ステロイドはアトピー性皮膚炎外傷など、幅広く使われています

今回はステロイド外用薬の使い方と注意事項についてまとめてみました。

 

ステロイドの作用

消炎作用の幅は広く、単なる肌荒れによる炎症からアトピーまで、幅広くステロイドは使用されています。

ステロイド外用薬の作用は炎症を強く抑える事ですが、何故そのような効果があるのでしょう?

 

それには炎症が起きるメカニズムを理解しておく必要があります。

 

人の身体は細胞が何万、何億、何兆個と集まって出来ています

その1つ1つの細胞の膜には脂肪酸と呼ばれるものが多量に含まれる形で構成されています。

 

外傷やアトピーなどで細胞が傷ついてしまうと、細胞膜の脂肪酸を材料にして、数々の炎症物質を作り出します。

ステロイドはここの脂肪酸に作用して、炎症性物質が出来るのを抑えると同時に、各細胞の遺伝子に作用して、炎症性物質が作られるのを抑えてくれます。

おおまかですが、これがステロイドの作用です。

 

炎症はなんでおきるのか?
炎症は外部から自分を守るための身体の防衛機能の1つです。
身体の防衛には各種免疫機能が働きますが、それには一定の基準で反応するセンサーがなければ発動してくれません。
それが炎症というセンサーになります。

ステロイド外用剤の使い分け

ステロイド外用剤には炎症を抑える強さ毎にクラス分けされています。

ステロイドのクラス分類

  • strongest    最も強い
  • very strong  より強い
  • strong     強い
  • medium(mild) 中等度
  • weak      弱い

症状によって外用剤を使い分ける事もあるのですが、最も考慮すべきは

 

どの部位に使用するか

 

ということです。

 

身体は各部位により、外用薬の吸収率が異なります

 

の肌の強さを比べてみていただければ分かるかと思いますが、多くの方は顔のお肌が弱い方が多いと思います。

 

当然、お肌が弱い顔の方がステロイドの吸収量は多くなります

 

その為、吸収率の高い部位に強い薬を使うと、副作用のリスクも上がってしまうのです。

 

ステロイド外用剤の副作用

外用剤に関しては、アレルギー等を除けば一定の期間以上の連続使用をしなければ、副作用の心配はあまりありません。

 

その理由は、仮にstrongestの外用剤を大量に使用したとしても、内服ステロイド剤に換算すれば微々たる量にしかならないからです。

 

むかたけ
むかたけ

しかし、strongestで40g/日以上の連日使用で副作用の可能性がありますので、使いすぎにはご注意下さい。

 

ですので、内服ステロイドでみられる骨粗鬆症血糖値の上昇などの全身作用は滅多にありません。

副作用が起きたとしても、ステロイドをやめれば自然と副作用で起きた症状は消失していきます。

 

しかし、アトピー性皮膚炎など、長期で付き合っていかないといけない症状の場合は副作用とも付き合っていかなければいけません。

全身性の副作用は少ないですが、局所性の副作用は連用により生じる恐れがあります。

 

局所性の副作用

  • 皮膚萎縮や潮紅
    皮膚代謝機能抑制により皮膚が薄くなります。
    その他、毛細血管の拡張作用により赤みが増すように見えます。
  • 多毛
    小児に多く、男性ホルモン作用によるものです
  • 色素脱失
    メカニズムは不明。
巷では、ステロイドを塗った後に日光を浴びると、色素沈着を起こすと言われています。
実はこれはステロイドによるものではなく、皮膚炎後の色素沈着である可能性が高いです。
副腎皮質ステロイドには色素沈着の作用はありません
  • 毛包炎
    最も頻度が多いです。
    炎症を強く抑える作用を持つステロイドですが、免疫抑制の効果も持っています。
    その為、毛穴内の細菌感染に弱くなり炎症を起こしてしまいます。

 

他にもステロイド白内障ステロイド緑内障などもあります。

 

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安全に使える目安

安全使える期間の目安は以下の通りです。

 

  • 2週間以内 :顔面、頚、陰部もしくはstrongestの使用
  • 3週間以内 :verystrong
  • 4週間以内 :strong以下

 

アトピー性皮膚炎の場合などの基本は、お肌のバリア機能を保つ為に保湿剤を全身に使う場合が多いです。

ステロイドの使用は痒みや炎症が酷い部位にのみ使用するように医師、薬剤師から説明を受けているかと思います。

 

どれくらいの量を目安に塗るのか:1FTU

1FTU(1フィンガーチップユニット)と呼ばれる単位・概念があります。

 

これは、5gチューブ人差し指の第1関節までの軟膏、クリームであれば、成人の手の平2枚分の面積を塗布するという目安です。

ローションであれば、1円玉程の大きさが1FTUに相当します。

 

 

1FTUの概念を使えば、各部位におけるおおよその必要な塗布量が分かります

 

むかたけ
むかたけ

顔と頚は小児なら1FTU、成人であれば、2.5FTUが適量となります。

ちなみに、外用ステロイドは結晶化という状態で常に飽和しており、約10~20倍以上薄めても効き目はあまり変わりありません。
よく保湿剤と混ぜて処方されることが多いですが、これは効果を薄める為ではなく、保湿効果も併せて効率良く広範囲に塗布出来るようにするためです。

 

その為、ステロイド作用は薄まらずに残っていますので、塗りすぎにはご注意下さい。

 

よくある質問集

小さな子供が誤って軟膏やクリームを舐めてしまった。

この質問は多いですが、もし誤飲したとしても、消化管からほとんど吸収されませんし、吸収されたとしてもほんの微量です。

 

基本的には、多少舐めたり口に入れたりするぐらいでは問題ありません。

しかも不味いと思いますので、すぐに吐き出すと思います(;^ω^)

 

妊娠中ですが、使用しても良いか?

妊婦さんの使用も基本的には問題はありません。

しかし、大量の連用(日に300g)により、低出生体重のリスクの報告もありますので、使いすぎには注意が必要です。

 

手を洗った後は、再度塗りなおしても良いか?

基本的には問題ありません。

手の吸収率は他部位と比べても低めですので、問題ありません。

 

しかし、医師から使用回数を別途支持を受けている場合小児においては注意してください。

小児はステロイドを塗った手で各部位を触る可能性が高いため、心配であれば次回まで使用しないミトンを着用させてください。

 

最後に

ステロイド外用剤は内服と比べれば、遥かに身近な存在です。

今現在は使用したことがない人でも、近い将来使用するかもしれませんね。

 

使用することがないのが一番ですが、使用する際には本記事を思い出していただけましたら幸いです。

ではでは。

参考文献
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン (日本皮膚科学会 2018)
副腎皮質ステロイド剤(外用薬)のランク分類と副作用・使用方法
ステロイド薬の基礎 東北大学大学院薬学研究科 平澤 典保

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