とある日に近隣のクリニックさんから電話がありました。
『ランソプラゾールとかの胃薬って、胃潰瘍とかの既往がないと使えないケースもあるんでしたっけ?』
今回はPPIやP-CABの適応の注意点のお話です。
薬局業務の参考になれば幸いです。
低用量アスピリンやNSAIDsとの併用
PPIやP-CABは共に胃酸分泌が過多になるのを抑えるお薬です。
大まかな使い分けはこちらをご覧ください(‘ω’)ノ
適応は胃潰瘍や逆流性食道炎、ピロリ除菌などがあります。
その中でも注意すべき点は、低用量アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)と併用する場合です。
タケプロン添付文書より
低用量アスピリンは循環器系領域で使用されるお薬で、血液をサラサラにすることで血栓症を抑える効果があります。
非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)は、市販薬としても販売されているメジャーな熱さまし、痛み止めです。
これらのお薬は、胃粘液の分泌を少なくしてしまい胃潰瘍や十二指腸潰瘍を誘発してしまう副作用の心配があります。
その為、低用量アスピリンやNSAIDsを使用する際には胃潰瘍や十二指腸潰瘍に注意する必要があります。
その関係で、胃の保護目的で低用量アスピリンやNSAIDsの使用時にPPIやP-CABを併用するDr.が多いです。
【般】ランソプラゾール腸溶性口腔内崩壊錠15㎎ 1錠
1日1回 朝食後 30日分
こんな感じで処方されるケースが多いですね(‘Д’)
ちなみにガスターなどのH₂Bに関しては、低用量アスピリンやNSAIDsとの併用の適応はありませんので、ご注意ください(‘ω’)ノ
潰瘍歴がないと使えない
低用量アスピリンやNSAIDsを使用する際には、無条件でPPIやP-CABを使えるわけではありません。
併用するときには、
『胃潰瘍又は十二指腸の既往歴があること』
が条件となります。
添付文書上にも注意するように記載がありますね(*´Д`)
これは、潰瘍歴がある人ほど胃潰瘍や十二指腸潰瘍になるリスクが高いことに起因しています。
既往がない人は潰瘍リスクはさほど高くないから低用量アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)の副作用防止の適応にはならないということですね(^^;
ちなみに、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の3年再発率は、ピロリ除菌が成功した場合は10%未満と低めですが、ピロリ除菌してなかったり除菌失敗した場合は50%を超える人たちが再発するとされています。
再発率50%以上ってすさまじい確率です((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
ピロリ除菌で大きく左右される部分はありますが、潰瘍既往のある人は低用量アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)を使用すると高確率で潰瘍が起きると考えた方が良いので、このような適応になっています。
ですので、患者の既往歴に胃潰瘍や十二指腸潰瘍の有無を確認するのは必須となります。
処方元に確認するケースも
正直、薬局側は病院がどのような疾患名でレセプトを送っているわかりませんので、処方元に電話もしにくい部分もあります。
ただ、低用量アスピリンやNSAIDsとPPIやP-CABが処方されている患者が、
『潰瘍になったことなんてないよ』
と話して、念のため処方元に確認しても良いかもしれません。
過去に私も処方元に確認して感謝された経験があります(*’ω’*)
まぁ、ときには病院側のレセプト上で『既往歴あり』にするか『疾患名』そのものを変えることで対処しているようですが…(;^ω^)
最後に
PPIやP-CABは治療や予防的な意味合いでも処方されることが多いお薬です。
低用量アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)との併用時には、潰瘍の既往の確認をしてみてはいかがでしょうか。
薬局業務の参考になれば幸いです。
ではでは。