抗生剤を使用したことがある人は多いと思います。
風邪気味で病院に受診すると、多くのケースで抗生剤が処方されます。
実は、この抗生剤の安易な使用が問題になっています。
それは、将来的に薬剤耐性菌が溢れて既存の抗生剤が効かなくなるおそれがあるということです。
薬剤耐性菌ってなんぞや?
ということですが、その名の通り今まで効果があった抗生剤が効かなくなってしまった菌を指します。
細菌も生き物ですので、進化はします。
自身の生命が脅かされる環境下においては、それを克服、回避しようとして変異・進化するものが現れます。
薬剤耐性菌が発現する要因で最も多いのは、不要な抗生剤の使用によるものです。
よくあるケースが風邪薬として抗生剤を処方することです。
風邪の原因はほぼウイルスによるものです。
多くの抗生剤は細菌には効果を発揮しますが、ウイルスには無効なことが大半です。
しかし、それがわかっていても処方医としてはウイルス以外の要因や2次感染のリスクを捨てきれません。
その為、保険の意味合いとして抗生剤を出すケースが多いです。
このように抗生剤を処方し続けていると耐性菌の発生リスクを高めてしまいます。
耐性菌?なにそれ?
別に増えても問題なくね?
と思う方もいるでしょう。
しかし、このまま何も対策しないまま耐性菌が増え続けると、2050年には耐性菌による死者数が年1000万人を超えると言われています。
年1000万人という数字は脅威的で、がんによる死者数の820万人を超えることとなります。
ちなみに2022年11月時点での全世界の新型コロナウイルスの累計死者数が約600万人です。
一年でこの水準を超えてくるのは恐ろし過ぎます。
ということで、2016年に厚生労働省から薬剤耐性対策アクションプランが発表されることとなりました。
薬剤耐性(AMR)対策について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
平たく言えば、全体の抗菌薬の使用を抑えましょうと言った内容です。
使用割合が多いセファロスホリン系やフルオロキノロン系、マクロライド系は特に削減目標としてあげられています。
2050年であれば新たな抗生剤なども開発されるのでしょうが、根本的な対策にはならないのできっといたちごっこになるのでしょうね。
私も薬局で働いていて風邪で抗生剤をよく処方する病院を知っています。
最近は患者さんもよく勉強されているので、
『風邪に抗生剤って効かないって聞いたことがあるけど、この抗生剤は飲んだ方が良いの?』
と的確に質問してくれる方もいます。
『2次感染防止としての意味合いが強いですね~』
などと躱していますが…(^^;
勿論、手術や処置などには抗生剤は必須となります。
風邪で抗生剤が処方されてる件を疑義照会しようものなら100%こっぴどく怒られるので、現状薬剤師は見て見ぬふりです(*・ω・)
耐性菌に関しては処方医である医師の考え方によって大きく左右されるんだろうな~と思います。
まぁなかには抗生剤のメーカーから言い寄られて処方してるケースもあるみたいですのでね…( 一一)
今のうちから適正使用して耐性菌が極力増えない未来になって欲しいです
何かの参考になれば幸いです
ではでは。