皆さんはお茶やコーヒーを飲んで眠れなくなったことはないですか?
お茶やコーヒーは世界中で嗜好品として楽しまれています。
私もコーヒーは大好きです。
カフェインで眠気が軽減する理由や適切な摂取量についてお話しています。
お茶やコーヒーが好きな方は是非ご一読ください。
カフェインで眠気がとれる理由
カフェインの作用メカニズム
専門用語が出てくるので、今回もざっくり説明します。
カフェインの具体的な作用はエネルギーの話とも関わりがあります。
エネルギーというものはATP(アデノシン3リン酸)と呼ばれる物質がアデノシンに変わるときに生まれます。
このアデノシンという物質が眠気に大きく関係しています。
アデノシンはエネルギーの燃えかすのような物で、疲労物質とも呼ばれています。
アデノシンが溜まってくると、身体は疲労感や眠気を感じます。
カフェインはこの経路に作用して、疲労物質の働きを抑えてくれるのです。
ちなみに、カフェインには耐性があります。
メカニズムは明確にはなっていませんが、アデノシンへの効き目が鈍くなることで生じるメカニズムが有力とされています。
依存性
カフェインには少なからず依存性があります。
それは神経系でドパミン経路に間接的に作用するからです。
カフェインはアデノシンの経路に作用して、間接的にドパミンに作用します。
その為、依存性はかなりマイルドです。
そのマイルドさゆえに、カフェインが長年に渡って日常生活の中で嗜好品として利用されてきた理由のひとつでもあります。
カフェインの安全量
どれぐらいのカフェイン量であれば問題ないと言われているのか?
「日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-」では、1回200㎎以内(コーヒー2杯程度)、1日500㎎以内であれば安全性の問題は生じていないとされています。
ちなみに、巷の商品には多くのカフェインが含まれています。
「日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-」より
この表を見て
『お茶はコーヒーと比べたらカフェイン量少ないから大丈夫。』
と思ったら要注意です。
こちらの表は飲料として150mlあたりのカフェイン量です。
コンビニなどで売られているお茶の多くは500mlが多いです。
500mlのお茶は全て飲み干すとコーヒー0.5~1杯程度のカフェイン量に相当するということです。

コンビニや自販機で500mlのペットボトル飲料買ったら、飲み干すケースの方が圧倒的に多いですしね。
ペットボトルならまだキャップがありますが、プルタブ式の缶コーヒーなどはその場で全て飲んでしまうケースも多いでしょう。
無意識にカフェインを摂っているケースが多いため、注意が必要ですね。
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医薬品のカフェイン
総合風邪薬やアレルギー薬などは眠くならないようにカフェインが入ってるものもあります。
薬にもよりますが、大体1日量でカフェイン量100㎎~150㎎の含有しているケースが多いです。
ですので、カフェイン含有の風邪薬などは『1日分の薬を飲んだら、コーヒー1杯飲んだ』と思って下さい。
逆を言えば、カフェインが入っていなくて眠気が出てしまうお薬の場合は、
コップ1杯分のお茶でお薬を飲めばカフェインと同じような効果が得ることが出来ます。
お薬によってはカフェインと飲み合わせが良くないお薬もあります。
健常人のカフェインの半減期は約3~7時間です。
個人差はありますが、少なくても半日程は身体の中に残り続けるということです。
コーヒーを朝晩の2回飲んだだけで約1日身体の中にカフェインがあるということになります。
その為、飲み合わせが良くないお薬に関しては、一緒に飲まなければ良いということではありません。
出来れば服用期間中はコーヒーやお茶の摂取は避けていただきたいですね。

飲む前は薬剤師さんに飲み合わせの相談をしてくださいね~。
妊娠中やこどもの場合
妊婦さんに対してカフェインが良くないと言われていますが、それにはいくつか理由があります。
妊娠時は女性ホルモンの働きで、カフェインを代謝する酵素の働きが鈍ってしまいます。
その為、カフェインが身体から代謝される時間が通常よりも2~3倍長くなってしまうのです。
通常、カフェインの半減期は2~8時間ですが、妊婦中は6~16時間になります。
次に、お腹の中のこどもにカフェインが多く渡ってしまうことです。
胎児はカフェインを代謝する酵素をほとんどもっていないので、カフェインの暴露が大きくなります。
授乳中のカフェイン摂取は禁止されていませんが、カフェインは血中から乳汁中に約80%移行しますので、過剰な摂取は控えた方が良いでしょう。
摂取量が多いと
不眠・不安
カフェインの作用は個人差が大きいです。
成人では100mg以上(コーヒー1杯分)で入眠までの時間延長、睡眠時間の短縮が引き起こされるという報告もあれば、100mg未満では睡眠に対して影響は与えないという報告もあります。
半減期も2~8時間と個人差が大きいことを考慮すると、少量のカフェインでも睡眠に影響があると見た方が良いでしょう。
大量(400mg~500mg以上)のカフェインは睡眠障害だけではなく、不安も誘発することが知られています。
循環器系への影響
カフェイン200mg~250mg(コーヒー2~3杯相当)の1回摂取で血圧を高めたり、不整脈を誘発する可能性があります。
1回摂取では血圧は収縮期血圧が3~14mmHg、拡張期血圧が4~13mmHg上昇すると報告があります。
収縮期血圧や拡張期血圧の説明についてはこちらをご覧ください
致死量
カフェインの致死量は一般成人で10g~12gと言われています。
これは10000mg以上ということで、コーヒーだと100杯以上に相当します。
少し前に栄養ドリンクの飲み過ぎで死亡事故があったこともあり、個人差があることも考慮しなければいけません。
さすがにコーヒー100杯分に相当するカフェイン量を摂取する人は稀だと思いますが、摂取量にはくれぐれもご注意ください。
最後に
人類はお茶やコーヒーなどのカフェイン含有の植物と何千年以上も前から付き合ってきました。
現在でも世界中で嗜まれているのは、生活の中で有益な面が多かったからでしょう。
ですが、身体にとって悪い面もあります。
次にお茶やコーヒー、栄養ドリンクなどを手に取った際は、カフェイン量を確認してみてはいかがでしょうか?
くれぐれも安全な摂取量を守って嗜みましょう。
参考文献「日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-」
カフェイン「ホエイ」インタビューフォーム