【骨】骨の働きと役割 骨が弱くならない為には

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先日、患者さんが入院したと聞きました。

原因は転倒による骨折だそうです。

 

若い人だと骨折は外部から相当な衝撃がないと、そうそう起きないことですが、お年寄りだと簡単に骨折してしまします。

今は大丈夫でも、将来骨折して要介護になる可能性も十分にあり得ます。

骨についてよくわからない人は、今からでも骨の簡単な知識は頭に入れておきませんか?

骨の役割

身体の保護や支え

骨は身体を支える土台となり、外部からの衝撃に対しても臓器を保護する防衛機能として働きます。

肺や心臓は肋骨が覆うように、脳に関しては全てが頭蓋骨に守られる形になっていますね。

造血作用

骨の内部には骨髄と呼ばれる部位があります。

血液の成分である赤血球白血球は、1つの臓器から作られるのではありません。

体中にある骨の骨髄から作られます。

ミネラルの貯蔵庫

カルシウムは筋肉神経伝達物質で必要不可欠な存在です。

成人には約1kg(体重1~2%)のカルシウムが含まれていて、99%はリンにくっついてリン酸カルシウムとして骨に存在しています。

残りの1%は筋肉や神経伝達などに使われるため、細胞内液や外液に存在しています。

 

血液中のカルシウム濃度は非常に重要なので、食べ物からの摂取量が減っても厳密に維持されます。

身体の中のホルモンが骨や腎臓に働きかけて血中へのカルシウムを増やそうとする機能が働くのです。

カルシウムの吸収率

一般にヒトのカルシウムの吸収率は30%と低めの水準です。

吸収率の高い乳製品でも40~50%が関の山と言われています。

しかも腸内部から排泄されるカルシウムを考えたら実際はもっと低くなるでしょう。

 

  • 『第6次日本人の栄養所要量におけるカルシウム所要量の算定に適用されたデータ』によると年齢ごとに吸収率は異なります。
    乳児は50%
    1~11歳は40%
    12~17歳は45%
    18~29歳では35%
    30歳以降は30%
    となっています

乳製品の吸収率は高め

カルシウム吸収率は、牛乳39.8%、小魚32.9%、野菜19.2%で、乳製品の吸収率が高めです。

これには乳製品に含まれる成分が関係しています。

牛乳に含まれる乳糖およびカゼインホスホペプチドがカルシウムの吸収を促進していると考えられます。

カゼインホスホペプチド(CPP):牛乳のタンパク質の主成分であるカゼインが消化される過程で生成される代謝産物です。

 

カルシウムの吸収を促進する理由は、CPPがカルシウムとリン酸が反応するのを抑えてくれる為です。※正確にはリン酸よりもCPPと一緒になるので、吸収が促進されます。

乳製品は他と比べて吸収率が高めということですね。

吸収率が下がる要因

カルシウムはイオン化(可溶化)しないと吸収できない構造となっています。

まず食べ物のカルシウムは胃の中で胃酸によりイオン化されます。

胃をとったマウスは吸収がさらに3分の1に減ることが報告されています。
胃の手術した人は、カルシウムの吸収に気を付けた方が良いのです。

イオン化したのにそれでも吸収率が悪いのには理由があります。

膵液などでアルカリ性になる要因もあるので、このときにまたイオン化ではなくなってしまうのです。

 

尚、腸内細菌により腸内が酸性に傾いていれば、吸収も促進されるため、腸内細菌は整えておいた方がよいです。

ヨーグルトは一石二鳥と言えますので、嫌いでなければ召し上がってみてください。

 

平均寿命と健康寿命

平均寿命は生まれてから死ぬまでの平均期間です。

健康寿命介護などを必要とせず、自立した生活を送れる期間の事を指します。

 

厚生労働省が発表した2016年の平均寿命と健康寿命では、

平均寿命 男性 80.98歳  女性 87.14歳
健康寿命 男性 72.14歳  女性 74.79歳

 

人生100年時代とは言われていますが、健康寿命が70代だと、およそ30年も身体が不自由な期間があることになります。

平均寿命が長くても健康寿命が短ければ、ご自身が想定するライフプランにも相当な影響を及ぼしてしまいます。

 

この健康寿命を少しでも伸ばして、平均寿命と健康寿命の差を縮める事が大事となります。

健康寿命を縮めてしまう要因として、骨の割合は大きい

高齢者の骨折により入院してしまい、その後、入院中に筋力が衰えて介護認定を受けるケースは本当によくあります。

 

介護保険制度が始まった 2000 年における要支援・要介護認定者は220万人でした。

その後、2010 年には 500 万人を超え,2014 年には 580 万人となっています。

 

2020年では640万人と増え続け、2040年には950万人になると試算されています

数字の面からも、今後もこうした問題は増えてくると予想出来ます。

 

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骨粗鬆症とは?

メカニズム

骨は細胞と同じで破壊再生を繰り返しています

骨を壊して修復。これを繰り返し死ぬまで行っています。

壊して修復までの期間は3ヶ月です。

引用元:骨の基本知識~骨の役割としくみ~|骨を知る|骨の健康応援!骨ちょっといい話|雪印メグミルク株式会社 (meg-snow.com)

女性は特に注意が必要。

エストロゲンなどの女性ホルモンは骨を維持する働きがあります。

具体的には、先ほどお話した破壊と修復のサイクルで骨を破壊する細胞の働きを抑える効果をもっています。

しかし、閉経後に女性ホルモン量が減ると、女性ホルモン作用の恩恵を受けにくくなるため、骨量がガクッと減るのです

更に女性は骨量のピークが10代~20代となっています。

つまり、思春期の頃に今後の骨量が決まってしまうと言っても過言ではありません

この頃に、スタイルを気にして過度なダイエットをしてしまうと将来的に骨量不足でとても苦労することになりますので、しっかり食べましょう。

さらに加齢や閉経,生活習慣病の罹患に伴い増大する酸化ストレスは,骨を破壊する方向に傾かせてしまいます。

骨粗鬆症を予防するためには

カルシウムの摂取量

『日本食品摂取基準2020』では、

成人男性720mg~800mg、女性620~660mg。
女性は妊娠中、授乳中の場合は700mgの摂取が勧められています。

成長期の子供(12~14歳)では男子990mg女子810mgとなっています。

子供の思春期の時には、必要なカルシウムは非常に多いです。

『平成29年国民健康・栄養調査報告』では、成人男性の1日のカルシウム摂取量の平均は510mg、女性では508mgといずれも推奨量に達していません。

カルシウムは摂取が不足しても自覚症状が出にくい為、日ごろからカルシウム摂取量には気を付ける様にしましょう。

多すぎると

耐用上限量は1日2500mgとされていますが、日本人は平均してカルシウム不足の傾向にありますので、過剰摂取はよほど偏った食事内容でない限りは心配いらないかと思います。

カルシウムが多いと、石灰化便秘鉄や亜鉛の吸収障害泌尿器系の結石の原因となります。

ちなみにコップ1杯(200ml)の牛乳でカルシウム量は220mgになりますが、先にもお話ししたようにカルシウムの吸収率は低いため、全てが吸収されるわけではありません

リンのとりすぎに注意。

リンは安定化するためにカルシウムと結合する性質があります。

身体の中のカルシウムは、大半がリンと一緒の状態です。

その為、骨の中にあるカルシウムのほとんどはリン酸カルシウムとして存在しています。

 

しかし、吸収される時はリン酸カルシウムのままでは吸収されません

ですので、リンを多く含む食品を食べると、カルシウムの吸収の妨げになってしまうので、注意しましょう。

 

一般にカルシウム量の2倍までなら大丈夫とされています。

リンは肉、魚のほか、牛乳や清涼飲料水などあらゆる食品に含まれていますが、特にスナック菓子などに多いとされています。

偏りすぎた食事でなければ問題ありませんが、スナック菓子を主食にする。など偏った食生活の方はご注意下さい。

マグネシウム

人の身体の中で約50%は骨に蓄えられています。

こちらもカルシウムと同様に、リンと結合する性質があるため、ほとんどはリン酸マグネシウムとして存在しています。

骨などの材料で有名なカルシウムとは違い、何の為に存在しているのか、一般にはあまり認知されていないミネラルです。

 

役割は重要で、主に酵素の活性化、筋肉の収縮や神経伝達の調整、体温や血圧の調整なども行ってくれており、体内の代謝を助けてくれる、なくてはならないミネラルです。

骨での作用ではカルシウムと同様に骨の材料として使われており、骨の強度を上げてくれます

 

通常の食事では、過剰になりにくいですが、大量に摂取すると下痢になるので注意です。

この症状を転用して、便秘薬として使用されているサプリメントや薬があります

 

カルシウムとマグネシウムはブラザーイオンと呼ばれ、体内では一定の割合で存在しています

これはカルシウムとマグネシウムは化学的性質が似ているためです。

その為、マグネシウムが不足すると自然にカルシウムも不足する事態となってしまうので、不足には気を付けなければなりません。

カルシウムとマグネシウムの摂取バランスは2:1が理想です。

ビタミンD

ビタミンDは肝臓と腎臓で活性化されます。

なので、腎障害の人は骨粗鬆症になりやすいのです。

作用は腸だけではなく、腎臓でのカルシウムの再吸収も促進させます。

 

骨は骨芽細胞と呼ばれる細胞が新しい骨をどんどん作ります。

しかし、骨芽細胞が作った骨は強度が十分ではありません

骨を固くしたり、強度を与える為にはビタミンDが必須となるのです。

日光を介しても作られる

ビタミンDは日光を触媒として皮膚からも産生されます。

1日15分でその効果はあるとされていますので、運動と併せて日光を浴びましょう。

生活習慣病対策でも運動習慣も、1日30分のウォーキングなどはこう言った点でも非常に効率が良いのでおすすめです。

 

『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版』によると、閉経後の女性が運動を習慣にすると、骨密度の維持や上昇効果が報告されています。

運動は骨密度の維持・上昇だけではなく、各種筋力の調整が取れることによる転倒防止などにもつながります。

結果的に骨粗鬆症などの予防になる効果も大きいです。

ビタミンK

あまり聞きなじみのないビタミンかもしれませんが、こちらのビタミンKは骨の形成にかかわるたんぱく質を活性化してくれる働きがあります。

ビタミンKを含んでいる食品は納豆クロレラが有名ですね。

当然、ビタミンKが不足してしまえば、骨の形成と破壊のバランスが崩れ、骨粗鬆症などのリスクが上がってしまいます。

ちなみにビタミンKは骨には良いですが、ワーファリンと呼ばれる血液をサラサラにしてくれるお薬とは相性が良くないです。

ワーファリンはビタミンKを抑えることで作用を発揮します
その為、ビタミンKを摂取した途端にワーファリンの効果がなくなってしまう為、ワーファリンを服用している人は医師や薬剤師に相談するようにしてください。

最後に

いつまでも健康的でいるためには、身体の土台となる骨が重要です。

普段、骨のことってあまり気にしないかもしれませんが、たまには気にしてあげましょう。

ではでは。

参考文献
カルシウムの役割とその吸収ー新しい展開
日本食事摂取基準2020
公益財団法人 骨粗鬆症財団
骨の基本知識~骨の役割としくみ~|骨を知る|骨の健康応援!骨ちょっといい話|雪印メグミルク株式会社 (meg-snow.com)
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版

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