新型コロナウイルスが蔓延するようになってから、PCR検査や抗原検査、抗体検査などの用語が飛び交うようになりました。
PCR検査・抗原検査・抗体検査って何が違うの?
このような質問は非常に多いです。
今回は各検査の違いに関するお話です。
PCR検査
唾液や鼻水などから、ウイルス特有の遺伝子が含まれているかどうかを検出します。
その為、現在身体の中にウイルスがいるかどうかの検査となります。
PCRの特徴は、採取した検体(唾液など)に特殊な処理を施し、ウイルスの遺伝子配列を増幅させます。
その為、処理で増幅した結果、一定数以上検出されれば陽性ということになります。
逆にウイルスがいなければ、増幅される遺伝子配列がないため、検出されず陰性ということになります。
PCR検査の特徴は、他の検査に比べて正確な分、増幅させるのに時間がかかります。
検査に要する時間は約6時間です。
PCRの検査は検査技師や特殊な機器が必要となるため、特定の場所でなければ検査を行うことは出来ません。
その為、検体の輸送などを考えると、検体採取後1日以上経過しないと結果を知れないことが多いです。
PCR検査の原理
PCR検査の原理を簡単に説明します。
PCRとは、Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の略です。
遺伝子は酵素や熱処理があれば増やすことが出来ます。
遺伝子は熱を加えると、螺旋状の2本鎖構造から1本ずつの鎖にほどける性質があります。
その性質を利用して、以下の流れで遺伝子を増やすことが可能です。
- 熱を加えて1本ずつにする
- ポリメラーゼで遺伝子を増やす
- 熱を元に戻して2本鎖に戻す
つまり、増幅に必要な酵素を溶液に入れておけば、後は温度の上げ下げで連鎖的に遺伝子は増えてくれます。
1本が2本、2本が4本、4本が8本・・・というように、指数関数的に増やすことが可能です。
抗原検査
唾液や鼻水などから、ウイルスのタンパク質が含まれているかどうかを検出します。
その為、ウイルスのタンパク質(抗原)が、今現在身体の中にあるかどうかを見ます。
一般的なインフルエンザウイルスの検査もこちらに該当します。
PCR検査との違いは、ウイルスのタンパク質そのものを検出することです。
つまり、増幅する必要がない為、10分~15分で検出が可能です。
検出時間が迅速な反面、精度はPCR検査と比べると劣ってしまいます。
スポンサーリンク
抗体検査
ウイルスに特異的な抗体が身体の中にあるかどうかを検査します。
抗体があることで、免疫反応が迅速になったり、ウイルス除去の能力が高まります。
通常抗体は、ウイルスに感染した後、数日以上かけて産生されます。
その為、過去にウイルスに感染した事があるかどうかを検査するものになります。
抗体は1種類のみではなく、複数あります。
そして、抗体検査で調べる抗体は主に2種類あります。
IgMとIgG呼ばれる抗体です。
通常抗体はIgMが急速に作られ、その後IgGが産生されます。
その為、IgMとIgGの検出を行うことで、過去どれぐらい前に感染したか、おおよその予測をたてることが可能です。
しかし、抗体自体が産生されるまでには数日以上は要しますので、タイミング次第では陰性になることもあります。
検査自体は15分程度で検出可能です。
まとめ
- PCR検査:今現在の感染状況の検査。正確だが時間がかかる
- 抗原検査:今現在の感染状況の検査。迅速だが、正確さはPCRに劣る
- 抗体検査:過去に感染したことがあるか確認する検査。
最後に
ウイルス感染が続く限り、並行して検査の必要も出てきます。
何の検査が必要か、知った上で検査を受けることが出来れば、周囲への感染拡大防止にも繋がります。
検査をうまく利用して、感染防止に努めましょう。
ではでは。
参考文献
今さら聞けないPCR検査のイロハ 検査の限界を知り、慎重な判断と対応を心掛ける | メディアスホールディングス株式会社 (medius.co.jp)
PCRとは(基本情報) (roche-diagnostics.jp)
新型コロナウィルス抗体検査キット、PCR検査、抗原検査の違い | coronavi19
新型コロナウイルス抗体検査の期間について (aozoracl.com)
【コロナ対策】PCR検査、抗原検査、抗体検査の違いは? | ストレスチェックの外部委託をお考えの企業はメディカル・ビー・コネクトへ ストレスチェックの外部委託をお考えの企業はメディカル・ビー・コネクトへ (medical-bc.co.jp)