【睡眠】睡眠薬の作用メカニズム ベンゾジアゼピン受容体作動薬

医療系
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皆さんは布団に入ったら一瞬で眠れるタイプですか?

私は眠れないタイプです(;^ω^)

 

頭を意識的に空っぽにして、何とか眠れるタイプです。

 

今回は睡眠導入剤の中でも最も使用頻度が高いお薬についてのお話です。

 

睡眠薬の服用状況

眠れないから薬に頼る人は意外に多いのではないでしょうか?

いつも薬局でお薬を渡してますが、睡眠導入剤をお渡しするときはお年寄りだけではなく、若い人に渡すケースも多いです。

 

厚生労働省の「平成30年(2018)「国民健康・栄養調査」による「睡眠の状況」」では、日本人成人の21.7%が慢性的な不眠としていて、その推移は増加傾向にあるとされます。

 

不眠に悩まされている人は意外と多いのです。

 

「症例検討ワークショップ4「不眠症」松井健太郎(2018)」では人口5%以上の人が睡眠薬を服用しているとされています。

 

睡眠導入剤のメカニズム

今回は睡眠導入剤の中でも使用量が多いベンゾジアゼピン受容体作動薬についてお話します。

 

凄い長い名前ですね。

 

睡眠導入剤全身麻酔のように、本人の意思とは関係なく気を失う薬ではありません

服用しても、通常量であれば、本人に起きる意思があるなら眠らない事も可能です。

 

そんな睡眠導入剤ですが、作用する場所は当然ながらです。

 

脳には神経細胞(ニューロン)がたくさんあるのですが、ニューロンとニューロンの間には隙間があります。(シナプス間隙といいます。)

ここでシナプスと呼ばれるニューロンの端から神経伝達物質を分泌する事で、ニューロン同士の情報は伝わります。

 

シナプス伝達|生体機能の統御(2) | 看護roo![カンゴルー] (kango-roo.com)より

ここのニューロンとニューロンの隙間では神経伝達物質がいくつも分泌されているのですが、その一つにGABAという頭を抑制させる方向に働く物質があります。

GABAはニューロン端のシナプスから分泌されると、受け手のGABA受容体に作用します。

 

受容体
カギと鍵穴のような関係で、鍵穴である受容体が反応すると、その後に続くように作用する。
血圧をあげる受容体であれば、受容体が反応すると血圧を上げるように身体が反応する。受容体に作用出来る物質は、受容体に反応出来るような構造を持っていなければならないので、カギと鍵穴の関係と呼ばれています。

GABA受容体は、作用すると頭が抑制の方向に働きます

つまり、一定量以上が作用すれば眠気が起こりやすくなるということです。

 

ベンゾジアゼピン受容体

睡眠導入剤であるベンゾジアゼピン受容体作動薬は、このGABA受容体を強制的に作動させる働きを持っています。

 

ベンゾジアゼピン受容体作動薬なのにGABA受容体に作用するの?

 

という質問が出そうですが、その通りです。

 

『正確にはGABA受容体にあるベンゾジアゼピン受容体に作用します。

 

簡単には説明しますと、ベンゾジアゼピン受容体はGABA受容体の部品の1つのようなものです。

 

『ベンゾジアゼピン受容体に作用=GABA受容体にも作用』という形で思ってもらって構いません。

 

過量服用

ベンゾジアゼピン受容体作動薬はGABA受容体内のベンゾジアゼピン受容体に作用して、GABA受容体の働きを促進します。

しかし、GABA受容体に直接作用するわけではありません

 

ベンゾジアゼピン受容体の数には限りがあります。

 

従って、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を過量服用したとしても、そのすべての分量が受容体に結合できるわけではない為、かなりの量を服用しても致死量にはなり得ません

 

これがベンゾジアゼピン受容体作動薬が広く使用されている理由でもあります。

 

よくドラマや漫画などで、睡眠薬1瓶分を服用して昏睡するシーンなどもありますが、ベンゾジアゼピン受容体作動薬ではそれぐらいでは死なないのでご安心ください。

薬にもよりますが、100錠を一度に服用しても理論上は平気です。
かといって飲みたくはないですが・・・。

 

ひと昔前の睡眠導入剤として使用されていた、バルビツール酸系薬剤GABA受容体に直接作用してしまうため、注意が必要です。

 

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薬の種類

基本的に薬の強さでカテゴリー分けされているわけではなく、作用時間でカテゴリー分けされています。

 

超短時間作用型 : 寝付き悪い人向け
短時間作用型 : 寝付き悪い人向け
中時間作用型 : 夜中目が覚める人向け
長時間作用型 : 夜中から朝方目が覚めてしまう人向け

 

長時間作用型だからといって寝付きが悪い人に向いていないという訳ではありません。

お薬を服用した後の効き目の早さに大差はあまりないのです

 

分類しているところはどれだけ身体の中で長く作用するか。

すなわち半減期を元にカテゴリーわけしています。

おおまかですが、こんな感じです。
超短時間作用型 : 6時間以内
短時間作用型 : 6時間~半日
中時間作用型 : 半減期半日~1日
長時間作用型 : 1日以上
半減期とは:
血中の濃度が半分になる時間の事を指します。
今回のお話では、長時間作用型の半減期は1日=1日で身体の中のお薬濃度が半分に減ると思って下さい。
https://mukatakezakki.com/pharmacist-knowledge-half-life/

 

ベンゾジアゼピン受容体睡眠薬はカテゴリー分けが強度によるものではなく、半減期、用途によるものなので、強さに関しては個人差が大きく一概には言えないのです。

 

これよりも効きが良い睡眠導入剤はないのか?

 

という質問が多いですが、効きを良くするには用量を上げることが最も分かりやすいと言えます。

 

お薬の強度を表すデータもありますので、よろしければご参考ください。

 

ベンゾ一覧 – ジアゼパム換算表 (benzoinfojapan.org)

副作用

お薬が頭の抑制系に働く為、主な副作用はふらつきめまいなどや筋弛緩などの転倒にも注意が必要です。

その他は便秘等の副作用も頻繁に報告されています。

 

アルコールと一緒に服用すると、その翌朝その前後の記憶がなくなってしまう症状(一過性前向性健忘)が出現する可能性があるので、お酒との服用は絶対に控えてください。

 

アルコールによる健忘
脳の記憶を司る部位は海馬というところなのですが、海馬のベンゾジアゼピン受容体に作用する結果、記憶の機能抑制が働き、物忘れの症状が出ると言われています。

アルコールは睡眠薬の効果を高めますし、記憶の整理に関与するノンレム睡眠を短縮する事がわかっています。

認知症のリスク

ベンゾジアゼピン受容体睡眠薬は認知症のリスクがあるとされています。

 

「第 105回日本精神神経学会総会 薬剤による認知機能障害」によるとLar-sonら(1987)によれば,認知障害を呈した 60歳以上の 308名の患者のうち35%(11.4%)に薬剤の影響を認め,10名(3.2%)は薬剤が原因の認知症と報告している。

 

ベンゾジアゼピン受容体はアセチルコリンと呼ばれる物質の作用を抑えます。

アセチルコリンは脳では神経伝達物質として働いていますので、認知症リスクと因果関係があるとされています。

 

ですので、ベンゾジアゼピン受容体作動薬だけではなく、アセチルコリンを抑えるタイプのお薬は認知症リスクがあるということになります。

 

ちなみに腸の動きアセチルコリンが関係しているので、副作用に便秘があるのは、ベンゾジアゼピン受容体作動薬が腸に働いてしまいアセチルコリンを抑制してしまうためです。

 

依存と耐性

ベンゾジアゼピン受容体作動薬は一般的に依存や耐性は少なめではありますが、依存の報告はされています。

依存にはドパミンが関係しています。

 

ドパミンは多幸感意欲に関係しています。

 

ベンゾジアゼピン受容体は抑制系に働きますが、ドパミン経路にも少なからず作用します。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬により一時的にドパミンが多くなると、ドパミンの過剰反応を防ぐために身体はドパミンの受容体数を減らします。

 

すると、受容体が減ってしまったので、またベンゾジアゼピン受容体作動薬でドパミンを増やしたいという事になるのです。

 

結果、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を使えば、『ドパミンがまた得られる』と身体が覚えてしまいます。

 

身体って非常に合理的に働きますが、簡単に騙されてしまうところがありますね。

 

ベンゾジアゼピン受容体作動薬はGABA受容体に働いて頭を抑制系に持っていきますが、その間ノルアドレナリンセロトニンといった興奮系の神経伝達物質も抑制しています。

 

急にやめた途端にこれらの興奮系の神経伝達物質が急激に多くなり不安不眠食欲不振などの離脱症状が現れてしまう恐れがあります。

 

おおよそ半年間以上飲み続けてる場合は主治医と相談して徐々に減らすなりしてから中止しましょう。

急に減らすと体調崩しちゃうので注意してくださいね~。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回は専門用語が多くて教科書みたいになっちゃいましたね。

 

個人的には眠れないストレスって半端ないと思うので、必要に応じて睡眠導入剤を使用した方が良いと思っています。

ライフスタイルに合わせて上手く使うようにしてくださいね~(*’ω’*)

ではでは。

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