痛風ってご存知ですか?
風が当たっただけでも痛みが走ると呼ばれているあの痛風です。
お酒好きの人は既に尿酸値が高い人もいるのではないでしょうか?
尿酸値が高くて困っている人の参考になれば幸いです。
痛風の原因
痛風の原因となっているのは尿酸と呼ばれる物質です。
身体の中の尿酸が溜まり、飽和して結晶化する事で痛風発作が発症します。
尿酸が結晶化することによる物理的な痛みもありますが、異物を排除するために免疫系が働くことでも痛みが増加します。
好発部位は足の指の関節が多いです。
痛風発症後、多くは1年以内にまた同じような症状がおきます。
発作の度に間隔が短くなり、慢性関節炎や腎不全に繋がってしまうのです。
尿酸とは?
身体は細胞の集まりでできています。
細胞には核酸と呼ばれる遺伝子情報を内包している核があります。
核酸にはプリン体と呼ばれる物質が多く含まれており、細胞が代謝される際にはプリン体も処理されます。
肝臓で処理されたプリン体は尿酸に代謝されます。
つまり、尿酸とは細胞の代謝産物・老廃物ということです。
何故尿酸値は高くなる?
血清尿酸値7.0㎎/dLを超えた状態が高尿酸血症と呼ばれます。
と言われればそうではありません。
多くの場合は高尿酸血症が数年程続いた後に、痛風を発症するケースが多いです。
身体の中で1日に600㎎の尿酸が作られますが、個人の遺伝や環境によって上下します。
男性と女性の尿酸値
女性は女性ホルモンが働いているため、尿酸を排泄しやすくなっています。
その為、高尿酸血症の男女比は9割以上が男性です。
男性と女性では元々の身体にある尿酸の量にも差があります。
男性の平均は5.5㎎/dL、女性の平均は4㎎/dLなので、女性の方が7㎎/dLの高尿酸血症に到達するまでに男性の倍近くの余裕があります。
しかし、女性であっても閉経後にホルモンバランスが乱れることがあれば油断はできませんので、注意しましょう。
尿酸排泄が間に合わないケース
食べ物に含まれるプリン体や、体の細胞が代謝されて尿酸になりますが、尿酸は腎臓で排泄されます。
尿酸の排泄が体の代謝と均衡していれば問題ありません。
しかし、排泄機能が低下したり、排泄が間に合わなくなる程、尿酸がたまってしまうと高尿酸血症になり、最悪痛風が発症してしまいます。

ちなみに人間以外のほとんどの動物は尿酸を分解出来るので、痛風にはなりません。
人間は遺伝的に尿酸を分解出来る酵素が欠損しているのです。
尿酸値が高いままだと
基本的に尿酸値が高くても自覚症状はありません。
高尿酸血症が原因で何かしらの疾患が発症してようやく気がついたり、健康診断で発見するケースが非常に多いです。
腎機能の低下
痛風発作の原因である尿酸は腎臓から排泄されます。
つまり、腎臓に尿酸が溜まりやすいということです。
腎臓に尿酸結石が蓄積すれば腎機能の低下どころか腎不全に繋がり、最悪透析も必要となってしまいます。

私の知り合いにも、尿酸値が原因で透析まで進んでしまった人がいます。
尿路結石
こちらも尿酸が析出して結石になることで発症します。
尿路結石は痛風よりも痛みが酷い場合が多いため、なりたくなければしっかりと尿酸値対策しましょう。
低すぎると
低ければ良いと思いますが、実はそうではありません。
血清尿酸値が低いということは腎臓による排泄が盛んなケースがほとんどです。
つまり、腎臓に尿酸が集まりやすく、腎障害の原因になり得るということです。
血清尿酸値が2㎎/dL以下の人はその可能性がありますので、専門の医療機関に相談してください。
どんな食べ物に尿酸が多いのか?
細胞の絶対数が多い食品は尿酸値が高い。
細胞の代謝産物が尿酸といいましたが、魚卵を例にしてみます。
例えば、卵がいっぱいのいくらやとびっこですが、あれは実は卵1つ1つが細胞です。
その為、魚卵系は卵(細胞)の絶対数が多いためにプリン体は多めです。
鶏卵などは絶対数の卵(細胞)が1つしかないがためにプリン体は少なめです。
体の部位別でも、細胞分裂が盛んな組織にプリン体が多くなっています。
肝臓で細胞の処理が行われるため、当然レバーはプリン体が高めです。
お酒のプリン体含有量
お酒のプリン体一覧(㎎/100mL)
焼酎:0.0mg
ウイスキー:0.1mg
ブランデー:0.4mg
紹興酒:11.6mg
地ビール:11.4mg
ビール:5.3mg
発泡酒:3.4mg
※各社平均値で作成しています。商品によってバラツキがある為、あくまで参考程度にしてください。
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尿酸値を適正に保つためには?
食べ物だけ気をつけていれば良いというわけではありません。
尿酸は体内の細胞が代謝される時に老廃物として産生されます。
つまり、何も食べてなくても尿酸は産生されるということです。
身体の中で作られる尿酸は8割、食べ物由来は2割と言われています。
軽い運動習慣を心掛ける
高尿酸血症の人の60%以上は他になにかしらの疾患を持っています。
多くは高血圧や肥満、脂質異常症などの生活習慣病です。
合併症予防、治療にも役立ちますので、運動習慣は是非取り入れましょう。
目安は1週間に2時間以上分の有酸素運動を行うことですが、1日30分の有酸素運動を1週間に3~4日行うことが最も効果的です。
こまめな水分補給
運動などのエネルギー代謝で一時的に『尿酸値が高くなる』+『脱水』により相対的に血中の尿酸値も高くなることがあります。
水分補給はこまめに行うようにしてください。
ストレスをためない
尿酸値は遺伝やストレスが関係しています。
遺伝に関しては仕方がないところはありますが、ストレスに関してはケアが可能です。
睡眠を良くとることでもストレスは軽減します。
ストレスを溜めない生活を心がけたいですね。
食べ物に気を付ける
先程、食べ物由来は2割程とお話しましたが、食べ物に気を付けることも重要です。
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』には1日400㎎までのプリン体の摂取制限が示されています。
プリン体が多い食事は控える
お酒を飲む人は痛風のリスクが2倍になると言われています。
ビールやレバー、魚卵系等は控えるようにしましょう。
干物系は水分が少なく、重量当たりのプリン体量が相対的に多くなります。
少なめであれば問題ありませんが、量には注意しましょう。
アルコールは尿酸値を上げやすい!
基本的にはプリン体ゼロの商品でも、アルコールを含んでいれば尿酸値は一時的に上がりやすくなります。
アルコールを代謝するときに、尿酸が蓄積されやすくなるからです。
長くなりますので、詳しい作用は省略しますが、酢酸以降の反応により、エネルギー回路が抑制され乳酸が産生されるのです。
この乳酸により尿酸の排泄が抑制され、結果的に尿酸が溜まりやすくなります。
詳しく知りたい方はこちらをご参考下さい。アルコールと尿酸
尿酸の排泄に役立つ食べ物を食べる
尿酸の排泄を促進する食べ物があります。
野菜、海草類やキノコ類などは、食物繊維が豊富で尿をアルカリ性に傾ける効果があります。
尿酸はアルカリ性であるほど溶けやすいため、尿酸の排泄に役立ちます。
尿酸値対策で野菜を摂るなら、たんぱく質を多く含む野菜は選択しない方が無難でしょう。
痛風発作時の注意。
痛風発作時には尿酸値を下げる薬は使わないようにしてください。
痛みの原因となっている尿酸値を下げたいが為に、尿酸降下薬を使いたいでしょうが、我慢です。
尿酸値に変動があると、痛風発作が悪化する事があります。
痛み止めを服用して、痛いところは揉まずに冷やして安静にしてください。
当然ながら、お酒は禁止です。
最後に
プリン体を多く含む食品は美味しい食べ物が多いです。
減らすことが非常に難しいと思います。
『適度に食べて、適度に運動して、適度に寝てストレスをためない』
これが一番です。
ここまできて結局のところ『規則正しい生活』に落ち着きますが、尿酸値が気になる人は野菜を食べて規則正しい生活を送って下さい(;^ω^)
ではでは。
参考文献
痛風発作の病態と治療
高尿酸血症治療薬の作用機序と使用指針
公益財団法人 痛風・尿酸財団
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版
高尿酸血症・痛風の食を通じた予防策の試案