2022年11月22日に新型コロナウイルスの経口薬が承認されました。
国内でのコロナ経口薬の承認はこれで3つ目となります。
今回はゾコーバ(エンシトレルビル)のお話です。
ゾコーバについて気になる方の参考になれば幸いです。
製剤名と成分名
『ゾコーバだとかエンシトレルビルとか色々名前が出てきてわからない!』
という方もいるかと思います。
ゾコーバ=エンシトレルビルと思っていただいてOKです。
有効成分がエンシトレルビルで、ゾコーバは薬として成型された製品名という形になります。
初めての国産
ゾコーバは塩野義製薬からのお薬です。
国内メーカーからの新型コロナ経口薬は初めての承認となります。
1つ目のラゲブリオはMSD、2つ目のパキロビッドパックはファイザーとなります。
7月にも審議はありましたが、総合的な効果改善が不明瞭として承認は見送りとなっていました。
9月の治験報告では、約1800人を対象とした治験では、5症状(咳、のど、鼻、倦怠感、発熱)に焦点をあてて行いました。
結果、ゾコーバを使用することにより24時間症状改善が早まった他、陰性となる期間も24時間短縮されたと報告されています。
症状消失までプラセボ群が192.2時間に対し、ゾコーバ群は167.9時間とのことです。
飲み方
1日1回5日間の経口投与となります。
通常,12歳以上の小児及び成人にはエンシトレルビルとして1日目は375 mgを,2日目から5日目は125 mgを1日1回経口投与する。
とされています。
ゾコーバは1錠125mgですので、1日目に3錠(375mg)服用し、その後2日目~5日目には1錠(125mg)を服用する形となっています。
薬理作用
基本的には2つ目の経口治療薬であるパキロビッドパックと同様です。
ウイルスのたんぱく質合成に関わる『プロテアーゼ』と呼ばれる物質を抑えることで効果を発揮します。
ウイルスが増殖するためには合成されたたんぱく質を切り離す必要があります。
切り離す為に必要なものがプロテアーゼと呼ばれる酵素です。
その為、ゾコーバを使用するとウイルスはたんぱく質を切り離す(増殖)することが出来なくなります。
ちなみに現在まで承認されている1~3つ目までの経口薬の薬理作用を簡単に表すとこんな感じになります(*´Д`)
対象者は?
新型コロナ感染の軽症~中等度に使用可能です。
薬理作用上、ゾコーバはたんぱく質の切り離しを防ぐことで体内のウイルス増殖を抑えます。
その為、感染後一定期間が経過してる方や重症の方には効果が薄いことが予想されます。
症状発現後3日以内の服用が推奨されていますね。
薬物相互作用
ゾコーバはパキロビッドパックと同タイプのお薬です。
その為、少なからず薬物相互作用が報告されています。
特にCYP3A4関連の相互作用には注意が必要です。
CYP3A4阻害作用が確認されていますので、多数のお薬との併用に注意しなければなりません。
CYP3A4阻害作用の強度については、クラリスロマイシンと同じぐらいだったので、クラリスロマイシンの添付文書を参考にしたという報告もあります。
抗生剤としても頻用されるクラリスロマイシンですが、薬物相互作用が意外と多いのです。
医療関係者の方は、使用前には添付文書は必ず目を通した方が良いでしょう(;^ω^)
食事の影響
空腹時でも食後でも効果に大きく影響が出るほどの違いはなかったようです。
空腹時の方が食後に比べて吸収が早いところぐらいでしょうか(‘ω’)ノ
妊婦・授乳婦には使用しない
原則として投与しないこととされています。
動物への試験時では催奇形性や乳汁移行が認められています。
避妊も必要
投与後、一定期間は避妊を行うよう注意も必要です。
この一定期間については、ゾコーバの半減期が5日間投与終了後時点で51時間とされています。
ゾコーバが血中から消失する時間は10日以上かかることが予想されます。
その為、同意説明文にも2週間以上は避妊を行うように説明されてます。
340018_62500B8F1020_01_001RMPm.pdf (pmda.go.jp)より
最後に
経口治療薬も3つ目となりましたね。
症状消失までの期間を短縮してくれるのは非常にありがたいです。
少しでも新型コロナウイルス感染症に悩む方が減ると良いですね(*´Д`)
ゾコーバについて気になる方の参考なれば幸いです。
ではでは。
参考文献
221122 ゾコーバ承認プレス (mhlw.go.jp)
000966602.pdf (mhlw.go.jp)
340018_62500B8F1020_01_001RMPm.pdf (pmda.go.jp)